「脱炭素」を推進力に飛躍を期す ― サステナブルな企業を目指して
金型技術・生産技術を強みに、ものづくりの上流から新規開拓
大和金属工業 株式会社
6カ所目の生産拠点を開設 ― 環境機器の増産に備える
大阪・福井の2地域で金属プレス加工を手がける大和金属工業㈱は、2023年2月、福井県越前市の今立工業団地に建設した「越前たけふ工場」の操業を開始した。
新工場は、2024年3月に開業する北陸新幹線・金沢~敦賀間の新駅「越前たけふ駅」から車で5分ほどの好立地。福井県内の生産拠点としては「福井工場」(中型~大型プレス)、「東工場」(金型・2次加工・組立)に続く3カ所目。同社全体では、大阪府内の3工場 ― 「本社工場」(金型)、「渋川工場」(小型プレス)、「出戸工場」(組立)と合わせ、6カ所目の生産拠点となる
2022年11月に3代目社長に就任した橋本孔志社長(営業統括)は「新工場は2023年度中に本格稼働の予定。これから成長が期待される太陽光発電向けパワーコンディショナーや蓄電池ユニット、EV充電スタンド、次世代遊技機などの増産に向け、生産能力の増強をはかりました」と語っている。
新工場には、新たにリンクモーションプレスTPL-200FX×5台のロボットラインとスポット溶接機5台を導入し、作業者9名を配置(計画では18名)。同社が保有するロボットラインの最大加圧能力を110トンから200トンに拡大するとともに、プレス加工から2次加工、サブアッシーまで1カ所で完結させる一貫ラインを構築した。さらに、京都・大阪の塗装工場(協力会社)、大阪の組立工場(出戸工場)との連携を強化し、福井を起点に京都・大阪へと南下しながら西日本エリアの主要顧客へ製品を供給するルートを確立させる。
金型技術・生産技術を武器に大手メーカーの開発部門へ技術提案
同社は1948年に大阪で創業して以来、高度な金型技術と生産技術、迅速・柔軟な対応力を強みに、上場企業を含む大手メーカーとの直接取引を実現してきた。
創業から約40年間は、大手家電メーカーとの取引がほぼ100%を占めていた。プレス金型専業メーカーとしてスタートした同社は、得意先メーカーの意向に応えるかたちで金属プレス加工に参入し、一部サブアッシーまで手がけるようになった。
1985年に得意先の中核拠点がある福井県へ工場進出したが、その直後、突然の海外生産移管により大打撃を受けた。窮地に追い込まれた同社は、それまで培ってきた金型技術・生産技術のノウハウを活かし、大手メーカーの設計開発部門へ向けて技術営業を展開。北陸地方の液晶機器メーカー、産業用電源メーカーを皮切りに、西日本エリアで新規得意先を次々と開拓した。「設計開発部門へ向けた技術提案」は同社を象徴する営業手法として浸透し、今もなお新たな技術開発に挑戦し続けている。
独自の工法でコスト低減と安定品質を実現するため、主要な金型・治具はすべて内製。プレス工程は、自社製の金型により大型・箱形状の絞り加工に対応し、カム機構による側面穴加工、型内タップ加工、多数個取り順送加工なども採り入れた。2次加工・組立工程は、スポット溶接治具や組立治具により、作業者のスキルに加工品質が左右されない体制をつくり上げた。さらに、ロボットラインと単発プレスのライン間自動搬送、プレス加工後のコンベア搬送とライン内検査、組立工程のタクトバランスに合わせた人員配置などにより、生産プロセス全体の生産性を徹底的に改善してきた。
同社の技術力と対応力は得意先各社から高い評価を受け、取引量は着実に増えていった。さらに、得意先メーカーの別の事業部やグループ会社にも「信頼できるサプライヤー」として紹介され、取り扱う製品・業種が広がっていった。
会社情報
- 会社名
- 大和金属工業 株式会社
- 取締役会長
- 橋本 孔作
- 代表取締役社長
- 橋本 孔志
- 本社
- 大阪府大阪市平野区加美東1-1-15
- 福井工場
- 福井県越前市五分市町28-6
- 電話
- 0778-27-1642(福井工場)
- 設立
- 1985年(1948年創業)
- 従業員数
- 143名
- 主要事業
- 産業機器・液晶機器・金融機器・音響機器・照明機器・遊技機器・環境機器の金属プレス加工、金型・治具の設計製作、2次加工(タップ・カシメ・スポット溶接など)、サブアッシー
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