技能検定「レーザー加工作業」へのチャレンジ
人材・設備・技術の三位一体で設備投資と資格取得を推進
アミューズメント機器向け板金部品の自社内一貫生産体制を構築
正幸産業 株式会社
人材・設備・技術の三位一体 ― 設備投資と人材育成に注力
正幸産業㈱は、1971年に中島久幸相談役が創業して以来「チャレンジ&ネバーギブアップ」の精神をモットーに掲げ、「People」(技術を正しく見つめる目)、「System」(業界をリードする最新設備)、「Technology」(確実な製品づくりを支える技術)の三位一体を志してきた。
中島相談役は「千葉県シートメタル工業会」の発起人のひとりであり、初代会長。同工業会は発足当初から主要事業として会員企業による「技能検定」へのチャレンジを後押しし、正幸産業としても検定会場を長年にわたり提供するなど大きな役割を果たしてきた。
同社にとって今年は設立50周年の節目の年。半世紀が経った今も三位一体の理念に基づき、最新鋭の加工設備を絶え間なく導入する一方で、「技能検定」をはじめとする各種資格の取得を奨励しながら自社の人材育成に力を注いでいる。
今回、技能検定に「非接触除去加工(レーザー加工作業)」が新設されたことについて、中島謙慈社長は「これで板金加工の主要工程がそろったことになります。タレパン(数値制御タレットパンチプレス板金作業)の技能検定があるのに、レーザ加工の資格がないのはおかしな話。板金業界は今や、レーザがなくては成り立ちません。長い年月をかけてようやくレーザ加工の技能を客観的に評価する仕組みができたわけですから、当社としても積極的にチャレンジしていきたいと思います」と語っている。
アミューズメント機器向け板金部品の自社内一貫生産体制を構築
同社は大手アミューズメント機器メーカーの主力サプライヤーとして、クレーンゲームなどのアミューズメント機器などで用いる板金部品を生産している。創業直後の1970年代中頃から大手アミューズメント機器メーカーとの取引を開始し、約半世紀にわたる継続取引を通じて強力なパートナーシップを構築してきた。
創業当初は金属プレス加工を手がけていたが、製品ライフサイクルの短縮化が進むアミューズメント機器の特性に対応し、板金加工へとシフト。さらに、川上では開発・試作段階から3次元CADを活用したVA/VE提案を行い、川下では溶接組立・粉体塗装まで対応することで自社内一貫生産体制を構築した。
現在の得意先は12社。業種別の売上構成は、主力のアミューズメント機器関連が約80%を占め、続いて建設機械関連が約10%、プリンター・マウンター関連、サーバーラック関連が数%ずつとなっている。
前々期(2022年5月期)と前期(2023年5月期)は、コロナ禍にもかかわらず、主力製品であるクレーンゲーム筐体が好調だった。大規模なプライズ(景品)ゲーム専門店やプライズゲーム専門フロアが増加したことで、クレーンゲーム筐体の需要がかつてないほど高まった。
直近10年のアミューズメント産業は、ゲームセンターなどの施設数が半減した一方、プライズゲームによる売上は約1.5倍に増加。アミューズメント業界全体の売上高の60%弱を占めるまでになり、コロナ前からクレーンゲームなどのプライズゲームに特化した大型店舗の出店が相次ぐようになった。さらに、コロナ禍に後押しされるかたちで、スマートフォンのアプリやWebブラウザ上でクレーンゲームをリモート操作する「オンラインクレーンゲーム」の市場も急拡大した。
「今期は生産調整で落ち着いていますが、先行きは悲観していません。お客さまもクレーンゲームの新機種をリリースし、プライズゲーム機のシェア拡大を狙っています」と中島社長は語っている。
会社情報
- 会社名
- 正幸産業 株式会社
- 代表取締役
- 中島 謙慈
- 所在地
- 千葉県佐倉市六崎1611-1
- 電話
- 043-486-8815
- 設立
- 1973年(1971年創業)
- 従業員数
- 55名
- 主要事業
- アミューズメント機器・建設機械・産業用プリンター・チップマウンター・サーバーラックなどの板金加工・溶接・塗装
つづきは本誌2023年10月号でご購読下さい。