Interview

「新しいモノ好き」が高じた「停滞は衰退」というモットー

人に優しい、デジタルなものづくりに挑戦

株式会社 三松 代表取締役社長 田名部 徹朗 氏

LINEで送る
Pocket

株式会社 三松 代表取締役社長 田名部 徹朗 氏田名部徹朗氏

創業50周年をむかえた㈱三松は、九州名産の葉たばこ乾燥機の製造から事業をスタート。創業期は椎茸乾燥機・のり製造機など地域に根ざした産業のものづくりを支援しながら、さまざまな分野に事業を広げていった。その後は「グローバル化」「多品種少量」「IoT・AI化」「カーボンニュートラル」など、事業を取り巻く環境が変化していく中で、時代のニーズに合わせて変化・進化を遂げてきた。

そして、リアルな職人技術や加工設備とバーチャルなIoT、AI、3次元CADなどのデジタル技術を融合させた、人に優しいデジタルなものづくりに挑戦している。同社の高い技術力は大手メーカーからも信頼され、川崎重工業、三菱電機、安川電機などからはロボットパートナー認定を取得し、ロボットシステムインテグレーター(ロボットSIer)となった。2023年6月から新たな事業、SID-E7:サイドセブン<設計・組立・開発支援>を展開するようになった。

ものづくりを支える「人づくり」に関しては、複数の技能や技術を持った「多能工」人材を育成するための「三松大学」という独自の教育プログラムを持っており、モチベーションを高めながら働くことができる職場環境も整備している。

2024年6月期の売上は34億円を達成、今期(2025年6月期)は42億円を見込む。さらに、2030年6月期の売上目標を60億円とした。メインの金属加工事業に加え、今期売上予測で10億円を見込むロボットSIer事業は、ロボットシステムインテグレーターとして、ロボットを活用した製造・物流システムの設計・組立・開発支援を行い、将来的には30億円事業に成長させるという目標を掲げている。

そこで、田名部徹朗社長に同社事業の現在と今後について話を聞いた。

常に変化していくことが大切

画像:「新しいモノ好き」が高じた「停滞は衰退」というモットー2023年6月に竣工したロボットSIer事業をコアとする、新・開発支援工場 SID-E7<サイドセブン>

― 創業から50年、「グローバル化」「多品種少量」「IoT・AI化」「カーボンニュートラル」と取り巻く環境が劇的に変化していく中、時代やニーズに合わせて幾度となく変化・進化を遂げてこられた原動力は何ですか。

田名部徹朗社長(以下、姓のみ) 原動力は「新しいモノ好き」が高じた「停滞は衰退」というモットーです。変化の激しい時代の中ではいくらうまくいっていることでも、そこに安住していると取り残され、置いてきぼりとなってしまいます。だから、常に変化していくことが大切であると思ったことに由来します。このモットーを原動力にお客さま、そして地域のみなさまに支えられた50年という当社の歴史は、停滞を好まない、前向きな試行錯誤と自己の可能性への挑戦の歴史だったとも言えます。

変化し進化していくために、こだわったことは「1個からでも対応」「品質にこだわる」「納期を守る」といった、しごく当たり前のことです。結果、今や半導体製造装置から微細な電子部品に至る金属部品だけでなく「ものづくり」に関わるさまざまな分野 ― すなわち、開発設計、ロボット制御、加工技術、外注購買、アセンブリー、品質・生産管理、短納期製作など、ものづくりサービスを1個からでもお受けし、お客さまに安心してお任せいただける能力がついてきたと自負しています。

  • 画像:「新しいモノ好き」が高じた「停滞は衰退」というモットー2021年にTK(テイクアウトローダー)付きで導入したファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJ
  • 画像:「新しいモノ好き」が高じた「停滞は衰退」というモットー自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-2204ATC

ウェルビーイングに生きていけるを目指して

― 「100年企業」に向けて、これから先の50年についての意気込み、お考えをお聞かせください。

田名部 最近では、SDGsの重要性が企業活動で問われています。単にものをつくるだけではなく、そこに関わるすべての人々がよりウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態)に生きていけることも企業責任として推進していかねばなりません。それを実現するための支柱となるパーパス(存在意義)を2023年に見直し、「『最先端加工技術の追求とフレキシブルな多品種少量生産でものづくりを支える企業』として、人々の未来を明るく照らすこと」を100年企業に向けて定めました。

不確実性が高まるこれから先には、もっと大きな変化が猛スピードで起こっていくものと思います。お客さまや地域のみなさま、そして当社の社員一人ひとりに喜んでもらうために、このパーパスを道標とし、「停滞は衰退」をモットーに、誠実な「人」と「技術」を育成・伝承し、コロナ禍で脚光を浴びたライフサイエンスや、宇宙ビジネスなど新しい産業の製品はもちろんのこと、お客さまの夢やアイデアを社員と一緒になってカタチにしていくものづくり支援会社として、さらなる50年に向けて挑戦を続けていきたいと考えています。

左:塗装工程/右:玄関正面に取り付けられた4つのモニターではエネルギー使用状況やCO2排出量など、同社のリアルタイムの情報が確認できる左:塗装工程/右:玄関正面に取り付けられた4つのモニターではエネルギー使用状況やCO2排出量など、同社のリアルタイムの情報が確認できる

全文掲載PDFはこちら全文掲載PDFはこちら

会社情報

会社名
株式会社 三松
代表取締役社長
田名部 徹朗
所在地
福岡県筑紫野市岡田3-10-9
電話
092-926-4711
設立
1972年
従業員数
190名(2024年3月時点)
主要事業
板金事業:FAロボット装置・半導体製造装置・建築部品・食品機械・業務用厨房・医療機械・通信インフラ設備・電子部品・車両部品・事務用機器・農林水産機械・水処理装置・生ごみ処理機・その他/SID-E7:サイドセブン<設計・組立・開発支援>ロボットSIer事業
URL
https://www.sanmatsu.com/

つづきは本誌2025年2月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

Interview記事一覧はこちらから