グローバル化でビジネスチャンスを拡大する板金企業
日本で製造した最高品質の板金製品を1週間で米国へ
「JAPANブランド育成支援事業」に採択
株式会社 小林製作所
「JAPANブランド育成支援事業」に採択
㈱小林製作所は、経済産業省・中小企業庁の「令和2年度JAPANブランド育成支援事業」に採択された。これは、全国展開や海外展開などのために、新商品・サービスの開発やブランディングなどに取り組む地域中小企業の活動を支援する事業だ。
同社は2018年、米国・カリフォルニア州のロサンゼルス近郊に営業拠点(SHEEMETZ CO.)を開設。米国製造業界を皮切りに、世界へ向けて板金ビジネスを展開することを決断した。2018年9月には、イリノイ州シカゴで開催された国際工作機械見本市「IMTS」で、日本貿易振興機構(JETRO)のジャパン・パビリオンに国内中小企業10社のうちの1社として出展した。2019年と2020年には、カリフォルニア州アナハイムで毎年開催される北米最大規模の医療機器等の見本市「MD&M West」にも出展し、「日本で製造しアメリカへ、最高品質の板金製品を1週間で届けます」とPR。こうしたプロモーション活動がきっかけとなり、米国企業から直接受注できるようになった。
黒川正枝取締役は「売上全体に占める割合はまだ1ケタにも届かないレベルですが、展示会へ毎年参加することで、少しずつ認知され始めたと思います」。
「2016年、2017年にはドイツの『ハノーバーメッセ』にも出展しました。そのほかにも中国、タイ、インドネシア、ベトナムなどで開催された展示会で、JETROや石川県などの共同パビリオンに出展してきましたが、なかなか芽が出ませんでした。米国は、2018年に経済産業省主催の『素形材産業シリコンバレーミッション』に参加したことによって『日本の製造業がこのままくすぶっていてなるものか! なんとかしたい!』と闘志が湧き、アドバイスや勇気をいただきながらアタックしたことで、ようやく仕事につながっています」。
「こうした今までの取り組みが評価され、今回の『JAPANブランド育成支援事業』選定につながったと思います」と語っている。
中小企業のIT化の見本となる企業
今回「JAPANブランド育成支援事業」に採択され、展示会出展費用やプロモーションに関わる諸経費の一部を補助されることで、「今後も継続して欧米の展示会に出展を考えていきたい」(黒川取締役)としている。
もともと同社は、板金業界の中でも先端的なテクノロジー ― IT・ロボットなどの導入に力を入れている。
小林靖典社長は、経営理念のひとつである「時間あたりの生産性向上を目指し、コンピュータの有効活用によって一人一人を活かし、一人一人をつなごう」に基づき、みずから率先して30年以上前からシステム開発とIT活用に取り組んできた。こうしたIT活用の継続的な取り組みは、経済産業省が主催する「中小企業IT経営力大賞2012」で「大賞」にあたる「経済産業大臣賞」を受賞するなど、高い評価を受けてきた。
社内からのさまざまなニーズに対して独自の発想でソフトウエアを開発し、国内外の製造業界にも販売を行っている。また、最先端のロボットシステムを積極的に開発・導入しており、工場内ではそれらのロボットが活躍している。ロボットを効率的に活用するための治具にも注力しており、さまざまな形状のワークを1台の汎用治具で固定するファイバーレーザ溶接ロボット用治具なども自社開発している。
2019年12月に同社を訪問した西村康稔経済再生担当大臣はSNSや講演会で「中小企業のIT化の見本となる企業」と称賛している。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 小林製作所
- 代表取締役
- 小林 靖典
- 住所
- 石川県白山市水島町429-17
- 電話
- 076-277-7330
- 設立
- 1947年
- 従業員数
- 135名
- 主要事業
- 産業機械カバー・フレーム・筐体、半導体製造装置部品、OA・FAコンピュータ部品・筐体の精密板金加工・組立・塗装・提案型設計/生産管理システム「Sopak」、トレーサビリティーカメラシステム・カメラ進捗管理システム「Sopak-C」などの開発・販売
つづきは本誌2020年8月号でご購読下さい。