「Photonix 2023」開催
電動化で高まる「銅」の加工ニーズへ向け、短波長レーザの提案が活発に
光・レーザー関連技術の総合展
光・レーザー関連技術の総合展「第23回Photonix」(光・レーザー技術展)が10月4日から6日までの3日間、幕張メッセで開催された。同展は「第14回 高機能素材Week」(材料・加工機械の総合展)を構成する展示会のひとつで、自動車・電機・2次電池メーカーの生産技術・工場関係者が多数来場した。会期中の来場者数は「高機能素材Week」全体で4万3,663名だった。
銅の加工に適した短波長レーザの出展が活発
今回は、ブルーレーザ(青色レーザ)をはじめとする短波長レーザの提案が目立った。
自動車の電動化により、モーター・インバーター・バッテリー・ハーネスなどに用いるバスバー、モーター巻き線、電極・端子などで銅材料の加工ニーズが高まっている。しかし高反射材の銅は、ファイバーレーザをはじめとする近赤外(IR)領域の光吸収率が低く、安定した入熱が難しい。そのため、ブローホールなどの加工欠陥や多量のスパッタが発生するなど、加工品質に課題があった。
一方、ブルーレーザやグリーンレーザといった短波長レーザは、近赤外レーザと比べて金属全般に対する光吸収率が高く、中でも銅などの高反射材の加工に適している。銅に対するブルーレーザの光吸収率はファイバーレーザの10倍以上とされ、高速・高精度・高品質・高効率に加工できる。
ブルーレーザとファイバーレーザを搭載した3次元レーザ統合システム
アマダは、ブルーレーザ(3kW)とファイバーレーザ(3kW)の2つの発振器を搭載した3次元レーザ統合システム「ALCIS(アルシス)-1008e」を初披露。加工用途に合わせて2種類の発振器を切り替えることで、多様な素材・工法に対応できる。
加工ヘッドは、「3次元ヘッド」と「スキャナヘッド」の2種類を選択できる。「3次元ヘッド」はトーチを交換することで切断・溶接・積層造形(パウダーDED方式)に対応し、「スキャナヘッド」は高速・高精度な溶接に対応する。
画像認識技術とAI技術を用いた「AI位置補正システム」により、ワーク位置を自動認識・自動補正する。また、アマダウエルドテックのレーザウエルドモニター「MM-L400A」で加工中の光をセンシングすることで、溶接品質の測定・記録・良否判定が可能となり、トレーサビリティーも確保する。
立体物の加工に適した「2軸ポジショナーテーブル」、平板の加工に適した「平板スキッドテーブル」、パイプの加工に対応する「パイプインデックス」を装着可能。加工機のパーテーションは前面・両側面の3方向からアクセスでき、システムアップによる自動化にも対応できる。
加工デモでは、ブルーレーザによる平角銅線(モーター用ヘアピン)先端部の溶接、銅製バスバーの溶接、モーター用ステータを模した積層電磁鋼板の側面のファイバーレーザによる溶接、SUS316Lの金属パウダーを用いた積層造形を行った。
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