コンパクトファイバーレーザマシンBREVIS-AJ導入事例
スチール家具向け角パイプの加工にBREVIS-AJを活用
“パイプインデックス仕様”で導入 ― 平板の加工精度・切断面品質も改善
株式会社 三陽製作所
BREVIS-AJをパイプインデックス仕様で導入 ― Quattroに続く2台目
㈱三陽製作所は2021年12月、コンパクトファイバーレーザマシンBREVIS-1212AJを“パイプインデックス仕様”で導入した。パイプインデックス仕様の小型レーザマシンとしては、2004年に導入したQuattroに続く2台目となる。
Quattroのパイプインデックス装置は丸パイプのみに対応しており、角パイプはQuattroのテーブル部分に治具で固定して加工したり、マシニングセンタで加工したりしていた。BREVIS-AJの導入により角パイプにも対応できるようになり、マシニングセンタで加工していた製品は段取り時間を含め、生産性が40%程度改善した。
平板の加工精度・加工品質も改善し、寸法公差+0.05/0㎜の精密加工にも対応する。端材板取り機能i-CASの活用により、主力のレーザマシンLC-3015F1NTで加工した後の端材をBREVIS-AJで加工するパターンが定着。さらに、Z軸ストローク200㎜を生かし、同社が得意とするプレス加工や、曲げ・溶接後の製品の追加工にも活用している。
板金・プレス加工の技術開発型企業 ― CAD/CAE/CATに対応
同社は金属加工の総合メーカーとして、板金・プレス部品の受託加工を手がける技術開発型企業。試作・量産だけでなく、3次元CADによる設計、有限要素法(FEM)を用いたエンジニアリング(CAE)、3次元スキャナーによるリバースエンジニアリング(CAT)、ロボットによる自動化システム開発などにも取り組んでいる。
1953年の設立以来、薄板の深絞り加工を強みに、農業機械メーカー、スチール家具メーカーへ向けて金属プレス部品を供給してきた。1990年頃からは、金属プレス部品から耐熱樹脂による一体成形への工法転換や、メーカーの内製化が進んできたことから、精密板金加工やパイプ加工を強化。現在は精密板金加工事業(パイプ加工・溶接を含む)が売上全体の約70%を占めるまでになった。
2010年代に入ってからは水村滋社長が旗振り役となり、塑性加工技術の開発に力を注いだ。ファインブランキング並み(±10μm台)の超精密加工技術、トリムレスのネットシェイプを実現する特殊な絞り加工技術、高機能潤滑油を用いたボンデフリーの分流冷間鍛造技術、3次元複雑形状の代表格である精密ギアの精密冷間鍛造技術、3次元スキャナ ー の反射防止技術の開発による測定・評価の高精度化―などを開発・実現してきた。
これらの技術開発の要となっているのが、3次元CAD(現在13台保有)による設計技術と、有限要素法(FEM)による解析技術(CAE)だ。現在は、FEMによるCAEと3次元スキャナーによるリバースエンジニアリングを組み合わせ、仮想空間で工法検討を完結させるDX技術の開発にチャレンジしていこうとしている。
水村社長は「塑性加工の解析技術とロボットによる自動化システム開発 ― この2つを柱とする『エンジニアリング部門』を確立させるのが夢でした。10年くらい前から取り組みはじめ、5年くらい前からようやくかたちになってきました。今の時代、国内の部品サプライヤーはいつ立ちゆかなくなってもおかしくありません。他社には真似できない最先端のエンジニアリングと、部品加工からアセンブリーまでのトータライズを強みにできれば、仕事は自然とついてくると考えています」と語っている。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 三陽製作所
- 代表取締役
- 水村 滋
- 所在地
- 神奈川県横浜市金沢区朝比奈町138
- 電話
- 045-781-5873
- 設立
- 1953年
- 従業員数
- 50名
- 主要事業
- スチール家具関係部品・農業用機械部品/小型エンジン部品/電力設備部品・建築関係部品/金型治工具設計製作・各種自動機械設計製作
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