「スーパー下請け」を目指す
ベトナム工場との連携でお客さま価値を“協創”する
株式会社 大島 代表取締役 大島 亨 氏/専務取締役 大島 要 氏
㈱大島は、小ロット・高品質・短納期を実現する精密板金加工と、大量生産に欠かせないプレス加工を武器として、播州地方で強い存在感を放っている金属加工企業。2017年に創立30周年を迎えた。
多様化するニーズのなかで、現在では①半導体製造装置などの産業機器製品向け各種制御盤、②最先端の特殊電源装置向け制御機器、③自動サービス機、④太陽光発電・風力発電のパワーコンディショナー用ブレーカー・開閉器、⑤食品加工向け計量器など、⑥検体検査装置 ― と、大きく6業種をカバーしている。
2006年にはベトナム・ホーチミン市内に造成された輸出加工区(EPZ)にSAIGON METAL PROCESSING CO.,LTD.を設立。現在では従業員数も140名に増え、5年前から黒字転換。営業利益率が20%超となり、利益率では日本本社を上まわるまでに成長した。
現在、大島グループの従業員総数は200名で、売上高も20億円にせまる勢い。2008年のリーマンショックで受注量は半減し、高齢社員やパート社員を待機させ、一般社員の賃金カットで苦境をしのいだ。その後1年でV字回復、それを機にカットした社員の給与をさかのぼって全額支払った。
こうした試練を経て、グループ年商20億円弱を達成した大島亨社長と、ベトナム事業を発足当時からリードしてきた大島要専務に、これからの課題について話を聞いた。
最近は増収増益で推移
―景気回復局面が「いざなぎ景気」を超えて戦後2番目の長さとなりましたが、御社の業績はいかがですか。
大島亨社長(以下、大島社長) おかげさまで、ここ数年は年率5~9%で増収増益基調が続いており、景気回復の力強さを感じています。
3年前にSheetmetal誌の「視点」に「板金の市場規模は4兆円。板金業界の再編が加速して、業界の企業数は1万社を割り込む。そして年商10億円が境目となり、2極化が進む」といった記事が掲載され、大いに刺激を受けました。当時、当社の年商は8億円強。何としてでも10億円を超えないと再編の渦に巻きこまれると奮起し、リーマンショック以降から取り組んできた営業開拓を強化しました。
その結果、得意先を毎年増やし、売上高を5,000万~6,000万円ずつ上積みしてきました。それまで20社だった得意先は現在45社と倍増させることができ、年商も11億円超えを実現しました。
―どんな業種が伸びていますか。
大島社長 やはり半導体製造装置関連に勢いがあります。この分野の仕事だけで、売上比率35%を占める月もあります。そのほか、ロボット関連、食品機械、医療機器など、当社が得意とする6業種で好調を持続しています。
当社は航空宇宙と鉄道車両を除く大半の業種の仕事を手がけています。リーマンショック前までは得意先が20社あまりで、そのうちの3~4社が売上全体の大半を占めていました。今は得意先が増えたことで、いろいろな業種・得意先を開拓でき、必然的に1社あたりの売上比率は下がり、好調な業種、現在は不調でも将来性がある業種からバランスよく受注して、企業体質が強くなってきました。
リーマンショックが転機
―リーマンショック後、営業開拓に力を入れるきっかけとなった出来事は何ですか。
大島社長 2008年のリーマンショックで仕事量が半減し、高齢者・嘱託社員・パートの方には待機していただき、正社員のみなさんには15%の賃金カットを行い、耐えてもらいました。当社にとって初めての経験でした。
これを契機に社員とも危機感を共有でき、1年後にはV字回復、純利益も黒字化しました。そこで、1年弱辛抱してもらった社員の賃金を元に戻し、カットした分の差額を賞与に加算して支払いました。これによって社員自身にも「業績が改善すれば、利益が還元される」という認識が深まり、社員全員が業績改善のため努力をしてくれるようになりました。このことが当社の地力を育てる転機になりました。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 大島
- 代表取締役
- 大島 亨
- 住所
- 兵庫県三木市志染町吉田472-1
- 電話
- 0794-83-6800
- 設立
- 1987年
- 従業員数
- 57名
- 主要事業
- 精密機械板金加工、精密プレス加工、ユニット組立
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