鋼材業界のファイバーレーザ+棚システム最新活用事例
「東北事業所」が本格稼働 ― 切板加工能力を増強し、販路拡大を目指す
LC-VALSTER-AJの導入で月間加工量3,000トンも視野に
株式会社 山村
販路拡大を目指して「東北事業所」を開設
㈱山村が宮城県亘理町に建設を進めていた「東北事業所」が竣工し、5月から本格操業を開始した。
「東北事業所」は、亘理町が造成した亘理中央地区工業団地の1万6,300㎡の敷地に、延床面積5,084㎡の鉄骨構造平屋建ての工場と、鉄骨構造2階建ての事務所で構成されている。総投資額は約22億円。新工場では建築鉄骨向けを中心に厚板の1次・2次加工を一貫生産する。
切板の1次加工能力を引き上げるため、アマダの鉄骨・鋼材加工向けファイバーレーザマシンLC-VALSTER-6225AJ(10kW)+AS-6225TSS(12段2列)、平板ドリルマシン、オートボーラー、開先加工機、さらに群馬支店から移設したNCガス溶断機と高速丸鋸盤を導入した。
同社は厚板を加工販売するほか、各種鉄骨部材などを加工販売しており、主にH形鋼に取り付けるガセットプレート、スプライスプレートなどを受注生産している。近年の鉄骨需要の拡大にともない、群馬支店(群馬県伊勢崎市)で手がける建築鉄骨向け厚板溶断加工事業の強化・拡充、および販路拡大を目的に東北地区への進出を決めた。同社はこれまでに伊勢崎市で4カ所の工場を稼働させており、「東北事業所」は5カ所目の工場となる。
稼働から2カ月で月間加工量は750トンに
同社が「東北事業所」の開設を本格的に検討し始めたのは2019年だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で計画をいったんストップ。2022年に入ってあらためて計画する中で、亘理町が造成した「亘理中央地区工業団地」を見て、周囲が平坦で工場用地として適地と考え、ここに新しい拠点を建設することにした。
この土地は、東日本大震災で被災した住民のための仮設住宅があった場所。仮設住宅の撤去後に工業団地として造成された。
国は、東日本大震災で特に大きな被害を受けた津波浸水地域(青森県・岩手県・宮城県・福島県・茨城県)などの産業復興を加速させるため、「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」を設け、設備投資の1/6~1/2を補助する事業を創設していた。そこで同社は設備投資の一部に補助金を活用することを計画。2023年3月に亘理町との間で「亘理中央地区工業団地」の土地売買契約を締結した後、補助金事業に応募し、第11次の公募事業に採択された。
「22億円の設備投資額の1/2が助成されることはありがたかったのですが、この公募事業は地域に雇用機会を創出することが目的なので、雇用できるのは地元の方々のみ、しかも提出書類が膨大でした」。
「さいわい30名ほど採用でき、群馬支店から工場長の井上和真常務が出張して新入社員の教育と工場の立ち上げを指揮しました。事業所の運営に関しては営業担当の内山直哉常務が責任者として常駐し、顧客開拓を中心に活動しています。まだ稼働を始めて2カ月ですが、月間加工量は750トンになりました」(山村春美社長)。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 山村
- 代表取締役
- 山村 春美
- 本社
- 千葉県鎌ケ谷市粟野626-1-110
- 東北事業所
- 宮城県亘理郡亘理町逢隈高屋字堂田42-17
- 電話
- 0223-23-1161(東北事業所)
- 設立
- 1988年
- 従業員数
- 130名
- 主要事業
- レーザ加工・プラズマ加工、NCガス溶断加工、丸鋸・ショットブラスト・開先・穴あけ・曲げ加工/ガセットプレート、スプライスプレート、H形鋼、コラム、アングル、チャンネル、FB、その他の鋼材の加工全般
つづきは本誌2024年9月号でご購読下さい。