AI・RPA・ペーパーレス ― DXに挑むデジタル板金工場
WILLを中核とした緻密な生産管理で多品種少量生産に対応
株式会社 酒井製作所
最新設備と緻密な管理によるデジタル板金工場
㈱酒井製作所は、1970年に精密板金加工業として設立後、得意先の要望に応えるかたちで製缶・表面処理(塗装・黒染め)にも順次対応。社内一貫生産体制を整え、多種多様な業種・得意先の仕事に幅広く対応している。
酒井宏之会長は20年以上にわたり、最新鋭の加工設備と、生産管理システムWILLを中核とした緻密な生産管理体制を両輪とする「デジタル板金工場」の実現に力を注いできた。とりわけ、緻密な生産管理体制 ― リアルタイムの進捗管理、正確な実績工数の把握、トレーサビリティーの確保などによる生産プロセスの“見える化”は、ISO9001に準じた高レベルな品質マネジメント、根拠が明確な“適正金額”の見積り、そして99.99%台(フォーナイン)の納期遵守率の基盤となり、得意先の信頼獲得につながっている。
2020年3月、設立50周年をむかえたタイミングで、酒井悠太郎社長が3代目社長に就任した。酒井社長は大学卒業後、2012年に入社。プログラム工程と総務部(生産管理・見積りなど)で実績を積み、2019年からは専務取締役として経営に関与してきた。現在は酒井会長のポリシーを受け継ぎながら、生産管理体制のさらなる合理化を目指して、3次元CAD、AI、RPAなどを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。
ロット1ケタ+新規率70%の多品種少量生産
同社の得意先は約110社で、そのうち毎月受注するのは約40社。1社あたりの売上構成比が10%を超えないように分散している。業種は、工作機械が50~60%、自動車の搬送機器関係が20%前後を占め、残りの20~30%は食品機械・医療機器・鉄道車両・農業機械などさまざま。毎年、新規得意先を開拓し、近年は景気変動の影響を受けにくい食品機械・医療機器の受注拡大に力を入れている。
酒井社長は「コロナ禍の影響で、2021年2月期の売上高は前年比20%程度、減少する見込みです。昨年夏頃から受注が減り、それが年末まで続いている状況です。お客さまからお聞きする話を総合すると、2021年に入ってからは徐々に回復へ向かうと見込んでいます」と語っている。
取り扱う材料は、鉄系材料が70%、ステンレスが20%、アルミ・その他が10%。板厚は、鉄系材料なら6㎜までが多く、1.6㎜と2.3㎜が大半を占める。食品機械・医療機器の仕事が軌道に乗り始めたことから、ステンレスの使用量が徐々に増える傾向にある。それに加えて、機械フレームなどに使用するパイプ・形鋼の加工にも社内で対応。また、受注する製品の70~80%は塗装を含む製品となっている。
1カ月間の受注件数(製番)は月3,000件前後で、さらに子部品が付くため、部品レベルでは月1万アイテムを超える。中心ロットサイズが1~2個という典型的な多品種少量生産で、新規品の割合が70%と高く、得意先の数も多いことから、プログラム工程と見積り作業の合理化が重要課題となっている。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 酒井製作所
- 代表取締役社長
- 酒井 悠太郎
- 所在地
- 愛知県豊橋市天伯町天伯72
- 電話
- 0532-47-5566
- 設立
- 1970年
- 従業員数
- 47名(パート社員含む)
- 事業内容
- レーザ加工・板金・製缶・焼付塗装・黒染め
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