特集

「食の安全・安心」を担保する食品機械と厨房機器の板金加工

エンジニアリング受注で「安全・安心」を担保する

徹底した衛生管理と環境負荷低減への取り組み

株式会社 栄進産業

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画像:エンジニアリング受注で「安全・安心」を担保する製作中のクリーンブース

徹底したものづくり教育に注力

画像:エンジニアリング受注で「安全・安心」を担保する森本博社長

㈱栄進産業は1978年に森本博社長の父、森本明氏がステンレス製缶加工を目的として徳島市川内町で設立した。以来、食品機械部品、美容機械部品などの製作に20年ほど携わり、高品質と提案力で得意先からの信頼を得た。

1997年に2代目社長に就任した森本博社長は、牛乳・ジュース・お酒などの飲料、ヨーグルト・プリン・アイスクリームなどのデザート、カップ麺やカレールー、味噌、マーガリンなどさまざまな食品用充填機、医薬製剤工場向けのコーティング機械・装置の設計・製造・組立・現地据付に対応した“エンジニアリング受注”に力を入れてきた。2014年2月には社屋・工場を現在地に移転。2020年にはクラス100,000に対応したクリーンルームを備えた組立工場を建設した。

同社の売上に占める割合は、充填機を格納するクリーンブース関連が50%、食品機械部品や装置が20%、医薬製剤機械が30%。加工材料はステンレスのSUS316L、SUS304の板厚1.0~6.0㎜となっている。

森本社長は職人の技量向上に力を入れており、新人教育をはじめ社員教育には創業者から継承してきた「心のこもった物づくり」を順守、「妥協なき製品づくり」をスローガンとしたものづくり教育を徹底させている。

画像:エンジニアリング受注で「安全・安心」を担保する左:平板・パイプ兼用ファイバーレーザマシンENSIS-3015RI+LSTRI-3015E/右:ベンディングマシンHDS-2204NT(手前)による曲げ加工

事業は右肩上がりでゆるやかに成長

新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって巣ごもり需要が拡大、外食産業は大きな影響を受けた。その反面、同社が手がける充填機の需要は巣ごもり需要と消費者の健康志向を背景に拡大を続けた。受注量もゆるやかではあるが右肩上がりで推移している。得意先の食品機械メーカーは、紙パック・カップ・カップ麺用の充填機を世界中の食品工場に提供。特に牛乳パックなどの紙容器成形充填機は国内トップシェアを堅持している。

食品業界はフードロスを削減するためにも食品の賞味期限・消費期限を延ばすことが喫緊の課題となっている。飲料業界は原料に含まれる細菌数を減らすことが求められ、充填機などはサニタリー性の向上をはかり、汚染の主な原因を減らし徹底した衛生管理を行うことが求められている。それによって商品の品質が長持ちし、流通範囲の拡大、スーパーなどで棚寿命の延長が可能になるので、サプライヤーにも徹底して「コンタミネーション(異物混入)防止」の取り組みが求められている。

充填機を格納する「クリーンブース」は、製造工程での異物混入という課題を解決するために食品工場などに設置される。ホコリや塵などの異物を極力排除し、一定の清浄度を保った空間を保つために空気清浄度と微生物学的清浄度が要求されている。

製造工程ではパネルのつなぎ合わせの接合作業が重要になっている。TIG溶接で接合する場合、表から溶接して裏側に溶接ビードを出す裏波溶接を行うことがある。裏波を出すことによって完全溶け込みとなり、強度・腐食性・耐久性などが確保され高品質な接合になる。その一方、裏波ビード面を平滑に仕上げないと、そこに異物が残留する危険性がある。そのため裏波溶接を施す場合、バックシールドガスを使用したり、銅板などを裏側に当てて溶接したりする場合もある。

画像:エンジニアリング受注で「安全・安心」を担保する左:飲料充填機に使われる板金チャンバー/右:工場壁面に設置された大型スクリーンには進捗状況が掲示される

会社情報

会社名
株式会社 栄進産業
代表取締役
森本 博
所在地
徳島県板野郡板野町吹田字平山156−1
電話
088-624-7555
設立
1978年
従業員数
20名
主要事業
飲料用充填機の外装フレームやカバー、食品加工・医薬製剤関連のクリーンブース、真空チャンバーのなどの製作、ステンレス製缶、溶接、バフ研磨加工など
URL
https://eishin1.jp/

つづきは本誌2023年7月号でご購読下さい。

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