「溶接ってかっこいい」 ― 強みの「アルミ溶接」を支える女性たち
若手社員をサポートする「子育て支援第一」スタイル
株式会社 間野製作所 田中 麻理恵 さん/間野 祐梨奈 さん/後藤 久美子 さん
「MIL規格」並みに高い溶接品質が強み
埼玉県入間市の㈱間野製作所は、自動洗米機の製造・組立を中心に、医用機器や通信機器、建築金物などの金属加工部品の製造、電子機器の組立・配線などを行っている。製品の加工から溶接、組立、検査、出荷までのすべての工程を行う同社が、特に強みとしているのは「アルミ溶接」だ。
アルミは融点が低く熱によって溶けやすいこと、熱伝導率が高くひずみが起きやすいこと、融点が非常に高い酸化被膜が生成されやすいことなどから溶接が難しい素材のひとつとされている。同社の「アルミ溶接」は、間野尚社長が前職で取得した「MIL規格」(米国国防総省が調達する物資に対して過酷な環境でも問題なく利用できるよう定めた品質基準)に準じて行われている。溶接作業者は全員、定期的に社内のきびしい技術試験を受け、スキルと知識を常に最新の状態に保っている。創業以来、培ってきた高い技術力に、最新技術を採り入れることで高品質の製品を提供し、得意先からも高い信頼を得ている。
そんな同社で溶接の一角を担うのが生産部部品課主任・田中麻理恵さん、後藤久美子さん、間野社長の息女の間野祐梨奈さんの女性陣だ。「溶接ってかっこいい」と笑顔で語る3人に働き始めたきっかけや溶接の魅力などについて話を聞いた。
完成品まで一貫生産を行う自動洗米機
間野社長の前職は大手電機メーカーの下請けで、タレットパンチプレスや曲げ、溶接など板金加工工程を一通り担当しメーカー製品の板金部品を中心に、自社開発した業務用洗米機などを手がけていた。会社が技術力向上のために防衛関係の仕事を受注することが決まると、その専門チームのメンバーに抜擢された。防衛関係を受注するにあたっては「MIL規格」を取得。アルミ溶接を中心に技術力を高め、迎撃ミサイルや地対空ミサイル関連の部品を手がけた。
しかし1990年代後半に入ると、会社が大手電機メーカーに吸収されることになり、板金加工はすべて外注されることになった。間野社長は父親に借金をして資金をつくり、会社からPEGAやRG、溶接機を買い取って、37歳で独立。1999年に貸工場を借りて間野製作所を設立した。創業メンバーは間野社長、諸星正二専務、佐野瑞恵常務の3人。大量に発注される医療機器や写真現像装置、業務用印刷機器などの部品を加工するため休日返上で働き、わずか3年で借金を返済した。
2002年には現在地に本社工場(ブランク・曲げ加工)を建設移転。2012年に第2工場(溶接・品質保証)、2015年に第3工場(電気組立配線)を建設し、社員増員・設備を増強、対応力を強化していった。
2011年からは現在も同社の売上の7割を占める「自動洗米機関連」の仕事がはじまった。同社では自動洗米機の加工から組立、検査、梱包、出荷までの一貫生産に対応している。洗米・精米関係は途中で、大手電機メーカーから食品機械メーカーへ事業の引き渡しが行われたが、加工に関しては変わらず、同社に一任されている。
また、同社が取り扱う製品は医用機器・通信機器・光学機器など精度が必要なものから、建築金物・船舶などの大型な製品までと幅が広い。これは元同僚からの紹介や、これまでにやりとりがあった設計者が所属会社が変わってからも同社の技術力と間野社長の人柄を信頼して発注を続けるからで、人脈を通じて得意先や対応業種を増やしていった。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 間野製作所
- 代表取締役
- 間野 尚
- 所在地
- 埼玉県入間市狭山台3-2-3
- 電話
- 04-2935-0821
- 設立
- 1999年
- 従業員数
- 30名
- 主要事業
- 医用機器・通信機器・印刷機器・光学機器・建築金物、船舶などの金属加工部品の製造、自動洗米機の製造・組立、電子機器組立配線、試作など
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