新たな市場創造を目指す食品機械業界
「群馬工場」を開設 ― 消毒保管機の製造リードタイムを半減
国内最大級の自動倉庫MARSと複合マシン2台が連動
株式会社 中西製作所 群馬工場
「学校給食」分野で業界トップシェア
㈱中西製作所は1946年の創業以来70年余にわたり、「学校給食」「事業所給食」「病院・福祉給食」「外食産業」「中食産業」へ向けて厨房機器を提供し、社会の「食」を支え続けてきた。今では、洗浄システムや炊飯システム、食器消毒保管機といった大量調理に適した業務用厨房機器の総合メーカーとして揺るぎない地位を築いている。
でも、主要販売先である「学校給食」分野では、業界トップクラスのシェアをほこる。官公庁向けが中心の「学校給食」は少子化の影響が懸念されるものの、老朽化した給食センターの更新や、統合大型給食センターの開設など、今後も安定した需要が見込まれている。
民間向け市場でも強みを発揮しており、「病院・福祉給食」は高齢化社会の進行にともなう福祉施設の増加やセントラルキッチン化のニーズが期待される。「外食産業」では、日本マクドナルドの国内第1号店の立ち上げ時(1971年)から現在にいたるまで半世紀以上にわたって取引を継続しており、今後はさまざまな業態の大手外食チェーン店への展開を目指している。惣菜やレトルト食品、コンビニ弁当などで飛躍的な成長を遂げている「中食産業」への提案にも力を入れている。
2022年3月期は、受注実績は前期比10.2%増の308億円、売上高は過去最高の301億円(同5.0%増)を達成。主力の学校給食の受注が期末に回復し、デリバリー関連の受注が好調だったため、当初予想を大幅に上まわった。
「群馬工場」を開設 ― 消毒保管機と過熱調理機を生産
2018年12月には、「奈良工場」に次ぐ主要生産拠点として、群馬県伊勢崎市の伊勢崎宮郷工業団地に「群馬工場」を開設。最新の生産設備や長年培った同社の技術を集結させ、付加価値改善と生産拡充をはかった。
奈良工場と群馬工場は生産品目で明確に分かれており、奈良工場では「食器洗浄機」「炊飯機器」「フライヤー」など、群馬工場では「消毒保管機」「過熱水蒸気調理機(SVロースター)」を主に生産している。「消毒保管機」と「過熱水蒸気調理機」(以下、過熱調理機)については、商品企画から開発・設計、生産、出荷まで、完全に群馬工場へ移管されたかたちだ。
群馬工場長の山中洋執行役員は、群馬工場の操業状況について次のように語っている。
「群馬工場が操業を始めたばかりの2019年度は奈良・群馬とも好調で、消毒保管機だけで年間生産3,400台くらいのペースでした。しかし、2020年に入ってからはコロナ禍で人の移動が制限され、需要が停滞しました」。
「現在、群馬工場で生産している消毒保管機は年間約2,200台、過熱調理機は約40台です。過熱調理機は右肩上がりで推移していますが、消毒保管機はピーク時の2/3くらいのボリュームです。学校給食関連は夏季と年度末に納期が集中しているので、夏場へ向けて6月末頃から生産量が増えてきたところです。また、奈良工場は引き続き好調で、負荷が高まっているため、フライヤーなどの一部製品を群馬工場でも受け持つ予定です」。
「群馬工場にとって今期は谷間。2023年度以降は停滞していた案件や新規の案件が動き出し、消毒保管機の生産量も増えていくと見ています。心配なのは、コロナ禍とウクライナ危機の影響で、半導体などの電子部品の供給制約や物価高騰などです。今のところ納期遅延は発生していませんが、年内には解消してほしいものです」。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 中西製作所
- 代表取締役社長
- 中西 一真
- 大阪本社
- 大阪府大阪市生野区巽南5-4-14
- 群馬工場
- 群馬県伊勢崎市東上之宮町1633
- 電話
- 0270-30-5300(群馬工場)
- 設立
- 1958年(1946年創業)
- 従業員数
- 639名(2022年3月現在)
- 主要製品
- 洗浄システム機器、炊飯システム機器、消毒保管機器、調理・加熱機器ほか
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