「新工場」建設で生産能力増強を目指す
「第5工場」開設で塗装・組配までの「自社内一貫生産体制」を強化
災害対策・脱炭素化ニーズで「非常用発電機」「プラント向け大型熱交換器」が成長
株式会社 中野技研
「第5工場」を開設 ― 生産能力30%改善
㈱中野技研は2022年5月、「第5工場」の操業を開始した。居抜きで入手した「第5工場」の工場建屋に「本社工場」の板金加工設備をすべて移設し、新たに増築した2階建ての建屋に「第4工場」で実施していた組立工程を移動した。
それまでは「本社工場」で板金・溶接、「第2工場」「第3工場」で溶接、「第4工場」で塗装・組立を行っていた。仕事量の増加にともなって複数の機能を持つ「本社工場」と「第4工場」のスペースが圧迫され、作業効率が低下するとともに労働安全衛生の面からも課題が生じていた。
今回の新工場開設により、「本社工場」の板金工程と「第4工場」の組立工程を分離して、「第5工場」に集約。これにより「本社工場」「第2工場」「第3工場」で溶接製缶、「第4工場」で塗装、「第5工場」で板金加工・組立を行う体制が整った。
5つの生産拠点はすべて大阪府富田林市内にあり、「第4工場」を除く4工場は同じ工業団地内に立地している。「第4工場」だけは工業団地の外にあるものの、車で5~10分と近い。5工場の敷地面積は合計6,720㎡。「第5工場」(2,100㎡)が加わったことで、合計敷地面積は約1.5倍に拡大した。
組立工程を担当する「第5工場」の新しい建屋は、今後の事業拡大を見込み、1階・2階とも天井高さにゆとりを持たせている。板金工程を担当する既存の建屋には新たにレーザマシンFO-MⅡ 3015NT(4kW)を増設し、それまで協力工場に委託していた6.0㎜超の中厚板の切断加工を内製化した。横持ちが減ったことで、強みである自社内一貫生産体制が充実し、短納期対応を強化。利益率も改善した。
新工場の開設にともなって各工場の機能を整理したことで生産効率は大幅に改善。全体の生産能力は従来比で30%改善した。
「自社内一貫生産が夢だった」
中野好廣社長は「この会社を創業したときから、私には『完成品まで手がける自社内一貫生産工場にしたい』という夢がありました。新工場の土地・建物を購入したのは2020年。コロナ禍で仕事量が落ち込んでいる時期でしたが、これを逃すと次の機会がいつ訪れるかわかりません。コロナ禍が落ち着いたら仕事はまた増える、もし増えなくても取ってくれば良いと考えました」と語っている。
中野社長は父親が経営する金属プレス加工企業で24年間勤めた後、1997年に溶接を主体とする㈱中野技研を独立開業した。当初は60坪の貸工場で、従業員も3~4名。デフレ経済下の不況期で、設備も資金も足りない中、創業から12年間は主に工作機械メーカーの3次サプライヤーとして堅実に実績を積んできた。
2001年には「第2工場」を開設して、CAD/CAM、パンチングマシン、4m対応のベンディングマシンを導入し、板金加工から溶接・仕上げまで対応できる体制を整えた。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 中野技研
- 代表取締役
- 中野 好廣
- 所在地
- 大阪府富田林市若松町東3-2-9
- 電話
- 0721-26-2936
- 設立
- 1997年
- 従業員数
- 55名
- 主要事業
- 発電機用燃料タンク・消音装置、熱交換器、冷却装置、洗浄機などの設計・展開・板金加工・溶接・組立
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