完成品までの一貫生産体制を強みに「第2の柱」構築を目指す
換気送風機のワンストップサプライヤー、板金工程の強化に本腰
株式会社 協信
換気送風機のワンストップサプライヤー
岐阜県中津川市の㈱協信は、大手送風機器メーカーの協力工場として、レンジフードファンやエアーカーテン、ミニシロッコファン、業務用有圧換気扇といった換気送風機の社内一貫生産を行っている。
部品加工から溶接、塗装、加工品・電装品などの組み付けを含む最終組立、梱包・箱詰めまで自社内で完結できるのが最大の特徴。この「社内一貫生産」を強みに低コスト・短納期を実現し、「ワンストップサプライヤー」として得意先との強力なパートナーシップを構築している。
同社は1982年の設立当初から、大手送風機器メーカー向けに換気送風機の一貫生産を行ってきた。部品加工は当初、プレス加工が主体だったが、1994年にパンチングマシンを導入して板金加工を内製化し、試作や少量生産にも柔軟に対応できる体制をつくり上げた。
2001年には「本社・中津川工場」から車で25分ほどの距離に「福岡工場」を新設し、2拠点体制となった。2012年には「中津川工場」のパンチングマシンを「福岡工場」へ移設し、板金加工は主に「福岡工場」が担うようになった。
2023年には「福岡工場」にファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJ(2棚・TK仕様)を導入し、板金工程の能力を増強。換気送風機に次ぐ「第2の柱」を構築するため、新規分野への進出、新規得意先の開拓も目指している。
換気送風機を年18万台以上生産
現在の得意先は約10社。売上構成は換気送風機が全体の75%程度で、設立以来の得意先である大手送風機器メーカーが約70%を占める。残り30%はオフィス家具・住宅設備関連や民生用電気機械器具、医療機器などとなっている。
主力の換気送風機は、年18万台以上を生産している。
「レンジフードファン」は、戸建て住宅・集合住宅のキッチンに取り付けられる換気扇で、サイズの大小はもちろん、深型・浅型・フラット型などさまざまな種類がある。「エアーカーテン」は、スーパーマーケットやレストランなどの出入口の天井部に設置され、冷気・暖気の漏出やほこり・虫の侵入を防ぐ。「業務用有圧換気扇」は飲食店・厨房・工場・倉庫などに設置される角形の換気扇。「ミニシロッコファン」は焼肉店などの屋外に設置されることが多い。
生産台数のおおよその内訳は、レンジフードファンが年6.3万台、エアーカーテンが年4万台、業務用他換気扇が年4.8万台、ミニシロッコファンが年4万台にのぼる。
医療機器分野の一貫生産をスタート
その一方で、数年前から本格的にスタートした新規開拓の取り組みが、いよいよ実を結びつつある。
島﨑保則社長がとりわけ期待を寄せているのが、医療機器分野。部品加工から塗装・最終組立までワンストップで対応できる強みを生かし、2022年から医療用台車の一貫生産をスタートした。従来の主力製品である換気送風機との最も大きなちがいは、ロットサイズが小さく、板金加工が部品加工の主役という点だ。
「現在手がけているのは1機種のみで、生産量も月30台程度とわずかですが、今後は手がける機種数を増やして主力事業のひとつに育てていきたい。そのためには板金加工の生産能力と加工品質を高める必要があります。現在、部品加工のウエイトはプレス加工70%、板金加工30%ですが、将来的にはイーブンまで持っていきたい」と島﨑社長は語っている。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 協信
- 代表取締役
- 島﨑 保則
- 本社・中津川工場
- 岐阜県中津川市手賀野339-2
- 福岡工場
- 岐阜県中津川市下野438-22
- 電話
- 0573-66-6157
- 設立
- 1982年
- 従業員数
- 205名
- 主要事業
- 換気送風機(レンジフードファン、エアーカーテン、ミニシロッコファン、工業用換気扇ほか)などのプレス加工・板金加工・溶接・塗装・組立
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