特集

第36回 優秀板金製品技能フェア 優秀作品紹介(その1)

高度な金型技術が可能にした独自工法による「曲げ」と「かしめ」

「厚板の丸め成形品」が「日本塑性加工学会会長賞」を受賞

有限会社 原プレスエンジニアリング

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画像:高度な金型技術が可能にした独自工法による「曲げ」と「かしめ」「日本塑性加工学会会長賞」を受賞した㈲原プレスエンジニアリングの「厚板の丸め成形品」(S35C焼鈍材・板厚3.2㎜、W90×D26×H26㎜)

独自工法の「曲げ」と「かしめ」で実現した「厚板の丸め成形品」

画像:高度な金型技術が可能にした独自工法による「曲げ」と「かしめ」原寛治社長(左)と原誠治常務(右)

「第36回優秀板金製品技能フェア」(以下、板金フェア)の「単体品の部」に出品した㈲原プレスエンジニアリングの「厚板の丸め成形品」が「日本塑性加工学会会長賞」を受賞した。同賞は、「特に高度な曲げの技術・技能を用いた作品」に贈られる。

この作品は、多工程プレス加工による丸め成形品。シンプルなパイプ形状だが、一見しただけでは接合部がわからないほど精度良く成形されている。

S35C(焼鈍材)・板厚3.2㎜の厚板から、300トンプレスを用いて外径26㎜の小径丸め成形を行っている。厚板の小径丸め成形は不均一な変形が発生しやすいが、高度な金型技術によって変形を抑制し、真円度0.1㎜の精度を実現。ねじれや鞍反りもなく、円筒度、真直度、パイプ端面の平面度と、いずれも高い精度をほこる。

U曲げ加工後、接合部端面の一方を凹形状に、もう一方を凸形状に加工し、特殊な工法によって接合部のかしめ加工を行うことで、丸め形状の開きを防いでいる。

高度な金型技術により実現した独自工法による「曲げ」と「かしめ」 ― いずれも技術的に非常に優れているとの観点から「日本塑性加工学会会長賞」に選ばれた。

工法開発・金型・プレスの社内一貫生産に対応

原プレスエンジニアリングは、量産化へ向けた工法開発を得意とする提案型の金型・プレスメーカー。半世紀ちかくにわたり培ってきた高度な金型技術を生かし、工法開発から金型設計製作、量産プレス加工までの社内一貫生産に対応している。

現在は「工法開発事業」「プレス金型事業」「量産プレス加工事業」の3事業を展開。売上構成は「工法開発事業」が60%、「プレス金型事業」が30%、「量産プレス加工事業」が10%となっている。

工法開発と試作金型の設計製作を行う「工法開発事業」では、切削加工・研削加工からプレス加工への工法転換により、大幅なコストダウンを実現してきた。

量産金型の設計製作を行う「プレス金型事業」では、自動金型(順送・トランスファー・ロボットライン)を得意とし、製品仕様に合わせたプレス加工ラインの設備選定も支援。中でも高張力鋼(SPFH590)の冷間板鍛造の量産金型は、高い評価を得ている。

「量産プレス加工事業」では、自社開発の金型を熟練の技術者が最適な状態に維持・管理することで良品の安定供給を実現。これまで、自動車部品や大容量サーボモーター向けモーターコアなどの量産に対応した実績がある。

  • 画像:高度な金型技術が可能にした独自工法による「曲げ」と「かしめ」接合部端面に凹形状・凸形状を加工し、かしめ加工を行っている
  • 画像:高度な金型技術が可能にした独自工法による「曲げ」と「かしめ」厚板の小径丸め成形は不均一な変形が発生しやすいが、高度な金型技術によって変形を抑制している

海外企業では対応できない工法開発が強み

同社は、原寛治社長が1978年に創業した。原社長はそれまで大手プレス機械メーカーの金型関連部門に所属し、プレス機と金型のパッケージ提案ビジネスに貢献。国内外を問わず、さまざまな業種・顧客・製品向けに金型を開発し、技術を磨いた。

1978年に独立し、金型設計事務所として創業。1980年には金型工場を開設し、プレス金型専業メーカーとして発展していった。2007年には量産プレス工場を増築し、「量産プレス加工事業」を開始。金型設計製作から量産プレス加工までの社内一貫体制を整え、ワンストップ対応を強みとして打ち出した。

創業当初は自動車・家電などの量産向け自動金型(順送・トランスファー・ロボットライン)を製作する「プレス金型事業」が100%を占めていたが、バブル崩壊後は家電メーカーの海外生産シフトにともなって金型の技術移転が進展。量産金型の案件は減少へ向かっていった。

そのかわり「工法開発事業」のウエイトが増加し、海外の金型企業では対応できない高度な工法開発・試作が主力になっていった。抜き・曲げ・成形・絞りはもちろん、ローラー歯形、増肉・減肉成形、横穴抜き、角筒絞り、疑似ファインブランキング、鏡面抜き、冷間板鍛造といった幅広い工法に対応。新規アイテムの工法・工程検討はもちろん、機械加工からプレス加工への工法転換、複数部品のプレス一体化、工程短縮・VA/VE提案を推し進め、得意先各社と強力なパートナーシップを構築している。

近年は同社の技術力を最も生かせる事業として「量産プレス加工事業」にも力を入れている。得意先にあたるメーカー各社は、サプライチェーン強靱化やBCP(事業継続計画)の一環で国内回帰を進めており、一貫対応が可能な同社へのオファーも増加傾向にある。象徴的な事例として、前期(2024年3月期)に試作、今期(2025年3月期)に量産金型製作、来期(2026年3月期)から量産が始まるインフラ関連の大型案件も進行中だ。

  • 画像:高度な金型技術が可能にした独自工法による「曲げ」と「かしめ」金型加工に用いるワイヤ放電加工機
  • 画像:高度な金型技術が可能にした独自工法による「曲げ」と「かしめ」2007年に開設した量産プレス工場。7台のプレス機を設備している

会社情報

会社名
有限会社 原プレスエンジニアリング
代表取締役
原 寛治
所在地
神奈川県相模原市緑区青山2984
電話
042-784-6661
設立
1981年(1978年創業)
従業員数
8名
主要事業
自動金型設計製作(順送型・トランスファー型・ロボットライン型)/金属プレス加工による部品製造/試作開発(工法・工程提案)
URL
http://www.hpeng.jp/

つづきは本誌2024年5月号でご購読下さい。

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