第35回 優秀板金製品技能フェア 優秀作品紹介(その1)
ファイバーレーザ溶接技術と高度な溶接技能を融合した力作
「THE EARTH」が「厚生労働大臣賞」を受賞
株式会社 マツダ
「溶接の可能性に挑戦する」がテーマ ― 「厚生労働大臣賞」を受賞
「第35回優秀板金製品技能フェア」(以下、板金フェア)の「溶接品の部」に出品した㈱マツダの「THE EARTH」が「厚生労働大臣賞」を受賞した。同賞は「最高度な熟練技能・手法を用い、品質・精度のきわめて高い作品」に贈られる。
この作品はスケルトンの地球儀で、SUS304・板厚0.1㎜の板材から幅0.25㎜の短冊状に切り出し、それをファイバーレーザ溶接で2本接合して経緯線としている。内部のマントルは銅・板厚0.3㎜を切断し、曲げ加工を行った後、溶接している。ファイバーレーザ溶接技術と溶接技能がきわめて高いレベルで融合した作品として評価された。
今回は「造形品の部」に出展した「螺旋と球体の融合」も「アマダ賞」を受賞し、「厚生労働大臣賞」と「アマダ賞」のダブル受賞となった。「溶接の可能性に挑戦する」をテーマに掲げる同社の微細溶接と精密板金加工技術の結晶といえる。
最も重要なのは“人” ― “人づくり”が顧客満足・従業員満足に
同社は1968年、製紙産業がさかんな静岡県富士市で「松田板金」として創業した。当初は主に製紙工場の生産設備・装置関連の製缶板金を手がけていた。
1984年に法人化して「㈲マツダ板金工」となり、1989年に現在の本社工場に移転。レーザマシンを導入して精密板金加工を始め、社名を「㈲マツダ」に変更した。1999年に株式改組し、2代目社長として松田洋一社長が就任した。
松田社長は「量産品を海外で生産する流れは今後も変わらず、日本国内に残る仕事は今まで以上に高付加価値な製品、信頼性が求められる機器、企画・開発に関する仕事へとシフトしていくことが予想されます。日本で創造した価値を全世界へと展開していく流れが、今後はもっと加速していく。このような状況で、当社のような中小製造業の使命は、これまで蓄積してきた技術をさらに高め、それを継続的・持続的に提供していくことだと考えました」。
「そのために最も重要なのは“人”です。より高い技術レベルを持った社員が育つよう、切磋琢磨しながら成長できる環境をつくっていくことが大切だと考えました。それが社員の成長と技術力向上につながり、お客さまの満足と、従業員一人ひとりの満足へとつながる好循環を生み出す ― “人づくり”がお客さまへの提供価値につながり、当社の強みにもつながると考えました」。
現在、同社には工場板金技能士の1級取得者が9名在籍している。溶接技能者としての資格を持っている作業者も多く、レーザ溶接による薄板・微細溶接から、TIG溶接・半自動溶接による製缶溶接まで幅広い対応が可能だ。
先頭のCAD工程は、9台の3次元CADと8名のオペレータで対応。オペレータは全員、工場板金技能士1級をはじめとするさまざまな資格を持ち、抜き・曲げ・溶接・組立の全工程に対応できる多能工で、製品の完成・出荷までひとりでカバーできる。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 マツダ
- 代表取締役社長
- 松田 洋一
- 所在地
- 静岡県富士市五貫島字地神1148-1
- 電話
- 0545-61-3252
- 設立
- 1968年
- 従業員数
- 28名
- 主要事業
- 微細加工、溶接、精密板金加工、レーザ切断加工各種製缶・配管、各種ダクト製作工事
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