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送配電用架線金物の生産改革を実現したサーボプレス自動化ライン

ランダム金型・サーボ搬送ロボ・マグネットクランプを採用した次世代ライン

内田鍛工 株式会社

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画像:送配電用架線金物の生産改革を実現したサーボプレス自動化ライン2023年5月に立ち上げたサーボプレスSDEW-3025iⅢ×3台と2軸サーボ搬送ロボットRYN220WX、レベラーフィーダLCC04HR3を組み合わせた新ライン

社会インフラ分野の金属製品を手がける“オールワンメーカー”

画像:送配電用架線金物の生産改革を実現したサーボプレス自動化ライン左から内田圭士郎専務、新ラインの立ち上げを担当した生産技術課の濵口智司課長代理、サーボプレス自動化ラインのオペレーションを2年間担当した坂口由季奈さん

三重県四日市市の内田鍛工㈱は、社会インフラ分野(電力・道路・通信・エネルギーなど)の金属製品を中心に手がける“オールワンメーカー”として揺るぎない地位を築いている。

同社の創業は1877年(明治10年)。社歴146年をほこる老舗企業だ。社名の「鍛」の字が示すとおり、創業者は鍛冶職人として腕を振るい、農機具など鉄製の鍛造品を製作した。その技術力と品質の高さには定評があり、代を重ねながら事業を拡大し、戦中は軍需工場として航空機部品も生産した。

ターニングポイントは1952年。ドロップハンマー鍛造機を導入し、電柱の支線を固定するワイヤーグリップとターンバックルの開発に成功して、電力会社との取引が始まった。その後も主に電力会社向け「送配電用架線金物」の製品開発に取り組み、プレス加工・板金加工・溶接・製缶・めっき加工・組立と工程を増やしながら自社内一貫生産体制を築き上げていった。

今では中核拠点である四日市の本社工場のほか、北海道と九州にも現地法人を持ち、「UTKグループ」として日本列島を南北に貫く供給網を構築。それぞれのエリアの特性に合わせた製品を迅速に提供している。

  • 画像:送配電用架線金物の生産改革を実現したサーボプレス自動化ライン新ラインのレベラーフィーダLCC04HR3。多段送り・自動演算システム機能と加工金型選択機能によりランダム加工が可能
  • 画像:送配電用架線金物の生産改革を実現したサーボプレス自動化ライン上型にはマグネットクランプ方式を採用し、ワンタッチで交換作業ができる

主力製品は送配電用架線金物

売上構成を見ると、送配電用架線金物のほか、太陽光発電システムのパネル架台、風力発電のポール、移動体通信基地局の取付金具など、電力会社や電気工事会社から受注する仕事が約60%を占める。残りの40%は建築、交通(道路・鉄道・空港・橋梁)、電気機器、農業・水産などで、社会インフラ関係を中心に1分野あたり10%以下で分散している。

鍛造製品が約15%で、プレス加工製品が約85%。祖業である鍛造技術がコアコンピタンスであることには変わりないが、生産ウエイトではプレス加工が主体となっている。

主力の送配電用架線金物はその大半が更新需要。電力会社の設備投資計画に沿うかたちで受注は安定的に推移している。具体的な製品としてはバンド類、継柱金具類、配線金具類、腕金附属品、機器関連金具、引き留め金具類、支持金具、支線金具などがあり、それぞれサイズ・板厚などの仕様ちがいで多くのバリエーションがある。品種が多い反面、ロットサイズは数百~数千個と小さく、プレス企業としては極端な多品種少量の生産体制となっている。

加工材料はSAPH400・板厚1.6~9.0㎜で、メインは3.2~4.5㎜。強度が求められる製品が多く、中厚板の使用割合が高い。それを55~400トンのプレス機を用いて加工し、溶接・めっき・組立まで行って完成品として出荷している。

  • 画像:送配電用架線金物の生産改革を実現したサーボプレス自動化ライン「MF技術大賞2020-2021」で最高賞の「MF技術大賞」を受賞した「長短尺装柱固定バンドの連続一貫生産システム」
  • 画像:送配電用架線金物の生産改革を実現したサーボプレス自動化ライン連続一貫生産システム」で生産したさまざまなサイズの装柱固定バンド

会社情報

会社名
内田鍛工 株式会社
代表取締役社長
内田 洋一郎
所在地
三重県四日市市黄金町58
電話
059-363-1213
設立
1952年(1877年創業)
従業員数
143名
主要事業
インフラ分野(電力・道路・通信・エネルギーなど)に関わる金属製品の製造/プレス加工・鍛造加工・溶接・溶融亜鉛めっき加工・着色めっき加工・組立
URL
https://www.utk.jp/

つづきは本誌2023年7月号でご購読下さい。

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