システムインテグレーターを目指す
機械・電気・ロボットの技術力が強み
三明機工 株式会社 代表取締役社長 久保田 和雄 氏 / 三明電子産業 株式会社 代表取締役社長 久保田 和俊 氏
三明グループは1928年に創業され、90年の歴史を持つ。エレクトロニクスの三明電子産業㈱、メカニクスの三明機工㈱の技術開発力・コスト力に、㈱三明の情報力と機動力を備えた商社機能が加わることで、ソフトとハードを統合したシステムインテグレーション技術により、顧客の立場に立った事業活動を展開。グループ連結売上高は220億円(2016年3月期)、グループ従業員の総数は約400名と成長を続けている。
メーカーである三明機工はロボット技術を核に、鋳造、ダイカスト周辺装置、FPD検査・梱包、ロボット・FAの4本柱で、高精度なメカニカル技術を駆使し、最新鋭の機械をつくる。
三明電子産業はサーボ制御をコアとしたモーションエンジニアリング技術で制御盤をはじめ、各種装置・機器の製品化を行い、世界トップのオンリーワン製品である全自動いか釣り機も製造している。品質・納期・価格に対して真摯に努力する一方、「モノづくりはヒトづくり」と、グローバル人材の育成にも力を入れ、入社3年以内の新入社員の離職率ゼロという素晴らしい成果を挙げている。
三明電子産業の配電盤に使われる板金筐体は内製化を断行。三明機工の社長で三明電子産業の副社長でもある久保田和雄氏は静岡県シートメタル工業会の会長で、板金業界の発展、振興に尽力している。
そこで、三明グループの今後について、三明機工㈱の久保田和雄社長と、実弟で三明電子産業㈱の久保田和俊社長に話を聞いた。
日本のモノづくりの強みは工程管理
―さまざまな問題で日本のモノづくりへの信頼が揺らいできています。これからの日本のあるべき姿については、どのようにお考えですか。
久保田和雄社長(以下、三明機工・久保田) 日本の産業の立ち位置は、モノづくりが基本にあると考えています。日本のモノづくりの優れた点は、現場で働く作業者が自分なりに工程管理ができることです。私はこれまで20年ちかく、いろいろな国で仕事をしてきましたが、前後工程の進捗や負荷の状態を見ながら自分の仕事を調整したり、時には進捗が遅れている作業を手助けしたりといったことは、他国では見ることがなかった。本当の意味で工程管理ができるのは日本だけだと思います。
最近は、ITが台頭してきたことで、ソフト系を中心に日本のモノづくりもアメリカナイズされてきています。しかし米国では、過去40年以上にわたって海外への生産シフトが進み「製造業の空洞化」が懸念されるなか、リーマンショック後、オバマ前大統領が就任した頃から、リショアリング(製造業の国内回帰)が強く叫ばれるようになり、強い米国を取り戻すために、製造業を強化しようとする動きが顕著になってきています。
日本は米国と同じ歴史をたどるのではなく、「日本ならではのモノづくり」を、しっかりと追求すべきです。国を挙げて進めているIoTを活用した自動化も、「日本ならではのモノづくり」をベースに推し進めていくべきだと思っています。
経済産業省は補助金を出すことでロボット化を進めようとしていますが、ただ補助金を出すだけでなく、さまざまな機器・機械をつなげるためにはどうするか、自動化・無人化と生産性向上を両立させるためにはどうしたら良いか、といったことを真剣に考える必要があります。安倍首相が掲げる「生産性革命」も本丸はそこにあると思います。
久保田和俊社長(以下、三明電子・久保田) 機械化・省力化の必要性は感じています。ただし、制御盤を組み立てる作業は、現状ではどうしても手作業で行わなければなりません。生産性を上げるには、ケーブルをつくる機械を導入するくらいしかありませんが、コストや信頼性を考えるとなかなか導入を決断できません。頭が痛いところです。
会社情報
- 会社名
- 三明機工 株式会社
- 代表取締役社長
- 久保田 和雄
- 住所
- 静岡県静岡市清水区袖師町940
- 電話
- 054-366-0088
- 従業員数
- 110名
- 設立
- 1982年
- 主要事業
- フラットパネルディスプレイガラス基板検査・梱包システム、ダイカスト自動化システム、FA・ロボットシステム、鋳造プラント、産業用省力自動化装置、真空吸着装置
会社情報
- 会社名
- 三明電子産業 株式会社
- 代表取締役社長
- 久保田 和俊
- 住所
- 静岡県静岡市清水区清開2-2-1
- 電話
- 054-335-5588
- 従業員数
- 130名
- 設立
- 1970年
- 主要事業
- サーボドライバー製品、各種産業機械関連製品、ナノテクノロジー関連製品の開発・製造
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