板金論壇

「技能検定」の意義を考えなおす機会

技能検定の試験科目に「レーザー加工作業」が加わる

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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技能検定の試験科目に「レーザー加工作業」が加わる

厚生労働省は2022年3月、職業能力開発促進法施行規則を改正し、近年の産業技術の動向等を踏まえて、技能検定の職種・作業・試験内容を見直した。これにより、2023年4月から職種名「放電加工」が「非接触除去加工」に変更され、1級・2級の学科および実技試験の試験科目に「レーザー加工作業」が加わった。

近年は、レーザ技術を用いた3Dプリンターが世界的に注目を集めている。市場動向を見ても、レーザ・光化学分野における機器・装置の出荷額が増え、CO2レーザからファイバーレーザへの移行とともに省エネ・低コスト化が進むなど、産業分野として成長を続け、加工技術や技能も進展している。それらを踏まえ、産業界からはレーザ加工の技能者養成のため技能検定への追加が要望されていた。

板金加工業界の地位向上にも役立つ

技能検定制度は、「働く人々の有する技能を一定の基準により検定し、国として証明する国家検定制度」。技能に対する社会一般の評価を高め、働く人々の技能と地位の向上をはかることを目的として、職業能力開発促進法に基づき1959年から実施されている。

2022年4月現在、130職種で実施されており、制度開始から2021年度の実施までで、延べ約800万人が合格。合格すると厚生労働大臣または都道府県知事の名前で「合格証書」が交付され、「技能士」と名乗ることができる。

中央職業能力開発協会は、「非接触除去加工(レーザー加工作業)」について次のように説明している。

「レーザー加工は、レーザーの光吸収で材料表面に熱反応を起こさせて、材料を加工する非接触の加工方法です。型などを要さずにプログラム上で曲面や輪郭形状の切断を容易に処理できることから自由度が大きく、近年、多くの製造現場でレーザー加工機が導入されており、その加工技術は従来のものづくりに大きな変革をもたらしました」。

「『レーザー加工作業』では、レーザー加工機による金属の切断加工に必要な技能、知識を対象としています。内容は、レーザー加工方案の決定、プログラミング、レーザー加工、作業時間の見積り等に関する技能・知識と、併せて、非接触除去加工一般、機械要素、機械工作法、材料力学、製図、電気、安全衛生に関する知識も含まれます。1級は、高度なレーザー加工方案の決定や高度なプログラミング、そして高精度なレーザー加工ができるレベルとなっており、2級は通常のレーザー加工方案の決定や通常のプログラミング、そして通常精度のレーザー加工ができるレベルです」。

すでに国内に普及しているレーザ加工機は3万台ともいわれており、このたび技能検定の試験科目に加わったたことで「レーザー加工作業」の技能が認知されたことになる。

板金業界では以前から「工場板金」が職種として認定されており、「数値制御タレットパンチプレス板金作業」「機械板金作業」が認定されている。今回の「レーザー加工作業」の追加で、「切る」「抜く」「曲げる」の作業が認定されたことになり、板金加工の社会的認知度が高まると歓迎する声が聞かれる。

つづきは本誌2023年4月号でご購読下さい。

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