Interview

人と地球にやさしい「スーパーアルカリイオン水」

ものづくりのゼロエミッション、環境経営に貢献する

株式会社 Eプラン 代表取締役社長 松澤 民男 氏

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画像:人と地球にやさしい「スーパーアルカリイオン水」松澤民男氏

工場での洗浄作業を安全に ― ㈱Eプランは、洗浄力と環境負荷の低減を両立した強アルカリイオン電解水(「スーパーアルカリイオン水」)を、板金業界をはじめとした幅広い業種の工場に展開している。

工業製品の製造工程では機械加工後の洗浄は欠かせない。以前はフロンをはじめとしたさまざまな化学物質が洗浄に使われ、環境負荷や従業員の健康への影響が問題になっていた。1987年のオゾン層の保護を目的とした「モントリオール議定書」のほか、先進国の温室効果ガスの排出量について国ごとに法的拘束力のある数値目標を設定した1997年の「京都議定書」で溶剤に使われるフロン類が使用禁止になるなど、世界的な取り組みが始まった。

現在、フロン類の化学物質は使われなくなったものの、工場では有機溶剤系洗浄剤が、家庭では石油系合成界面活性剤が広く使用され、河川や海洋、地下水の汚染の原因となっている。

松澤民男社長は「水だけで汚れが落とすことができれば、こうした問題は一気に解決する」と考え、水を電気分解してつくられるアルカリイオン電解水に注目した。酸を中和し、油脂の分解作用のあるアルカリイオン水は以前から、水素イオン濃度(pH)が低いものは飲料用として、高いものは洗浄用として使われてきた。しかし、これまでのアルカリイオン水は生成する際に電解質として塩化ナトリウムを使用するため、電解水にサビの要因となる塩素イオンが含まれており、金属の洗浄に使用することができなかった。

そこで、松澤社長は電解質に炭酸カリウムを使い、陽イオン交換膜と組み合わせることで、成分の99.9%が純水ながらpH11.5~13.1の強アルカリ電解水、「スーパーアルカリイオン水」(SAIW)の製造に成功。SAIWと電解水生成装置、廃棄処理システムなどの普及を通じて製造現場の課題解決に貢献している。

また、最近は強力な洗浄力・除菌・消臭効果に加え、人体への影響がないことから一般家庭から食品加工業界、病院、介護施設、保育所・幼稚園、イベント会場などでも広く使われるようになってきた。

板金業界でも洗浄装置としての評価が高まり、導入するユーザーが目立ってきた。2023年10月からはメタルシート洗浄装置のアマダへのOEM供給が始まっている。そこで、松澤民男社長にSAIW開発の経緯や今後の展望について話を聞いた。

人にも環境にもやさしいSAIWを普及するため、57歳で起業

― 松澤社長は57歳で会社を創業されました。起業までの経緯についてお教えください。

松澤民男社長(以下、姓のみ) 私は1946年に群馬県前橋市で生まれ、東京の工業デザイン系の専門学校を卒業後、母方の叔父が経営する金属加工企業に入社しました。洗車機や洗浄装置などを設計する開発業務をメインに、時には現場も手伝いました。

1997年の「京都議定書」で、洗浄に使う化学物質や汚れ落としに万能だったフロンが、地球を覆っているオゾン層を破壊するおそれがあるなどの理由で使用が禁じられたため、フロンの代替となる洗浄剤を探していました。試行錯誤の末に出会ったのが、その後の私の人生を大きく変えることになる強アルカリ電解水、「スーパーアルカリイオン水」(SAIW)でした。

SAIWは水素イオン濃度(pH)の高さに比例して洗浄性や防さび能力が向上するとともに、バクテリアが生存できない環境であることから洗浄後に製品が腐敗しにくく、防臭性も高いことがわかりました。成分が水だけなので人にも環境にもやさしく、発展性があるSAIWを多くの業界に広めたいと考え、会社の上層部に装置の商品化を進言しましたが、許可が下りませんでした。「サラリーマンには限界がある」「全責任を自分が背負い、自分で広めるしかない」と決心し、同僚4名と退社して㈱Eプランを創業。中小企業基盤整備機構などが運営する千葉県船橋市のインキュベーション施設「ベンチャープラザ船橋」に入居しました。

Eプランの「E」は、エンバイロメント(Environment)やエコロジー(Ecology)など、環境に関係する4つの「E」から命名しました。

画像:人と地球にやさしい「スーパーアルカリイオン水」左:OEM供給されたSAIW生成装置/右:SAIWシートメタル洗浄装置

実演販売を通じて、ニーズの高さを実感

― 創業後はどのようにSAIWの普及を進めていったのでしょうか。

松澤 退職金は開業資金などで使いきってしまったので、運転資金や開発資金を稼ぐため、知人に紹介されたテレビショッピングにSAIWを出品しました。水で洗浄するという安心感から大きな反響があり、1日で想定を上まわる売上を記録したこともありました。2年ほどの出品経験で消費者が環境を汚さず、人体にも害を与えない洗浄・除菌に強い関心を持っていることがわかりました。

― 展示会でもSAIWの「e-WASH」を使って腕時計に付着した不純物を短時間で取り除く実演を行い、来場者たちの関心を集めていました。

松澤 テレビショッピングで実演販売のセンスを学びました。実演はB to B市場でも、B to C市場でも私が率先して行うトップセールスの手段です。その結果、大手自動車メーカーや重工業メーカー、大手コンビニチェーン向けの食品加工業者など、多くの業種で使われるようになりました。2021年には洗剤を使わないコインランドリーとしてSAIWによる洗濯サービスも開始しました。

生成装置に関しては海外からの引合いも増えていて、2018年と2019年にはそれぞれ150台程度、中国の富裕層向けに輸出しました。

  • 画像:人と地球にやさしい「スーパーアルカリイオン水」新型コロナウイルスワクチンの大規模接種会場(群馬県)では会場内の感染予防のため、e-WASHが噴霧された
  • 画像:人と地球にやさしい「スーパーアルカリイオン水」板金工場で活用されるメタルシート洗浄装置

会社情報

会社名
株式会社 Eプラン
代表取締役社長
松澤 民男
所在地
千葉県船橋市高瀬町31-6
電話
047-404-9240
設立
2003年
従業員数
40名
主要製品
強アルカリイオン電解水生成装置・洗浄機・洗浄システム・洗浄関連の周辺装置・機器など全般洗浄液再生リサイクル装置、膜装置(RO、UF、MF)など
URL
https://www.eplan.co.jp/

つづきは本誌2024年1月号でご購読下さい。

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