生産自動化への取り組みで事業好調な板金企業
人材のポテンシャルを引き出す“人的投資” ― 自動化が“価値の創出”を後押し
自律型搬送ロボットAMTESをいち早く導入 ― レーザ工程の生産性が大幅改善
株式会社 コプレック
自律型搬送ロボットAMTES。ファイバーレーザマシンVENTIS-3015AJのTK(テイクアウトローダー)から製品パレットを機外のステーションへと自動搬送することで、フォークリフトでの作業が減り、安全性が向上するとともに生産性が大幅に改善した
自動化・省力化を徹底的に追求
小林永典社長(左)と鈴木崇靖製造管理部長(右)
静岡県掛川市の㈱コプレックは、1951年にプレス加工企業として創業し、1984年にタレットパンチプレスを導入して板金加工分野へと進出した。1994年には、主力事業をプレス加工による大量生産から板金加工による多品種少量生産へとシフト。その後は小林康男会長の「高性能の加工設備を定期的に導入することが競争力の維持・強化につながる」という方針に基づき、毎年のように最新の加工設備を導入してきた。
ブランク工程には現在、ファイバーレーザ複合マシン2台、ファイバーレーザマシン1台、パンチングマシン5台の計8台を設備している。8台すべて棚付きで、6台はTK(テイクアウトローダー)仕様。2023年には自律型搬送ロボットAMTES-500を他社に先駆けて導入するなど、自動化・省力化を徹底的に追求している。
充実した設備力を武器に事業を拡大し、現在の得意先は約30社。配電制御システム筐体を中心に、工作機械用制御装置筐体、農業機械部品などを手がける。鉄系材料が95%を占め、板厚は0.6~9.0㎜が中心。短納期対応も強みで、受注案件の70%については実稼働4日以内に出荷している。
2024年には温室効果ガスの排出削減目標を掲げ、「中小企業版SBT認証」を取得して“脱炭素”への貢献を新たな提供価値に加えた。最近は、後述するブランディングプロジェクトの成功もあって、さまざまな新規顧客から引合いが寄せられ、さらなる成長へ向けて弾みをつけつつある。
2023年に開設した新工場(西6工場)の曲げ工程。「色の整理整頓」により機能美と働きやすい環境を追求した
職場環境の改善と社員教育の充実をはかる ― 「『工場を、誇ろう。』プロジェクト」を立ち上げ
小林永典社長は2004年に26歳で入社して以来、業務改善や社員教育の充実に力を注いできた。各種認証の取得や、生産管理システムAPC21の導入・立ち上げなどでリーダーシップを発揮し、業務の標準化と情報の共有化・一元化・可視化を推し進めた。
2013年に3代目経営者に就任してからは、従業員の処遇改善に加え、職場環境の改善と社員教育のさらなる充実をはかった。
時には周囲から「無駄な投資では」と指摘を受けながらも、職場環境の改善に取り組んだ。工場内の照明を明るくすることから始まり、トレーニングジムやビアガーデンのような屋上の懇親スペース、快適に過ごせるラウンジなどを設置。ラウンジには社員が自由な発想や遊び心をカタチにできる3Dプリンター(樹脂)やレーザカッターも導入した。
スキルアップ・キャリアアップのための制度も整えた。資格取得支援制度を充実させ、社外で実施されるコンテストや各種研修にも会社負担で業務時間内に参加できる。同社の教育研修費は1人あたり年平均10万円以上で、これは大企業を含めた日本企業の平均額の3倍以上にもなる。
2022年には「『工場を、誇ろう。』プロジェクト」を立ち上げ、リブランディングの取り組みをスタートした。企業理念や行動指針を刷新し、コーポレート・アイデンティティ(CI)を導入。2023年に開設した新工場(西6工場)は「皆が誇れる工場」を目指し、「色の整理整頓」によって機能美と働きやすい環境を追求した。
このプロジェクトは、2024年に初開催の「日経クロストレンドBtoBマーケティング大賞2024」で、大手企業を含む全80件の応募の中から「大賞」に選ばれた。
パンチングメタルと3Dプリンター製パーツを組み合わせた工具収納システム
社員の居場所を示す「イマココ」と「Q&Aポータル」(手前)、各マシンの稼働状況(奥上)、ネットワークカメラシステム(奥下)の画面
会社情報
- 会社名
- 株式会社 コプレック
- 代表取締役社長
- 小林 永典
- 所在地
- 静岡県掛川市下垂木2361
- 電話
- 0537-24-5280
- 設立
- 1951年
- 従業員数
- 66名
- 主要業種
- 精密板金部品(配電制御システム筐体、工作機械用制御装置筐体、農業機械部品、業務用OA機器関連部品、住宅用建材など)の加工・製造
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