特集2

粘り腰で力強い青森県の板金加工企業

「JIS Q 9100認証」を活かした板金事業の展開を目指す

多摩川精機グループの板金製造部門

多摩川ハイテック 株式会社

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画像:「JIS Q 9100認証」を活かした板金事業の展開を目指す2台のベンディングマシンHG-8025が工程分割して1個の製品を曲げ加工している

多摩川精機グループの板金製造部門

画像:「JIS Q 9100認証」を活かした板金事業の展開を目指す板金製造部の小笠原秀悦部長

多摩川ハイテック㈱はセンサー、サーボコンポーネントなどの有力メーカーである多摩川精機㈱の製造子会社として、センサー、サーボモーターの組立、アルミダイカストの鋳造、精密機械加工、精密板金加工を主要な事業としている。

1991年に青森県の地域振興を目的とする企業誘致に応じ、多摩川精機の東北地区の製造拠点として多摩川精機八戸事業所が開設され、八戸市内の桔梗野工業団地に本社工場を備えた「八戸多摩川㈱」を設立。産業機器の開発、製造を行うようになった。1997年には本社工場にプレス棟を建設。2000年には社名を「八戸ハイテック㈱」に変更するとともに、多摩川精機や関連会社に精密加工部品を供給する会社へと事業変更した。2004年にはダイカスト加工を開始。2006年には青森県三戸郡南部町にあった板金工場の工場建屋、加工設備、社員を居抜きで買収。「多摩川精機㈱八戸事業所福地工場」として、精密機械加工部品・精密板金部品加工など、あらゆる金属加工に対応できる生産体制構築を目指し、板金製造部を立ち上げた。

青森県内に製造拠点5カ所を開設

その後は小型サーボモーターの組立なども取り込み発展、2012年に社名を「多摩川ハイテック㈱」に変更し、大型サーボモーターの組立も行うようになった。

現在の正社員数は265名、パート社員や派遣社員などを加えると300名あまりとなる。製造拠点も多摩川精機八戸事業所、多摩川ハイテックの両社で八戸第1・第2工場、福地第1・第2工場、三沢工場の5カ所となった。

工場吸収以前の社員・設備で開業した板金製造部は立ち上げ当初から多摩川精機から受注するセンサー、サーボモーター関連の板金製品が20%で、それ以外は営業して外部から受注している。2010年頃までは以前から取引があった受注の80%を占めた取引先を継承していたが、「試作から小ロット・中量生産まで精密板金加工のことならなんでも承ります」という積極的な営業活動で新規得意先を拡大。それとともに、多摩川精機のモーターカバーなどの板金製品の製造も行うようになった。

画像:「JIS Q 9100認証」を活かした板金事業の展開を目指す左:多摩川ハイテックの福地第1工場/右:レーザマシンLC-2415αⅢNT

「新札特需」で紙幣処理システムが増加

事業吸収後は継続取引先の仕事が80%を占めていたが、コロナ禍で受注減少が続いたため、状況を打破しようとWeb営業に舵をきった。それと同時に営業マンの育成にも注力した結果、徐々に新規得意先が増え、現在では全体の60%が新たに開拓した得意先だ。

得意先数は25社あまりで、そのうち主要5社で売上全体のほぼ80%を占める。多摩川精機関連を除くと、得意先の業種は道路関連機器、駅務関連機器、紙幣処理システム関連機器、半導体製造装置、通信機器、産業機器関連となっている。

半導体製造装置関連は2020年、2021年と新規受注を伸ばし、今では受注の50%を占めるまでに成長した。また、駅務、紙幣処理関連は2024年7月頃に20年ぶりの新紙幣が発行されることから「新札特需」で忙しくなっている。

  • 画像:「JIS Q 9100認証」を活かした板金事業の展開を目指すフレームの溶接作業
  • 画像:「JIS Q 9100認証」を活かした板金事業の展開を目指す溶剤・粉体の塗装ブースを備えている

会社情報

会社名
多摩川ハイテック 株式会社
代表取締役
坂下 博康
所在地
青森県三戸郡南部町大字法師岡字勘右衛門山1-1(福地第1工場)
電話
0178-60-1107(福地第1工場)
設立
1991年
従業員数
265名(うち福地第1工場は50名)
主要事業
サーボモーター・センサー組立、アルミダイカスト鋳造、精密機械加工、精密板金加工
URL
https://www.tamagawa-hightech.co.jp/

つづきは本誌2023年12月号でご購読下さい。

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