特集

第36回 優秀板金製品技能フェア 優秀作品紹介(その2)

工場で発生した廃材をつかって造形性の高い作品を製作 ― SDGsを意識

「盆栽」が「審査委員会特別賞」を受賞

株式会社 ツガワ

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画像:工場で発生した廃材をつかって造形性の高い作品を製作 ― SDGsを意識「審査委員会特別賞」を受賞した「盆栽」(SUS304・板厚0.6㎜・0.8㎜・1.0㎜、W450×D350×H350㎜)

SDGsを意識して製作した作品

画像:工場で発生した廃材をつかって造形性の高い作品を製作 ― SDGsを意識左から櫻庭俊幸執行役員工場長、江苅義弘調達グループ課長

「第36回優秀板金製品技能フェア」(以下、板金フェア)の「溶接品の部」に出品した㈱ツガワ二戸工場の「盆栽」が「特異性があり審査委員会で特に優秀と認められる作品」に贈られる「審査委員会特別賞」を受賞した。

木の部分の図面やデータはいっさいなく、製作者のイメージで製作された完全オリジナルのハンドメイド作品。材料には製造業務で発生する複数の形状の廃材を利用している。同社が全社を挙げて取り組んでいるSDGs(持続可能な開発目標)の「つくる責任 つかう責任」を意識しており、日々発生する廃材は業者に引き取ってもらっているが、発生した現場で再利用ができればもっと効率良くエネルギー消費をおさえられるのではないか、という思いから製作された。

パンチングマシンによる抜き加工で排出されるSUS材のパンチ片を集めて溶接を繰り返し、木の根元からかたちを見ながら積層し、枝先までをつくり上げた。作業は集めた丸いパンチ片を「取る→置く→溶接する」という作業をひとつずつ、気が遠くなるほど繰り返し、完成までは約6カ月という長い製作期間を要した。

こうして完成した作品は、あたかも本物の盆栽のように見える造形性の高さと、作業現場の廃材を有効活用する環境意識の高さが素晴らしいと評価された。

画像:工場で発生した廃材をつかって造形性の高い作品を製作 ― SDGsを意識左:溶接棒の残材でつくられた松葉/右:SUS304、SUS430などの抜きカス。これらを1枚1枚積み重ねて幹がつくられた

EMSを中心に事業を展開するツガワ

㈱ツガワは横浜本社と、岩手県内の2カ所(北上市、二戸市)の板金工場、最終組立・塗装工場(花巻市)の3工場で連携している。国内有数の電着・水性・粉体塗装の自動化ラインを有し、グループネットワークを駆使した総合力で得意先製品の受託製造(EMS)を中心に事業を展開。半導体製造装置・医療機器・通信機器・金融端末・コンピュータ・画像処理・アミューズメント機器など、幅広い分野で製品の開発・設計・製造・物流までをトータルに手がける。「Your Dream is Our Mission」という企業理念を掲げ、“こだわりのものづくり”を通じて、得意先や社員、関係するすべての企業、地域社会の人々の夢を実現することを目指している。

従業員数はグループ企業を含めて660名。2023年度の売上高は連結で145億円となっており、板金専業メーカーとしては国内トップクラスだ。

  • 画像:工場で発生した廃材をつかって造形性の高い作品を製作 ― SDGsを意識幹の製造工程
  • 画像:工場で発生した廃材をつかって造形性の高い作品を製作 ― SDGsを意識抜きカスと溶接棒の残材でつくられた幹と松葉

会社情報

会社名
株式会社 ツガワ
代表取締役社長
駒田 義和
二戸工場長
櫻庭 俊幸
所在地
岩手県二戸市石切所字穴牛長久保20(二戸工場)
電話
0195-25-5551
設立
1961年(1953年創業)
従業員数
660名(グループ企業含む、二戸工場は115名)
主要事業
環境・医療・半導体関連・アミューズメント機器などの設計開発から製造、物流までの一貫生産
URL
https://www.tsugawa.com/

つづきは本誌2024年6月号でご購読下さい。

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