自動車・電機向け非金属樹脂プレスのリーディングカンパニー
サーボプレス導入で先端分野の非鉄金属部品へ事業拡張
株式会社 山田製作所
非金属樹脂プレスのリーディングカンパニー
愛知県刈谷市の㈱山田製作所は、金型設計・製作からプレス加工までの一貫生産に対応する精密樹脂部品の専門メーカー。フェノール樹脂積層板(ベークライト)をはじめとする多種多様な樹脂材料を取り扱い、主に自動車・電機の分野へ向けて絶縁体部品・保護部品などを供給している。樹脂積層板の絶縁体部品を主力とするプレス企業は珍しく、長年培ってきた独自技術によって多くの得意先から絶大な信頼を得ている。
特殊な材料を使った特殊な加工分野ということもあり、試作などの少量生産から大量ロット生産まで、素材もフィルムのような薄物から積層板のような厚物まで、幅広く対応する。技術・ノウハウが詰まったプレス金型はほぼすべて内製で、プレスマシンには特別仕様の自動化装置を装着して生産性を高めている。
金型によるプレス加工が80%以上を占める一方、プレスと切削の複合加工や、ローコスト・短納期で対応可能なトムソン加工なども採り入れ、得意先のニーズに応じて柔軟な提案ができることも強みとなっている。
主力製品は自動車・電機向け絶縁体部品
主力製品は自動車・電機の分野で用いられる樹脂積層板の絶縁体部品。具体的な用途は、自動車のスターターモーターやワイパーモーター、電動シート、ハイブリッド車用コンバーター、リチウムイオン電池など多岐にわたる。
得意先は約35社。業種別の売上構成は、自動車関係が60%強、蓄電池を含む電機関係が35%、航空宇宙関係・住宅設備関係などが5%弱となっている。
取り扱う素材は、紙・布・ガラスそれぞれを基材としたフェノール樹脂積層板(ベークライト)、ガラスエポキシ樹脂積層板、絶縁紙、ゴム、PETフィルム、PEEK樹脂材(スーパーエンプラ)、プレスボード(木材繊維を主原料とした特殊硬質繊維ボード)、両面テープなど幅広い。
その中でも絶縁性・強度・耐熱性に優れたガラス基材のフェノール樹脂積層板(ガラスベーク)を最も得意としており、売上全体の50%以上を占める。続いて絶縁紙が20%弱、布ベークとフィルム系が10%ずつ、紙ベークが10%弱となっている。
新規開拓に注力 ― 先端分野からの引合いが目立つ
2017年に3代目社長に就任した山田慎一郎社長は、最大の強みである非金属樹脂プレスの技術を生かしながら、新規開拓を推進している。Webマーケティングにも力を入れており、ソリューションサイトを立ち上げ、ビジネスマッチングサイトを通じて積極的な提案営業を展開している。
山田社長は「これまで手がけてきた素材や加工方法にこだわって選り好みするのではなく、少しでも当社が貢献できる可能性を見いだせたら迷わずアプローチをかけています。図面を見ただけで判断するのではなく、用途や機能までヒアリングして、それを実現するための提案につなげることを心がけています。その結果として自然と領域が広がっていき、従来事業とは一線を画した案件のお話もいただくようになってきました」と語る。
現在進行中の有望な案件は、自動車用ワイヤレス充電関連、マイクロホン機構関連、自動運転向けカメラ部品、航空宇宙向けCFRP部品などで、先端的な分野からの引合いが目立つ。
「現在は車載モーター向けの絶縁体部品が大きな割合を占めていますが、電動化によってエンジン系のモーター ― スターターモーターなどの仕事はまちがいなく減っていきます。それに、駆動用を除くモーターはコモディティー化が進み、付加価値を生み出しにくくなっています。こうした状況を俯瞰したとき、次世代自動車や、自動車以外の分野も開拓していく必要があります」。
「リサイクル炭素繊維やバイオプラスチックといった新しい素材の動向にも注目しています。異業種連携で、耐火性能・防爆性能が高い材料開発にも取り組んでいます。また、いつかは海外に工場進出したいとも考えています。中国や東南アジアでは当社が生産している自動車部品のニーズがあるという情報もキャッチしているため、引き続き注視していきたい」(山田社長)。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 山田製作所
- 代表取締役
- 山田 慎一郎
- 所在地
- 愛知県刈谷市小垣江町大津崎1-18
- 電話
- 0566-21-1240
- 設立
- 1959年(1955年創業)
- 従業員数
- 52名
- 主要事業
- 絶縁体部品・保護部品をはじめとする精密樹脂部品のプレス加工・金型設計製作・トムソン加工など
つづきは本誌2022年9月号でご購読下さい。