板金論壇

電力インフラを支える高圧鉄塔市場は縮小から拡大へ

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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国土強靭化を加速

戦後の復興期から1964年の東京五輪開催までに高速道路・新幹線・上下水道などの交通や社会インフラが整備されてから60年あまりが経過し、経年劣化による老朽化も目立っている。また、1959年の伊勢湾台風をきっかけに高潮被害などから守る防波堤などが整備された。しかし、阪神淡路大震災や、東日本大震災などの大規模震災や気候変動による風水害が毎年のように発生し、国民の命と財産を脅かすようになっている。

経年劣化したインフラを整備・修繕、自然災害などから国民を守り、強くてしなやかな日本をつくりあげるために政府は2013年に「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」(以下、基本法)を成立させた。その後、基本法に基づく国土強靱化基本計画の策定をはじめ、国土強靱化に関する取り組みが推進されてきた。

2020年12月には、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」が閣議決定され、2021年度からの5年間で追加的に必要となる事業規模に15兆円あまりの予算で国土強靱化を推進していくこととになった。

鉄塔受注実績の推移画像:電力インフラを支える高圧鉄塔市場は縮小から拡大へ

電気の安定供給を支える高圧鉄塔のレジリエンス

今後の国土強靭化に向けた取り組みの中で板金需要に関連する事業もさまざまに展開される可能性がある。

その一つが生活に欠かせない電気の安定的な供給を支える送配電網の整備だ。中でも高圧鉄塔は現在、全国に25万基以上が設置されているが、築50年以上が経過した高圧鉄塔も多いので、鉄塔の保守点検とリプレースの問題がある。2050年のカーボンニュートラルに向けて、太陽光発電や風力発電などで発電された再生可能エネルギーを消費地まで送電する新たな送配電網の整備にも高圧鉄塔の新造が必要だ。

つづきは本誌2022年10月号でご購読下さい。

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