特集

安定成長する医療機器を支える板金加工

医療機器分野を第2の柱に

新工場計画で新規需要に対応する

梅田工業 株式会社

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画像:医療機器分野を第2の柱に①小物製品の曲げ加工の自動化に対応するベンディングロボットシステムEG-6013AR +EGROBOT/②EG-ARは1台のロボットが金型交換から曲げ加工まで一貫して行う

精密板金加工と精密機械加工が中心

梅田工業㈱は、精密板金加工と精密機械加工を中心に、半導体製造装置関連の機構部品や計測器などの機構部品、医療機器向け板金部品などを手がけている。

同社は1947年、埼玉県熊谷市でモーター変圧器の設計・製造・販売を行う会社として創業した。1956年にプレス部品加工を始め、1970年からはプレス金型製作にも取り組み、試作から金型製作、プレス加工までを一貫して行うようになった。1989年に現在地に本社工場を移転、自社開発の統合生産管理システム「F.P.I.sys」をリリースした。

インドネシアに工場進出

画像:医療機器分野を第2の柱に梅田英鑑(ひでのり)社長(左)と若林英一取締役(右)

また、プレス加工による量産の仕事が海外へ移転されるなか、いち早くグローバル化に対応した。

1995年にインドネシアへ進出し、ジャワ州ブカシ県にある「MM2100工業団地」にプレス金型・プレス部品の製造・販売を行う「梅田工業インドネシア(PT.UMEDA KOGYO INDONESIA)」を設立。その後、2013年6月に全株式を時計メーカー、精密機器メーカーのリズム時計工業㈱に売却した。同年10月、板金加工の需要の高まりを受けて、同工業団地(MM2100)内に、板金加工に特化した「PT.UMEDA FACTORY INDONESIA」(以下、インドネシア工場)を新たに設立。国内外で、多品種少量生産に対応する板金加工と、機械加工を主力とする事業体へと変化していった。

半導体製造装置関連の売上が70%

現在、売上全体の70%が半導体製造装置関連で、製造工程ごとに異なる装置メーカー数社と取引がある。しかし、半導体製造装置業界は、シリコンサイクルの影響により繁忙期と閑散期の受注変動が大きく、平準化が難しい。そのため、医療機器・食品機械・計測機器などの部品加工など、新たな業種・得意先を開拓していった。

安定した成長が期待できる医療機器分野の開拓は、長年の課題だった。近年では、インドネシア工場で大手医療機器メーカーの培養装置の筐体製作を行い、国内では全自動PCR検査装置メーカーや画像検査装置メーカーなどとの取引を始められるように準備しており、医療機器分野の売上構成比20%を目標にしている。

  • 画像:医療機器分野を第2の柱に平板・パイプ兼用レーザマシンFO-MⅡ RI3015
  • 画像:医療機器分野を第2の柱に自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-1003ATC

医療機器分野を強化し、第2の柱に

梅田英鑑(ひでのり)社長は、同社の主力である半導体製造装置分野と、今後の開拓を目指す医療機器分野の受注状況について、次のように語っている。

「新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染拡大で、当社の受注環境にも少なからず影響が出ています。さいわい、受注の70%が半導体製造装置関連だったため、6月までは好調でした。しかし、世界的に人の移動が制限されたことで半導体工場への装置据え付けに遅れが出てしまい、一時的に在庫が増え、7-9月期は装置メーカー各社が生産調整、仕事量は減っています」。

「医療機器関連で言うと、自動PCR検査装置が国内外から多くの引合い・注文を受けていらっしゃるとの情報もあります。OEMで供給しているフランスやイタリアの医療現場で利用されていることがメディアで紹介されたためです。当社としても、そういった検査装置などの医療関連機器の筐体などの仕事を受注していきたい」。

「インドネシア工場が受注生産する医療機器関連の培養装置の筐体も、発注元である現地のお客さま向けに順調な出荷が続いています。直近では、画像診断装置メーカーからの案件があります」。

「そういった情勢の中で6月中旬には、瞬間的でしたが、人工呼吸器の仕事を受注しました。日本は人工呼吸器の90%を輸入に頼っており、政府は今後の新型コロナの第2波・第3波に備えて、人工呼吸器の国内生産を奨励し、増産に必要な資金を補助する事業を始めています。埼玉県内に乳児や動物用の人工呼吸器を製造する企業があり、この企業が経済産業省からの要請で、人工呼吸器を増産することになりました。国内だけでなく、患者が急増する発展途上国向けにも、低価格の装置を開発・増産することが急務となり、直接のお取引ではありませんが、当社に制御装置向けの板金部材一式の加工の依頼が入りました」。

「初回ロットが300台、次に800台、最終的には4,000台を短期間で製造する計画で、まずは初回ロット300台のボックス・シャーシの製造に対応しました。たまたま4月にベンディングロボットシステムEG-6013ARを導入していたこともあって、製造着手から約1週間で300台を納めることができました。次の800台に取りかかったときに、発注側企業の調達方針が急きょ変更され、当社に来るはずだった仕事が転注になりました」。

「医療機器の仕事は、納期・コストはきびしいのですが、やりがいのある分野です。売上構成比20%という目標を短期間で実現するため、一つひとつの案件に大切に取り組んでいきます」。

  • 画像:医療機器分野を第2の柱にファイバーレーザ溶接ロボットFLW-4000
  • 画像:医療機器分野を第2の柱にファイバーレーザ溶接を行った通信機器筐体

会社情報

会社名
梅田工業 株式会社
代表取締役社長
梅田 英鑑
所在地
埼玉県行田市持田2662
電話
048-553-3191
設立
1957年
従業員数
63名
主要事業
半導体製造装置・スイッチング式電源・計測器などの機構部品、医療機器部品の精密板金加工・機械加工/コンピュータシステム開発
URL
http://www.umedakk.co.jp/

つづきは本誌2020年9月号でご購読下さい。

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