ジャンル・業界を越境するコラボレーションで「共創」を目指す
「組織づくり」「自社商品」「ブランディング」で会社の魅力を高める
株式会社 タシロ
31歳で3代目社長に就任
1966年の創業以来、神奈川県の湘南エリアで板金加工を手がけてきた㈱タシロは、2023年9月に事業承継を実施。61歳の田城裕司氏が取締役会長に、31歳の田城功揮氏が代表取締役社長にそれぞれ就任した。
3代目社長に就任した田城社長は、大学卒業後、人材紹介会社の㈱パソナに入社。同時期に国際ボランティア事業を運営するNGOの理事を務めた。2019年1月に26歳でタシロに入社してからは、田城会長に積極的な提案を行いながら、短期間でさまざまな改革を実行してきた。
田城会長は社長交代にあたり「新社長は私の後継者として、会社をさらなる成長に導いてくれると信じています。幼少期から経営の知識と経験を積んできましたし、常に学び続け、新たなビジネスチャンスを見極める洞察力にも長けています。急速に進化するAI技術、グローバル社会、競合メーカーの台頭に対応するためには、若くてエネルギッシュな力が必要です。私自身も新社長を全力でサポートし、彼が持つ情熱と才能を最大限に引き出すよう努めます。ともに協力し、チーム全体で新たなビジョンを実現し、変化する市場に対応していきたい」と田城社長への期待を述べている。
田城社長は「当社はこれまで時代に合わせた経営に努めてきました。初代(田城俊雄氏)は高度経済成長の波に乗り自動車部品製造をスタート。2代目(田城会長)は最先端の加工マシンを積極的に導入して精密板金加工を強化。3代目の私は『共創』を軸に据え、自社製品の製造販売を新規事業として進めながら、ジャンル・業界を越境するコラボレーションを歓迎する文化を醸成していきたいと考えています」と意欲を示した。
「製造業界のコンビニ」として成長
同社は「製造業界のコンビニ」をキャッチコピーとして掲げ、小規模企業ならではのフットワークの良さを生かして得意先の信頼を獲得してきた。特に短納期対応は最大の強みで、最短で即日見積り・即日納品に対応し、ほとんどの製品を確定受注から1週間以内に納品している。
田城会長はこれまで、最先端の加工マシンをいち早く導入することで競争力を高めてきた。中でも9kWの高出力で4×2m材まで対応するファイバーレーザマシンENSIS-4020AJは、薄板から厚板まで、小物から大物まで幅広く対応する同社の利便性(コンビニエンス)を象徴する主力設備だ。
現在の得意先は約200社で、毎月の取引社数は40~50社に達する。手がけている製品は、歯科治療用椅子のベースや構成部品、食品製造装置や粉砕機のカバー、半導体製造装置向け部品、インフラ関係などさまざま。売上構成比が最も大きいのは歯科治療用椅子向けの部品だが、それでも12~13%にとどまり、業種・得意先の分散化に成功している。
加工材料は鉄系材料とステンレスが合わせて70%、アルミが20%、その他10%と続く。対応する板厚は、鉄系材料が板厚0.1~30㎜超、ステンレスが0.1~20㎜、アルミが0.5~8.0㎜と幅広い。
従業員数はベトナム人6名(技能実習生3名、特定技能3名)を含め計13名。売上高はコロナ禍の際に前年同月比で半減したこともあったが、すでにコロナ前の水準に回復している。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 タシロ
- 取締役会長
- 田城 裕司
- 代表取締役社長
- 田城 功揮
- 所在地
- 神奈川県平塚市入野284-1
- 電話
- 0463-31-7118
- 設立
- 1971年(1966年創業)
- 従業員数
- 13名
- 主要事業
- 歯科治療用椅子、食品製造装置のシュートやホッパー、一般産業機械のブラケットやカバー類、新幹線車両、レース用オートバイの部品加工、介護用自動車部品
つづきは本誌2023年12月号でご購読下さい。