ファイバーレーザ溶接ロボット活用事例
ヘラ絞りと板金の複合加工で差別化を進める
「ファイバーレーザ溶接が当たり前になってきた」
西垣金属工業 株式会社
①円形タイプの「組み合わせ計量機」に使われる部品。ヘラ絞りの部品と板金加工部品をファイバーレーザ溶接で接合した／②「組み合わせ計量機」に使われる部品の裏面／③ファイバーレーザ溶接に工法転換したことで品質が改善し、仕上げ作業の負担が軽減した
来年には100年企業の仲間入り
西垣潤社長（左）と古関智広製造部長（右）
1924年に創業された西垣金属工業㈱は、来年（2024年）に100年企業の仲間入りをする。京都には創業1000年を超える企業が2社あり、100年以上の企業は1,403社と国内最多をほこる。「千年の都」で育まれた文化・芸能の継承を通じて、伝統工芸を守り育てる風土が、老舗企業の存続を後押ししている。
西垣金属工業は100年に迫る長い歴史の中で、金属をヘラで押しながら成形加工する「ヘラ絞り」の匠の技を連綿と受け継いできた。その実績が評価され、2009年4月には「文部科学大臣表彰」を受賞した。
ファイバーレーザ複合マシンEML-2515AJ-PDC。4kWのファイバーレーザ発振器を搭載しており加工領域が広い
曲げ工程にはFMBⅡ-3613NT（手前）、HDS-1303NT（奥）などを設備し、小物から大物まで対応する
ヘラ絞り・プレス加工・板金加工を融合
同社はNC制御のヘラ絞りの自動機を1台、汎用のヘラ絞り機を3台、設備している。そのうち2台は、加工できるサイズを限定した自社開発のマシンとなっている。
古関智広製造部長は「ヘラ絞りで加工する製品は多品種小ロットや1個づくり、自動機では加工できない形状など多種多様で、お客さまのあらゆるご要望にお応えできるよう努力しています。職人技であるヘラ絞りの技術・技能の継承が重要です。今は、ステンレスなどの硬い材料や工夫が必要な複雑形状の加工を経験し、技術とノウハウを磨き上げてきた40歳の作業者が、自動機と汎用機を使い分けながら19歳の新人に技を伝えています」と語っている。
匠の技だけでなく最新の精密板金加工設備も取りそろえ、先端の技術との融合をはかっている。2015年には省エネ補助金を活用してファイバーレーザマシンENSIS-3015AJ（2kW）+LST-3015G、2018年には生産管理システムAPC21、2019年にはファイバーレーザ溶接システムFLW-ENSIS（FLW-3000EN）、2020年にはファイバーレーザ複合マシンEML-2515AJ-PDCを導入した。
西垣潤社長は「現在、売上全体に占めるヘラ絞りの割合は15～20%。ヘラ絞り・プレス加工・板金加工などを組み合わせることにより、他社では真似のできない製品づくりを実現しています」と語っている。
NC制御のヘラ絞りの自動機。このほかに3台の汎用機を設備している
自社製の溶接定盤に自社製の溶接治具を装着することで段取り作業を簡素化した
会社情報
- 会社名
- 西垣金属工業 株式会社
- 代表取締役
- 西垣 潤
- 所在地
- 京都府京都市南区久世築山町377-6
久世工業団地内
- 電話
- 075-921-6508
- 設立
- 1948年（1924年創業）
- 従業員数
- 30名
- 主要製品
- 医療機器・歯科用機器・分析関連機器・船舶用機器・半導体装置関連機器・食品関連機器・インテリア関連機器など
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