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プレス・板金の両輪体制を充実させ、「デザイン・イン」を推進

「深絞り加工」が最大の強み ― 板金加工の能力増強で新規案件に対応

株式会社 加藤製作所

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画像:プレス・板金の両輪体制を充実させ、「デザイン・イン」を推進2023年3月に導入したファイバーレーザ複合マシンEML-2512AJ(3kW・2棚・TK仕様)。建設機械・農業機械の新規案件を想定し、板厚6.0㎜程度までの中厚板に対応できる体制を整えた

プレス・板金の両輪体制で「デザイン・イン」を推進

画像:プレス・板金の両輪体制を充実させ、「デザイン・イン」を推進糸魚川鋼平部長(左)と加藤寛専務(右)

1888年(明治21年)に鍛冶屋として創業し、今年で創業136年をむかえる㈱加藤製作所。1954年に大手送風機器メーカーの主要サプライヤーとして設立して以降は、プレス加工を主体に成長してきた。中でも「対向液圧成形」に代表される絞り加工の技術力には定評があり、「しぼりのかとう」として確固たる地位を築いてきた。航空機の機体部品としても採用され、航空宇宙・防衛産業に特化した品質マネジメントシステムJIS Q 9100の認証も取得している。

2014年に普及段階に入ったばかりのファイバーレーザ溶接を採り入れてからは、板金加工・溶接組立にも力を入れている。近年は「プレス板金・溶接組立にも強いかとう」を打ち出し、2023年3月にはファイバーレーザ複合マシンEML-2512AJ(2棚・TK仕様)を導入して、複合マシン2台体制となった。2014年以前の加工ウエイトはプレス70%、板金30%だったが、現在はほぼイーブンで、板金加工の比重がさらに高まる傾向にある。

プレス加工と板金加工の両輪体制が盤石となったことで、試作から一品一様、多品種少量生産、量産までの一貫生産体制を構築。設計開発段階から参画し、量産を視野に入れた技術提案と試作を行いながら一括受注を獲得する「デザイン・イン」のビジネスモデルを確立している。

  • 画像:プレス・板金の両輪体制を充実させ、「デザイン・イン」を推進曲げ工程。2026年度までにベンディングロボットシステムを導入して曲げ工程の能力アップをはかる計画
  • 画像:プレス・板金の両輪体制を充実させ、「デザイン・イン」を推進2014年に導入したファイバーレーザ溶接システムFLW-2000の段取り作業。PCS筐体の溶接などで活躍した

強靱な売上ポートフォリオでコロナ禍を克服

プレス加工と板金加工を合わせた業種別の売上構成は、家電が約50%、住宅・エクステリアが16%、空調機器が12%で、工業用機器、自動車、航空機などと続く。設立当初から取引を続けてきた送風機器メーカーの仕事は「家電」に含まれ、約30%を占めている。

2020年以降は、コロナ禍の影響により航空機部品の仕事が大幅に減少。さらに、主力得意先のひとつだった自動車メーカーが工場を撤退し、板金加工の立ち上げを支えてきた太陽光発電向けパワーコンディショナー(PCS)が生産終了になるなど、経営環境が悪化した。

しかし、直近の2023年度(2024年3月期)はPCS筐体の新規案件、車載冷凍機、住宅・エクステリア、電気温水器、石油ストーブ関連などの仕事が増加し、V字回復を遂げた。2024年度(2025年3月期)も建設機械・農業機械やPCS筐体などの新規案件が立ち上がる見通しだ。

主要得意先は約50社。以前から「10業種10社10%」を目標に受け皿を広く構え、毎年10社程度の新規得意先を開拓してきた。分散化による強靱な売上ポートフォリオが功を奏し、コロナ禍を乗り越えて再び成長軌道に乗った格好だ。

  • 画像:プレス・板金の両輪体制を充実させ、「デザイン・イン」を推進協働ロボットを採用したアーク溶接システム。2024年5月頃には協働ロボット搭載のファイバーレーザ溶接機を導入予定
  • 画像:プレス・板金の両輪体制を充実させ、「デザイン・イン」を推進対向液圧プレス。同社の最大の強みは「深絞り加工」で、中でも「対向液圧成形」を得意としている

会社情報

会社名
株式会社 加藤製作所
代表取締役
加藤 景司
所在地
岐阜県中津川市駒場447-5
電話
0573-65-4175
設立
1954年(1888年創業)
従業員数
96名(うちパート・キャリア社員44名)
主要事業
家庭電気器具部品、自動車部品、騒音防止機器(防音壁、消音機)、航空機部品などの製造
URL
https://www.katog.co.jp/

つづきは本誌2024年4月号でご購読下さい。

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