「ものづくりは ひとづくり 夢づくり」
“順送化”と“工程短縮”による提案力で成長 ― 板金加工事業を本格立ち上げ
株式会社 M.T.C
「ものづくりは ひとづくり 夢づくり」
㈱M.T.Cは、大手住宅設備メーカーのユニットバス・システムトイレ・システムキッチン向けの部品、大手事務機器メーカーのスチール家具向け部品を中心に手がける金属プレス加工企業。創業以来50余年、赤字決算になったことは一度もなく、対前年比で売上が減少したこともリーマンショック翌年の一度だけという優良法人だ。
1968年の創業以来、ドアロック部品を中心とした小物部品のプレス加工を手がけてきた。土地や資産があるわけでもなく、20年弱は家内工業の形態で事業を続けてきたが、何度かの“転機”を経て少しずつ業容を拡大。今では奈良県内でトップクラスのプレス機保有台数をほこるまでに成長した。
1980年に18歳で入社して以来、同社の成長を牽引してきた森久次社長は、「両親と3人で事業を切り盛りしていた頃から、会社を大きくしたいという漠然とした夢を持っていました」と振り返る。
森社長は「私は“夢”が好きです。社員のみんなも、人として生まれたからには夢を持ってほしい」と語り、「ものづくりは ひとづくり 夢づくり」を社訓に掲げ、「経験を知識に 情報を知恵に 夢を現実に」を企業理念として掲げている。創意工夫や困難を克服することに喜びを見いだし、得意先からの相談事や不可能と思われる要求にも決して「ノー」と言わずに立ち向かう。社員に対しても「一緒に楽しもうや。楽しんで仕事しようや」と呼びかけ、互いに軽口を飛ばし合いながら喜怒哀楽を素直に表現する。こうしたポジティブなスタンスが、若手経営幹部を通じて行き渡り、明るく前向きな社風をつくり上げ、さらなる成長につながっている。
“順送化”と“工程短縮”による提案力
同社の成長を支えているのが、順送プレスによる自動化と、さまざまな創意工夫による工程短縮の取り組みだ。
順送プレスは、森社長が入社して少し経った頃に、父親のかつての仕事仲間からすすめられて初めて導入した。地域の同業他社に先駆けて順送プレスを採り入れたことが、労働集約型の生産形態とコストダウン圧力により消耗し続けていく構造からの脱却につながっていった。
金型メーカーと連携しながら順送加工のノウハウを磨き、それまで単発プレスで加工していた製品を“順送化”。さらに、多数制御システムを用いたランダムピッチ送り方式やステージ交換式順送金型、特殊な技法を採り入れた新カシメ法など、独自の加工技術により“工程短縮”を実現し、コストダウンと付加価値改善を両立させていった。
こうした技術開発と並行して、自社と得意先の両者にコストメリットを生み出す提案営業を展開。自動車用安全部品、ユニットバスやシステムトイレなどの住宅設備用部品、店舗・オフィス向け鋼製家具用部品などの新規得意先を開拓し、事業基盤を強固にしていった。開拓した得意先はいずれも大手メーカーの1次サプライヤーで、協力し合いながらともに成長し、強力なパートナーシップを構築している
会社情報
- 会社名
- 株式会社 M.T.C
- 代表取締役
- 森 久次
- 住所
- 奈良県大和高田市大字大谷126-2
- 電話
- 0745-22-1410
- 設立
- 2004年(1968年創業)
- 従業員数
- 40名
- 事業内容
- ユニットバス・トイレ・自動車部品・スチール家具・スチール棚・建築部品・その他の金属プレス加工・板金加工・スポット溶接・ねじタップ・アセンブリー
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