特集

都市型板金工場の必需品 ― BREVIS-AJ導入事例

自動車部品向け検査治工具の設計から組立まで一気通貫

アフターコロナへ向け“人”と“設備”に投資 ― 自動化・生産性向上・省エネ化を推進

植田部品 株式会社

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画像:自動車部品向け検査治工具の設計から組立まで一気通貫①2022年9月に導入したコンパクトファイバーレーザマシンBREVIS-1212AJ。CO2レーザマシンLC-1212αⅣNTからの入れ替えで生産性向上・省エネ化に貢献し、材料歩留りも改善した/②BREVIS-AJのi-CASによりタッチ操作で端材に部品を配置する

CO2レーザからファイバーレーザへ

画像:自動車部品向け検査治工具の設計から組立まで一気通貫左から板金チームの石川浩平リーダー、植田邦正社長、奥薗秀一統括部長

静岡県富士市の植田部品㈱は2022年9月、コンパクトファイバーレーザマシンBREVIS-1212AJを導入した。約10年間使用してきたCO2レーザマシンLC-1212αⅣNTの更新で、Quattro、LC-αⅣNTに続く3台目のレーザマシン。同社初のファイバーレーザマシンとなる。

BREVIS-AJの導入により、レーザ加工の生産性は約2倍になった。簡易板取り機能i-CASを活用することで、材料歩留りも改善した。

また、省エネかつレーザガス不要のファイバーレーザに置き換えたことで、電力・レーザガスの価格高騰の影響も最小限におさえることができた。

自動車部品の検査治工具を生産

同社は1985年に植田清己氏が創業して以来、大手自動車部品メーカー向けに各種治工具を生産してきた。

得意先の自動車部品メーカーが生産しているのは、自動車の安全・安心を支える重要部品で、きわめて高い精度と耐久性および信頼性が求められる。そのため、得意先の自動車部品メーカーは厳格な品質管理体制のもと、全数検査を実施することで不良流出を防いでいる。

植田部品の主力製品である「治工具」は、この全数検査のプロセスで用いられる。また、同社では「治工具」の設計・製作だけでなく、検査治具を取り付けた「検査台」の組立・配線や、良否を判定するための「検査データ」の作成まで手がける。①「治工具」の設計・製作、②「検査台」の組立・配線、③「検査データ」の作成 ― この3つを1社で対応できる企業は珍しい。

2002年以降は中国・烟台に工場進出して、現地の得意先拠点へ「治工具」の供給を開始。さらに、得意先の生産ラインで使用するFA機器(産業用多軸ロボットでネジ締めを自動で行う装置)などの設計・製作にも取り組んでいる。40年にわたる継続取引により、得意先のものづくりを多方面から支えている。

画像:自動車部品向け検査治工具の設計から組立まで一気通貫左:現場事務所のVPSS 3i BLANKで作成したネスティングデータ/右:BREVIS-AJの集塵機に集塵サイクロン(手前)を組み合わせ、集塵機のメンテナンスサイクル延長・長寿命化をはかっている

検査治工具の設計から組立まで一気通貫

車種や部位によって形状・仕様が異なるため、「治工具」や「検査台」は新車種のリリースやモデルチェンジのたびに製作する必要がある。

奥薗秀一統括部長は「自動車1台分の部品を検査するためには、検査保証項目に応じた多数の治工具が必要です。新車種立ち上げ・モデルチェンジの際には、それらが国内・海外の各生産拠点で必要になります」。

「新規の治工具を製作する場合、得意先からは部品の現品や3次元データをご提供いただきます。当社ではそれらをもとに設計部門が各種治工具の設計を行い、製造部門(板金加工・機械加工・樹脂成形・組立の4部署)へ生産手配をかけ、組立・検査を経て、得意先へと納品しています。また、FA機器は『治工具』の製造のみならず、電気配線やプログラミングまで自社内で行っており、これはお客さまにメリットを感じていただける点ではないかと考えています」と語っている。

  • 画像:自動車部品向け検査治工具の設計から組立まで一気通貫設計部門。得意先から自動車部品の現品や3次元データが支給され、それをもとに各種治工具の設計を行う
  • 画像:自動車部品向け検査治工具の設計から組立まで一気通貫パレットチェンジャー付きの同時5軸制御マシニングセンタが24時間稼働する

会社情報

会社名
植田部品 株式会社
代表取締役
植田 邦正
所在地
静岡県富士市大淵405-30
電話
0545-36-0088
設立
1985年
従業員数
70名
主要事業
自動車部品製造用各種治工具・検査台の製造/自動車部品生産ライン向けFA機器の設計・製造

つづきは本誌2023年8月号でご購読下さい。

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