特集

続伸する半導体製造装置向け板金需要のこれから

3工場体制で半導体製造装置部品の生産能力を2倍に

強みのITソリューションで得意先の信頼を得る

株式会社 小林製作所

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画像:3工場体制で半導体製造装置部品の生産能力を2倍にパンチ・レーザ複合マシンLC-2012C1NT(手前)、ファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJ(奥)が並ぶ能美工場

創業103年をむかえる老舗板金企業

画像:3工場体制で半導体製造装置部品の生産能力を2倍に小林靖典社長

㈱小林製作所は創業103年をむかえる老舗の板金加工業者。熟練技術と最新設備を活用して設計から加工、組立、塗装までをワンストップで、単品・数物にも対応できる柔軟性を備える。また、ファイバーレーザ溶接・YAGレーザ溶接・ハイブリッド溶接の技術を駆使し、ステンレス・アルミの板厚1.0~4.0㎜の高品位溶接への対応力も備えている。

同社の強みは小林靖典社長が開発したIoT生産管理システム「Sopak(ソパック)」、トレーサビリティーカメラシステム・カメラ進捗管理システム「Sopak-C」による究極のトレーサビリティーを追求する品質管理能力など、デジタルトランスフォーメーション(DX)の活用で生産の効率化を実現するとともに、3次元設計に対応したVA/VE提案力を備えていることだ。

現在の従業員数は180名。今期中にも売上は30億円に手が届く勢いで成長を続けている。

売上比80%を占める半導体製造装置部品

躍進の要因は売上全体の80%あまりを占める半導体製造装置部品の受注が好調なことだ。中でも売上の50%以上を占める世界トップシェアの洗浄装置メーカーからの洗浄装置関連のフレーム、パネルなどの発注量が増大している。塗装までのワンストップ加工、トレーサビリティーに対応した品質管理能力が評価され、得意先の会長や社長も同社工場の見学に訪れている。すでに板金サプライヤーとしてはトップクラスの受注量となっており、得意先からは日ごろから供給体制の拡充が求められていた。

そこで石川県能美市湯谷町と白山市水澄町に新工場開設を決断した。能美工場は2022年春に稼働開始、水澄工場は2024年春に本格稼働する予定で、3工場体制によって生産能力を従来の2倍にする計画だ。

小林社長は「お客さまの要望に対応するためには、本社の設備能力では不足してきました。現在の本社・水島工場は完成から17年が経過、当時はI-MARS含めて最新の設備でしたが、さらなる発展を目指すためには、AIやロボットなど最新のIoT技術を駆使した次世代板金工場が必要になってきました。私が1991年に3代目社長に就任してから30年が経過し、次世代に向けて事業承継も考えた新しいものづくりができる環境をつくりたかった」と新工場への思いを語る。

  • 画像:3工場体制で半導体製造装置部品の生産能力を2倍に自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-1003ATC
  • 画像:3工場体制で半導体製造装置部品の生産能力を2倍に出荷梱包を待つ部品の多くが半導体製造装置関連でキズがつかないように丁寧に梱包される

2工場を建設、設備も増強 ― 増加する半導体製造装置部品に対応する

そこで水島工場に程近い場所に3,000坪の用地を取得。併せて2021年度の「サプライチェーン補助金」の2次募集で採択され、陶器工場だった能美工場を借り上げ、改装した。2階建て工場の広さは約6,000㎡。水島工場のパンチ・レーザ複合マシンLC-2012C1NT+AS-2512C1と、複数のベンディングマシン、溶接・組立を強化するために導入したファイバーレーザ溶接機FLW-600MT×2台も移設し、新規でFLW-1500MTを増設する。工場の板金工程は春から稼働し、年度内には省力化した粉体塗装ラインを新設する。

白山市水澄町の「水澄工場」には年内に2階建ての工場建設に着工し、2023年12月の竣工、2024年春の開業を目指す。新工場には現在の本社工場同様にI-MARSを設置、パンチ・レーザ複合マシンACIES-2512Tなどを導入する。板金工程と塗装工程を設け、生産能力は水島工場の半分程度を想定している。工場では半導体製造装置向けの部品を中心に製造する予定だ。

設備投資額は建設工事費の高騰で10億円以上となる。計画当初は8億円を見込み、この建設計画を令和2年度補正で予算化された「事業再構築補助金」に申請し、2/3の5億円が採択された。

両工場では「Sopak-K」「Sopak-C」の運用を中心に、DXの取り組みを加速、業務の効率化につなげる。

同社の受注案件は月に4万種類、部品図面枚数では30万アイテムを超えており、超多品種少量生産となっている。ほとんどが単品の小ロットで受注生産、超短納期(5日以内)対応で納品している。

取り扱っている材料は鉄系が50%、SUS304やSUS430を中心とするステンレス系が40%、アルミ系が10%となる。

画像:3工場体制で半導体製造装置部品の生産能力を2倍に左:カメラ進捗管理システム「Sopak-C」で事務所から能美工場の様子を確認できる/右:半導体製造装置のフレーム筐体組立(Sopak-C画面)

会社情報

会社名
株式会社 小林製作所
代表取締役
小林 靖典
所在地
石川県白山市水島町429-17
電話
076-277-7330
設立
1947年
従業員数
180名
主要事業
半導体製造装置部品、産業機械カバー・フレーム・筐体、OA・FAコンピュータ部品・筐体の精密板金加工・組立・塗装・提案型設計/生産管理システム「Sopak」、トレーサビリティーカメラシステム・カメラ進捗管理システム「Sopak-C」などの開発・販売
URL
http://www.kobayashi-mfg.co.jp/

つづきは本誌2022年10月号でご購読下さい。

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