Interview

会員の業種を広げ「実のある工業会」にしたい

受託事業に加え、メーカー指向の商品事業を柱に ― チャンスを逃がさず、勇気を持って決断する

兵庫県シートメタル工業会 会長 濵部 晃 氏 (有限会社 浜部製作所・株式会社 ハマベ 代表取締役社長)

LINEで送る
Pocket

画像:会員の業種を広げ「実のある工業会」にしたい濵部晃氏

兵庫県シートメタル工業会の2020年度通常総会で、9代目会長に選任された濵部晃氏は、コロナ禍でリアルな工業会行事ができない環境下でも新規会員の参加を得るなど工業会活動を率先垂範してきた。

同工業会は兵庫県内の板金加工事業者の発展、会員企業の繁栄と業界発展のため広く親睦をはかり、教育・技能・経営などの業界に関わる諸問題の研さんを目的に1986年11月に設立され、現在の会員企業数は50社を超える。親睦行事などを通じての情報交換、技能検定試験の実施、各種研修会での技能向上、人材育成を積極的に推進。また、若手経営者向け研修会なども積極的に行い、「青年部」では他地域の工業会青年部との交流も深めている。

業界を取り巻く環境は激しく変化しており、業界構造も大きく変わろうとしている。そこで濵部会長にこれからの業界展望を踏まえた工業会活動や、企業経営者としての心構え、これからの経営の在り方について話をうかがった。

業況はゆるやかな回復傾向

― 板金業界の現状をどのように見ておられますか。

濵部晃会長(以下、姓のみ) 兵庫県内には建設機械、鉄道車両、医療機器、現金処理機、計量機器、電気・電子機器、産業機械など重厚長大から小物精密部品まで幅広い需要業界があります。材質・板厚も幅広く、精密板金、製缶板金を手がける会員企業が多い。半導体関連や、好調だった建設機械関連も先行きが見通せないので、一部に停滞感はありますが、会員企業は比較的順調に事業活動をされていると思います。半導体関連も夏以降には改善予兆が見え、2024年度はゆるやかに推移していくと考えています。

自社の強みを生かし魅力ある企業に育てる

― 事業承継、人材確保、人材育成、DX・GXなど、さまざまな課題への対応が求められています。

濵部 後継者難で事業承継をどうするか腐心されている企業は私の周りにもあり、最近はM&Aもさかんに行われるようになっています。時間との勝負なのでドライに判断していくしかないと思います。目まぐるしく変動する社会と経済状況に対応するためには、常に現場を重視し、時代のニーズに対応できる体制や環境への整備が重要だと思います。そのためにも、自社の強みと弱みを把握することが必要です。

当社の場合、技術力と高品質に加えて、社員一人ひとりがお客さまの立場に立ったサービスなどを充実させるよう、人材育成にも取り組んできました。結果として、私の子どもたちも進んで事業を手伝ってくれるようになりました。会社に魅力がなければその選択はないわけで、魅力ある企業に育てることこそが重要だと思います。

画像:会員の業種を広げ「実のある工業会」にしたい左:「第29回優秀板金製品技能フェア」で、経済産業大臣賞を受賞した「環境試験機(恒温槽)1/4サイズ」/右:㈲浜部製作所の本社工場

変化する業界構造に対応する

― 発注元を頂点とするピラミッド型のサプライチェーンが、発注元とイーブンなパートナー関係の水平型に変わり始め、サプライヤーの企業規模が大きくなり、加工能力も金属加工全般に拡大するなど、業界構造も大きく変わり始めていると感じます。

濵部 板金、プレス、機械、電気加工など金属加工全般に対応できる企業に仕事が集中する傾向が顕著になってきました。これまでのように「抜き、曲げ、溶接だけが得意」といったことでなく、一括で賄える企業が伸びています。加工範囲が広がると企業規模も大きくなり、従業員も増やす必要が出てきます。

ただ、これは受託加工型のビジネスモデルに見られるケースで、当社のように自社製品の製造販売も行う場合、保有設備や技術も限定的で従業員もほどほどで対応できると思います。必ずしも企業規模を大きくすることが目標にはなりません。会員企業の中でも売上比10~20%を自社製品で賄いたいと考える企業が増えています。売上の平準化、景気対策という考えもあると思いますが、こうしたスタイルも新たな業界構造を表す考え方のひとつだと思います。

画像:会員の業種を広げ「実のある工業会」にしたい左:ファイバーレーザ複合マシンEML-2512AJ+ASR-2512N/右:試験機の筐体

全文掲載PDFはこちら全文掲載PDFはこちら

会社情報

会社名
有限会社 浜部製作所/株式会社 ハマベ
代表取締役社長
濵部 晃
所在地
兵庫県神戸市西区高塚台3-1-50
電話
078-991-1794
設立
1989年
従業員数
25名(㈱ハマベも含む)
主要事業
自動化・省力化機器・恒温槽の設計製作、各種制御盤の製作、精密板金加工
URL
https://www.hamabe-ss.jp/

つづきは本誌2024年4月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

Interview記事一覧はこちらから