継続は力なり ― 事業承継で成長する変化対応力
GIGAスクール構想、風力発電分野で新規受注に成功
5代目から次世代への事業承継も盤石の体制づくり
赤石工業 株式会社
事業承継者を育てるため社長に就任
赤石工業㈱は1968年、東京三洋電機㈱足利事業所の開設にともない、同事業所の協力工場として赤石峰一氏と三洋電機の株式持ち合い(50%ずつ)により設立された。2011年に4代目社長の赤石修一氏(現会長)が全株式を買い取った。その後は空調機器を中心に事務機や建築金物の仕事へと事業を拡大してきた。
60歳になった赤石社長は次代へ事業承継することを計画し、若い世代へのバトンタッチを考えていた。しかし、承継者を育てるには最低10年はかかるだろうという判断から、自身より4歳若かった小川邦明氏(現社長)に承継することを決断。「10年間はお前が社長となって承継者を育てろ」と説得して2017年に社長を交代した。
赤石工業の年商は2019年度で約13億円。2025年度には15億円を目指している。現在の売上構成は業務用空調関係が17%、パワーコンディショナーが20%、事務機器が25%、建築関係が10%、アミューズメント関係が20%、試作の仕事が5~6%となっている。得意先は継続取引でリピート受注の割合が高い企業が約20社。試作関係の企業を含めると計30社ほどとなっており、試作から量産まで一貫して行う仕事の割合も高い。
使用材料は90%以上が鉄系で、その約70%が高耐食めっき鋼板。そのほかはステンレス、真鍮などでアルミはほとんどない。板厚は0.8~3.2㎜で、大半は0.8㎜、1.2㎜、1.6㎜となっている。
「GIGAスクール構想」の充電保管庫を生産
昨年から受注が急拡大している事務機器は「充電保管庫」が中心となっている。
文部科学省が打ち出した「GIGAスクール構想」 ― 義務教育を受ける児童生徒に1人1台の学習用PCと高速ネットワーク環境などを整備する5カ年計画の実現に向けて、小中学校に整備されるノートPCやタブレット端末を充電しながら保管できる「充電保管庫」が必需品となっている。5年間に導入される端末の台数は600万台以上といわれ、それらを収納するために必要な充電保管庫の台数は30万台以上といわれている。
同社はこの「充電保管庫」の製造を岡山県にある事務機器メーカーから受注。それに合わせて昨年1月には設計や営業などを担当する岡山営業所を開設し、設計から製造、出荷までの手配を一括で行うようになった。月産台数は数百台となっており、2021年度には売上全体の25~30%程度を占める見込みとなっている。
「『充電保管庫』は44台用、22台用の2種類を製作しています。ほとんどが標準品ですが、たまに特注品もあります」。
「このお客さまはコンピュータ関連の事務機器、装置などを設計・開発されているので、充電保管庫以外の事務機器の仕事を受注するチャンスも広がると期待しています」と小川社長は語っている。
会社情報
- 会社名
- 赤石工業 株式会社
- 代表取締役社長
- 小川 邦明
- 所在地
- 栃木県足利市大月町94-2
- 電話
- 0284-41-7586
- 設立
- 1968年
- 従業員数
- 99名
- 主要製品
- 業務用空調機器、建築用部材、充電保管庫、アミューズメント、ほか各種板金製品加工
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