事業承継を機に発展する岡山・島根の板金企業
「100年企業」を目指して躍動する30歳の若きリーダー
9kWファイバーレーザマシン、ハンディファイバーレーザ溶接機を導入
有限会社 福田鉄工所
山陰地域で製缶・板金加工に対応
製缶・板金加工、一般設備部品の加工を主要業務とする㈲福田鉄工所は2023年9月にCO2レーザマシンFO-3015NT(4kW)を、出力9kWのファイバーレーザマシンENSIS-3015AJe(シャトルテーブル仕様)にリプレース。鉄系材料は板厚0.5~25㎜、ステンレス系材料は1.0~12㎜と薄板から厚板までのレーザ加工に対応する。
2012年には平板・パイプ兼用レーザマシンFO-MⅡ RI3015をシャトルテーブル仕様で導入。アングル、チャンネル、パイプなどの形鋼加工にも対応し、山陰地域で特徴を備えた企業となっている。
同社は福田剛史社長の祖父が1946年に松江市伊勢宮町で、木造船建造に必要な釘の製造販売業として個人創業。地域の漁港をまわって販売していた。やがて3人の子息が手伝うようになり、船舶、ディーゼルエンジン部品、建築土木などの仕事を経て金属加工の仕事を行うようになった。
1962年に㈲福田鉄工所を設立し、製缶・板金加工を開始した。1974年には現在の島根県松江市に工場を建設し移転。2代目社長に長男が就任、次男(福田社長の父親)は専務として製造を担当した。1985年には他社に先駆けていち早くレーザマシンを導入。切断・穴あけ加工をレーザ加工に置き換えていった。
周囲の反対を押し切ってレーザマシンを導入
4代目社長の福田剛史氏は「当時はアマダの営業マンが切断サンプルを持って飛び込み営業で来社してくれました。従来のガス・シャーリング切断に比べて切断面と寸法精度が優れていて、自由曲線の切断がゼロコンマの精度でできれば新しい仕事に展開できると考えました。当時の会社規模からすると無謀な投資金額でしたが、アマダの優秀なサービスマン、そして何よりも自社の優秀なスタッフに恵まれたからこそ導入できたと先代たちからは聞いています。結果、加工時間の短縮や金型レスのさまざまな形状加工に対応できました。次第に県内外からの仕事が増えて社業は発展、その後もレーザマシンの2号機、3号機を導入しました」。
「私は松江高等専門学校を卒業後、愛知県内の情報システム機器の開発製造企業に就職、保守メンテナンス業務を担当しました。26歳の時、父から『会社に戻ってくれないか』と相談を受けました。当時の当社は長男から三男に代替わりしたところで、次男の父は専務として製造を見ていました。本来、3代目は次男である父の番でしたが、父は専務のままで製造を担当することを望んだようです。そこへ私に戻ってこいということはどういうことか問いただしたい気持ちもありましたが、これまで自由にさせてもらった恩義もあるので、2019年に26歳で入社しました」。
「入社後しばらくは一人の作業員として会社の現状を把握しました。2年ほど、検査・製品仕上げの業務をしながら現体制の改良すべき点を検討。その一方でメーカー勤務の経験を生かし、ものづくりプロセスのムダを指摘、目先だけでなく会社が将来進むべき方向性について考えるようになりました」。
「2021年には取締役に就任し、2022年7月に父・叔父の3兄弟がそろって引退。入社して間もない私に、2026年に創業80周年をむかえる会社の社長が務まるのか、という心配もありましたが、前職で培った情報システム関連の知識・経験をDXへの取り組みなどに役立てられるかもしれないと決意し、4代目に就任しました」と語っている。
会社情報
- 会社名
- 有限会社 福田鉄工所
- 代表取締役
- 福田 剛史
- 所在地
- 島根県松江市東津田町1262
- 電話
- 0852-21-0094
- 設立
- 1962年(1946年創業)
- 従業員数
- 26名
- 主要事業
- ステンレス加工・レーザ加工を中心とした板金加工、一般設備部品の加工
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