自動倉庫と連動した自動化ライン
ブランク工場を先頭に大胆なレイアウト変更を実施
事業承継ファンドの協力で組織・業務改革も進める
東里工業 株式会社
2022年7月、新工場に導入したファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJと自動倉庫MARS-2512N(10段11列)。MARSの導入でACIES-AJの長時間連続運転が可能になった
開発設計・試作・量産までを一貫対応
髙橋政智社長(右)とブランク工程担当の青柳進之介さん(左)
東里工業㈱は2001年8月、髙橋政智社長を含めた6人の仲間で創業した。
髙橋社長は一関工業高等専門学校卒業後に上京、金型製造会社に就職した。長男の髙橋社長は両親の希望で7年後に地元に戻り、当時の東山町が誘致していた金属加工会社に就職。工場長として工場運営を任されるまでになった。
1999年に勤め先が倒産したタイミングで一念発起。「設備はほとんど残らなかったが、社員には技術が残った。ここで地元の人が安心して働ける場をつくろう」と、交流があった企業や東山町の支援のもと、元同僚たちにも声をかけ、起業した。
現在の社員数は85名。年商は前期実績で16億円となっている。精密板金を中心に開発設計・試作・量産までを一貫して行っており、手がける業種は自動サービス機、半導体製造装置、鉄道車両、医療機器、防犯装置などと幅広い。
左:2022年に竣工したブランク工場/右:クロモジから抽出した精油を原料とする化粧水(右)とクリーム(左)
化粧品事業で「6次産業化」を目指す
2021年には熊本大学、沖縄工業高等専門学校との産学連携で開発した衝撃波破砕装置を使い、「クロモジ」(クスノキ科の落葉低木)から抽出した精油を原料とする化粧品の製造販売事業に参入した。
髙橋社長は、東山町を中心とした一関市の地元経済活性化の方策として、「6次産業化」に取り組まなければいけないと考えていた。「6次産業化」とは、1次産業に従事する農林漁業者が製造・加工(2次産業)やサービス業・販売(3次産業)にも取り組み、農水産物をはじめとした地元産品の価値を高め、それにより農林漁業者の所得を向上させていこうというものだ。
同社が参入した化粧品の製造販売事業は、農林業者にクロモジの栽培を依頼し、収穫したクロモジの落葉から精油を抽出して、それを原料に化粧品を製造・販売する事業だ。現在は町内の一部住民の協力を得て約1,400本のクロモジを栽培し、2021年8月中頃から本格的な化粧品の製造を進めている。
製造する化粧品ブランド「LINEST」はクリーム、化粧水、洗顔料、薬用クリームをラインナップ。しかし、「6次産業化」にはまだアイテムが少ない。販売も同社のルートだけでは量がさばけない。
そこで、試供品などの促進ツールを拡充し、リクルートが行っている副業ビジネスのマッチングに参加して、SNSなどを活用する副業オーナーを探している。また、クロモジの葉をパウダー状にしてクッキーなどに仕上げる健康食品なども開発し、将来はクロモジの栽培面積を増やして地域を活性化させたいと考えている。
曲げ工程。曲げ待ちのブランク材が台車で運ばれてくる(手前)
TIG溶接や半自動溶接による溶接組立
会社情報
- 会社名
- 東里工業 株式会社
- 代表取締役
- 髙橋 政智
- 所在地
- 岩手県一関市東山町長坂字里前105-8
- 電話
- 0191-47-2899
- 設立
- 2001年
- 従業員数
- 85名
- 主要業種
- 精密板金、レーザ加工、製缶加工、試作、板金製作、産業用機械の設計・製作
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