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製造DXソリューション「LIVLOTS」で“つながる工場”へと進化

事務所・プログラム室・製造現場のあらゆる情報をデジタルデータとして共有する

株式会社 アマダ ソフトFA販売部

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ものづくり環境の劇的な変化と「製造DX」の必要性

アマダは板金製造業の生産性向上を目指し、1990年代初期から業界の先頭に立って工場のデジタル化とネットワーク化をけん引してきました。そこで生まれたのが「VPSS」(Virtual Prototype Simulation System:バーチャル試作システム)の仕組みです。「VPSS」は内段取り作業の外段取り化により、稼働率の改善、不良撃退、技術伝承に貢献し、板金業界に革新をもたらしました。

2010年代に入ってからはものづくり環境がさらに大きく変化し、工場の自動化・IoT化という新しい波が押し寄せ、よりいっそうの変革が必要になってきました。少子化による若年労働力不足や若手人材の製造業離れ、熟練技能者の高齢化など、製造業を取り巻く環境がますますきびしくなる中、これらの課題の解決策として製造DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現が求められています。

「VPSS」がブランク工程・曲げ工程のデジタル化を実現するソリューションだとすると、今回紹介する「LIVLOTS(リブロッツ)」(LIve Variable LOT production System)は板金加工のあらゆる工程(受注~出荷)をデジタル化し、板金業界の製造DXを実現するソリューションといえます。LIVLOTSが実現する製造DXは、人を管理するのではなく、働く人が必要な情報を必要な時に得ることができ、ストレスなく製造効率化をはかる新しい仕組みです(図1)

画像:製造DXソリューション「LIVLOTS」で“つながる工場”へと進化図1:「LIVLOTS」の位置づけと役割

「LIVLOTS」開発に至った経緯

あらゆるものづくりが「自動化・省人化」の方向に向かっている中、板金製造業においても単工程ではなく、工程間作業(工程間連携)の課題解決と効率化のニーズが広がってきました。

アマダは国内のお客さま17社(APC21やWILLといった生産管理システムを利用しているお客さま)を訪問し、全工程にわたる問題と課題をヒアリング。その結果、以下のような共通の問題点を確認しました。

・工程情報の登録と更新は作業者が手動で行っており、スキルを要する。
・進捗状況は作業者が手動で着手と完了を端末に入力している。
・工程ごと・製品ごとの仕分け作業に時間がかかっている。類似品が多いため現品票との照合に苦労している。
・紙図面を見ながら作業を確認している。
・作業記録や注記・メモは手書き。取らないことも多い。
・紙の図面探しに時間がかかり、検査結果は図面に手書きしている。

これにより、「ヒトに依存する作業がまだ多く、工程間の効率化がはかられていない」「工程間作業の自動化が進んでおらず、ヒトに頼っている」ことがわかりました。

このような課題の解決を目指して開発されたのが「LIVLOTS」です。LIVLOTSは事務所とプログラム室、製造現場のあらゆる情報をデジタルデータとして共有します。有用な情報を工場の隅々まで届け、生産のネットワーク化・自動化を実現し、お客さまの製造DXを支援するソフトウエアです。

「LIVLOTS」の「現場支援コンテンツ」を構成する5つのアプリケーション

LIVLOTSは大きく「現場支援コンテンツ」と「事務所支援コンテンツ」の2つに分かれています。今回は主に「現場支援コンテンツ」についてご紹介します。

「現場支援コンテンツ」には「JOB」(ジョブ管理)、「PLACE」(所在管理)、「CHECK」(検査記録)、「DOCUMENT」(図面管理)、「VIEW」(工場モニター)の5つのアプリケーションがあります。以下、それぞれの役割と特徴を紹介していきます。

「JOB」(ジョブ管理)

● 製作手配情報を取り込んで上位システムと連携

これまでは上位の生産管理システム(ERP)から情報を取り込む際、エラーで取り込めなかったり情報が欠落してしまったりして、機能が正常に動作しないという課題がありました。

LIVLOTSは、上位のシステムで製作手配をかけると、その情報が瞬時に反映されます。製作する部品の工程や加工予定日をチャートで確認でき、また、部品ごとに製作手配情報を表示して受注先や注文番号・製造番号などを確認できます。取り込みエラーが発生した場合はLIVLOTSの画面で通知され、調整・再取り込みが可能です(図2)

● プログラム室(VPSS 4ie)から計画的に加工を指示

製作手配をかけると、製作手配情報がプログラム室に瞬時に受け渡され、納期、材料、次工程の予定などを確認しながら加工プログラムを作成できます。また、日付ごとに各マシンの負荷を比較・確認しながら加工予定を振り分けられます(図3)

プログラム作成したパーツは自動で製作手配一覧から消えます。リピートシート機能を使うと、過去に使用したシートデータを使って手配をかけられます。

  • 画像:製造DXソリューション「LIVLOTS」で“つながる工場”へと進化図2:「製作手配一覧」画面(取り込みエラーを通知)
  • 画像:製造DXソリューション「LIVLOTS」で“つながる工場”へと進化図3:各マシンの負荷を比較・確認しながら加工予定を振り分ける

つづきは本誌2023年6月号でご購読下さい。

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