レギュレーション対応が課題―医療機器の板金加工
医療機器の板金を含め、事業の柱は6つ
モノづくりプロセスと経営の“見える化”に取り組む
株式会社 大島
①EMZ-358NTPのデジタル稼働日報。稼働率は24時間を分母に積算されている/②パンチングマシンEMZ-358NTP
創立30周年を前に年商10億円超えを達成
㈱大島は1987年に創立され、来年には会社創立30周年を迎える。創業以来、多品種少量生産の時代に不可欠な小ロット・高品質・短納期を実現する精密板金加工と、量産に欠かせないプレス加工を高い水準で実現してきた。多様化するニーズの中で、同社は高速プリンター、自動サービス機、配電制御盤、医療機器、食品機械など様々な得意先からの受注に対応し、部品加工からサブアッシーまでを一貫で行っており、前年度の年商は10億円超えを達成した。
現在の受注内容を見ると、毎月の受注アイテム数は5,000アイテム。受注点数は17万5,000点、平均ロット数は35個となっている。大口の得意先とはEDI発注が行われており、3次元CADデータを含む、電子データでの受注が半分近くになる。しかしCADデータをもらっても、正式には図面に基づく生産と品質保証が求められている。
12月初めには本社工場にファイバーレーザ複合マシンLC-2512C1AJ+RMP-Nも導入する。長時間自動運転が可能な材料供給・製品集積システムを備え、材料の1枚取り・搬入・加工後の製品の搬出・集積を自動化。マシンのフロント側がオープンスペースになっているため、マシン単体での割り込み加工を容易に行うことができる。入れ替えとなったLC-2012C1NT+MP-2512C1は、そのまま同社ベトナム工場へ移設される。
大島亨社長
大島要専務
リーマンショックを転機に新規開拓
2008年のリーマンショックで売上が一時的に半減したこともあって、1社依存率を低減するため、得意先業種・企業を新規に開拓。それまで20数社だった得意先を現在までに2倍の45社程度にまで拡大するとともに、1社あたりの売上比率を15~20%以下に抑えることでリスク回避にも努力してきた。
得意先ニーズを正面から受け止め、より効率的な生産システムを構築するとともに、IT技術を活用してモノづくりプロセスの“見える化”、経営の“見える化”も推進。社員のモチベーションアップや目標管理にも役立てている。
2006年にはベトナム・ホーチミン市内に造成された輸出加工区(EPZ:外国資本を誘致して保税加工業を興し、雇用の拡大と外貨収入の増大をはかろうという目的で設置される保税地域)にSAIGON METAL PROCESSING CO.,LTDを設立。現在では従業員数も140名に増え、2年前からは黒字転換。営業利益率が20%超となり、利益率は日本本社を上回るまでに成長した。日本の本社から発注する仕事(OUT/IN)は売上の35%を占めるだけで、ローカルで受注する仕事の割合が60%強にのぼる。現地化を強化するとともに、ベトナムへ進出する日系企業を含む、外資系企業からの受注獲得に力を入れ、事業のグローバル化にも積極的に取り組んでいる。目まぐるしく変化する中、時代に敏感な同社の取り組みは業界でも注目されている。
左:パンチングマシンEMZ-358NTP/右:EMZ-358NTPのデジタル稼働日報。稼働率は24時間を分母に積算されている
会社情報
- 会社名
- 株式会社 大島
- 代表取締役
- 大島 亨
- 住所
- 兵庫県三木市志染町吉田472-1
- 電話
- 0794-83-6800
- 設立
- 1987年
- 従業員数
- 52名
- 主要事業
- 精密機械板金加工、精密プレス加工、ユニット組立
つづきは本誌2015年12月号でご購読下さい。