工作機械と半導体製造装置 ― 2つの成長産業を取り込み飛躍
ルーツは研磨 ― 品質へのこだわりが顧客の信頼に
株式会社 ナンエツ工業
工作機械と半導体製造装置 ― 2つの成長産業を取り込み飛躍
㈱ナンエツ工業は2010年代に入って以降、工作機械カバーや半導体製造装置向けの板金部品を中心に手がけ、飛躍的な成長を遂げてきた。売上高は直近10年間で約2.5倍に拡大。工場は2カ所から4カ所に増え、従業員数は100名の大台を突破した。
同社の特徴は、板金加工から溶接、研磨までの一貫生産体制だ。最先端の加工マシンと高度な職人技能を融合し、板金加工全般のワンストップサービスを提供している。
研磨にルーツを持つ同社の加工品質には定評があり、2013年頃からは大手工作機械メーカーと、2017年頃からは大手半導体製造装置メーカーとの直接取引がスタートした。その後も同社への発注量は右肩上がりで増え続けており、顧客満足度の高さがうかがえる。
日本の工作機械産業は2013年以降、米中貿易摩擦やコロナ禍の影響を受けながらも堅調に推移し、2018年には過去最高、2022年には過去2番目の受注額を記録した。日本製半導体製造装置の販売高は2017年度から2022年度までの5年間で約1.8倍に増加。2023年度は前年割れが見込まれるが、2024年度は前年比20%以上のV字回復が予想されている。
同社はこれら2つの成長産業を主力事業として取り込み、積極投資を行いながら顧客の要求に応えることで、急成長につなげていった。
ルーツは研磨 ― 品質の高さが差別化ポイント
2021年に2代目社長に就任した内田修弘社長は「研磨の技術は当社のコアコンピタンス。資金を投じれば獲得できる類いのものではなく、人から人へと受け継がれてきました。“研磨屋あがり”としての誇りが、板金加工や溶接などでも高品質を追求する企業カルチャーとなり、最大の差別化ポイントになっています」と語っている。
ナンエツ工業は1989年、研磨職人である内田鉄雄会長が創業し、主に台所用ステンレスシンクの研磨加工業者としてスタートした。創業メンバーは4名で、創業当初から内田会長を筆頭とする研磨技術には定評があった。
一時は、低廉な人件費とスケールメリットを武器とする海外企業の台頭によって業績が悪化した。しかし、同社は海外企業には真似できない手仕事の研磨にこだわり、妥協することなく顧客の期待を超える品質を追求し続けた。
カトラリー、美顔ローラー、ヘアブラシといった小物だけでなく、トラックのホイールやバンパーのような高難度製品・大型製品まで手がけるようになった。創業から約10年が経過した2000年頃には板金加工に進出。ベンディングマシンRG-35Sを導入し、曲げ加工に対応するようになっていった。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 ナンエツ工業
- 代表取締役社長
- 内田 修弘
- 所在地
- 神奈川県相模原市緑区橋本台3-18-12
- 電話
- 042-779-0959
- 設立
- 1989年
- 従業員数
- 100名
- 主要事業
- 工作機械、半導体製造装置、バス・トラック・特殊車両、食品機械、空調機器などの精密板金加工・筐体製作・バフ研磨
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