厚板・パイプ・形鋼の生産性を改善するENSIS-RI
環境試験機などの「装置事業」と「製缶板金事業」の2本柱
台風被害でFO-MⅡ RIを失うも、ENSIS-RI導入を即決断
有限会社 シルバーポート
「装置事業」と「製缶板金事業」の2本柱
㈲シルバーポートは、環境試験機・乾燥炉などの「装置事業」と、受託加工の「製缶板金事業」を展開している。
「装置事業」は“熱”に関する産業用装置・試験装置メーカーとして、設計から部品加工、溶接組立、アセンブリー、納品据付、メンテナンスまでワンストップで対応する。「産業用装置」としては工業用乾燥炉・コンベア乾燥炉・電気炉・熱処理装置など、「試験装置」としては恒温恒湿槽(マイナス70℃~プラス300℃)・半導体用バーンイン装置・サーモスタット開弁確認機・煙探知機試験機などを手がけている。
用途は自動車部品、電子部品、半導体、バッテリーなどの生産工程や試験工程。小型製品からプレハブタイプの大型製品まで、振動を加える加振器複合型、ライン設置型など、要求仕様に応じてさまざまなタイプに対応する。
「製缶板金事業」は、パイプ・形鋼を用いたフレーム構造の各種架台・筐体を得意としており、中でも電気炉の炉心管・炉体などの製作では長年の実績がある。溶接加工は、突き合わせ・すみ肉・R角部などに柔軟に対応し、溶接ひずみの少なさと溶接面の仕上がりは得意先各社から高い評価を得ている。
装置メーカーの事業を引き継ぐ
創業者である桜井成丸社長は中国出身。中国の大規模な製缶板金企業で勤めた後、2000年頃に来日した。その後、日本国内の製缶板金企業で5年間勤務し、主に産業用乾燥機に使用する架台を製作した。2005年に独立して㈲シルバーポートを創業し、培ってきた製缶板金の加工技術を強みに事業を発展させていった。
創業から約10年が経過した2015年頃、主要得意先のひとつだった環境試験機・乾燥機メーカーの経営状態が悪化したことから、そのメーカーのエンジニア3名を引き取り、装置メーカーとしての事業の一部を引き継いだ。
その後は設計者を増員しつつ(現在3名)、移籍してきたエンジニアから技術を学んだ。今では、得意先の要求仕様に合わせて装置の設計から製造、納品据付、メンテナンスまでワンストップで行えるようになっている。
FO-MⅡ RIが製缶板金の主力マシンに
「装置事業」をスタートした直後の2016年には、製缶板金の主力マシンとして平板・パイプ・形鋼兼用レーザマシンFO-MⅡ RI3015(CO2レーザ・4kW)を導入した。FO-MⅡ RIは同社初のレーザマシンで、桜井社長にとって導入は大きな決断だったという。
「アマダからFO-MⅡ RIを紹介されたときは、悩みました。アマダ・ソリューションセンター(神奈川県伊勢原市)へ2~3回足を運び、実証加工をして、実に良い機械だと感じました。当社のような規模の企業が導入して採算が合うのか心配でしたが、もともと私自身、機械が好きだったこともあり、思い切って導入することに決めました」。
「不安を感じながらの決断でしたが、導入してみると、平板もパイプ・形鋼も加工する当社の業態にFO-MⅡ RIはぴったりでした。装置や製缶板金といった自社の製品だけでなく、新たに鋼材業者からパイプ・形鋼の切断の仕事も受注するようになり、すぐにフル稼働するようになりました。特にステンレスの形鋼を手軽に加工できるのは大きなアドバンテージでした。ステンレスのチャンネルやアングルに長穴などを加工するのは大変で、機械加工でしか対応できないケースも多かったのですが、すべて社内で加工できるようになりました」。
「溶接組立の生産性は劇的に改善しました。それまではバンドソーやアイアンワーカーでパイプ・形鋼を切断し、溶接組立の際は寸法を測りながら合わせていました。FO-MⅡ RIを導入してからは、位置決め用のレーザケガキや切り欠きを加工することで、溶接作業者は迷うことなく組立ができるようになりました。寸法を測る必要がないため作業スピードが上がり、組立精度も向上しました。経験が浅く、図面を読めない社員でも、簡単な立体図をつけてあげれば溶接組立ができるようになり、省熟化にも役立ちました」(桜井社長)。
会社情報
- 会社名
- 有限会社 シルバーポート
- 代表取締役
- 桜井 成丸
- 所在地
- 埼玉県坂戸市紺屋491-2
- 電話
- 049-298-4605
- 設立
- 2005年
- 従業員数
- 17名
- 主要事業
- 環境試験機・乾燥炉・電気炉・ベルト乾燥コンベアなどの設計・製造・販売/製缶板金
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