特集

グローバル化でビジネスチャンスを拡大する板金企業

「日本の技術を世界へ」

英国デザイン会社とのコラボで航空機事業に挑む

有限会社 ステンレスアート共栄

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画像:「日本の技術を世界へ」「ファンボロー国際航空ショー」で注目を浴びたラバトリーシンク。設計から手がけ、薄板溶接技術と研磨技術を融合。シンクカバーは積層金型で成形加工を行った

「日本の技術を世界へ」

画像:「日本の技術を世界へ」永友義浩社長(左)と、2019年11月に同社を訪れたCTM Design Ltd.のCEO、Robin Dunlop氏(右)

㈲ステンレスアート共栄は、コロナ禍にあっても受注の落ち込みは軽微で、6月以降も新規案件をはじめ受注増加が期待できるとしている。特にここへきて数年前から取り組んできた海外からの受注獲得に明るいきざしが出ており、「日本の技術を世界へ」をモットーとする永友義浩社長のチャレンジ精神が飛躍につながっている。

2014年、埼玉県産業振興公社は埼玉県内企業5社とともに、英国・ファンボロー空港で開催される世界最大級の航空見本市「ファンボロー国際航空ショー」に参加した。そのメンバーの中には、ギャレー(機内厨房)やラバトリー(洗面所)に使用されるシンクなどの内装品の受注を目指す永友社長の姿もあった。

航空ショーの会期中、同社には、ボーイングなどの大手航空機メーカーや日本の航空機用内装品メーカー、航空会社など、さまざまな企業からギャレー用品の引合いが寄せられた。

「『日本の技術を世界へ』という意気込みで参加しました。当社のような中小企業でも、他社に真似できない差別化技術があれば、グローバル市場で勝負していけるという自信を持つことができました」(永友社長)。

これを契機に、同社は日本のデザイン会社とコラボして、国内外の見本市に出展する企業の展示会装飾、展示会機材の製作に取り組みはじめた。2016年にドイツ・ケルンで開催されたオフィス家具・オフィス用品の見本市「ORGATEC」では、日系オフィス機器メーカーのブース内の什器を製作・施工した。こうした取り組みが実績となって、国内外のデザイン会社をはじめとしたネットワークが広がっていった。

  • 画像:「日本の技術を世界へ」ドイツで開催されたオフィス家具の見本市「ORGATEC」では、日系オフィス機器メーカーのブース内の什器を製作・施工した(デザイン監修:nendo)
  • 画像:「日本の技術を世界へ」板金加工設備と隣り合わせで大型マシニングセンタが稼働する

「イメージをカタチに変える」 ― CAD/CAM/CAEに早くから取り組む

永友社長は「開発(デザイン・設計)段階からものづくりに携わり、お客さまと製品の課題を共有し、保有する設備を駆使して構想やイメージをカタチに変えるのが当社のビジネスです」と語る。

3次元CADと構造解析・熱流体解析などの解析ソフトを活用したCAD/CAM/CAEに早くから取り組み、製品開発の初期段階から機能性と製造性を考慮した設計を行うことにより、精度の高い試作と迅速な量産化をサポートするようになった。

また、創業者である祖父の代から継承してきたバフ研磨技術と板金加工設備に加え、最新のマシニングセンタ、ターニングセンタを導入。デザイン・設計から板金加工、機械加工、溶接・仕上げ・組立までのワンストップサービスを提供するようになった。

現在は食品機械、包装機械、半導体製造装置、航空機のギャレーやラバトリー関連機器、再生医療機器、アミューズメント機器、オフィス用品・什器、建物内装品、建築金物など幅広い仕事を手がける。得意先数は40~50社で、そのうち10~15社で売上の大半を占めている。

画像:「日本の技術を世界へ」SolidWorksで作成した3次元モデル(左)と完成した機械装置(右)。設計から組立まで一括で受注した

会社情報

会社名
有限会社 ステンレスアート共栄
代表取締役
永友 義浩
所在地
埼玉県富士見市下南畑3767-15
電話
049-268-1155
設立
2001年
従業員数
45名(パート、アルバイト含む)
主要事業
各種板金加工品・フレーム・筐体・点字製品・各種研磨製品の3次元設計・製造
URL
http://www.sa-k.co.jp/

つづきは本誌2020年8月号でご購読下さい。

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