特集

“競争”から“協創”へ ― 日台連携を望む台湾板金業界

AI・IoT・5Gなどの新興産業が牽引する台湾経済

Kiosk端末、電動バイクなど新規需要に期待する板金業界

LINEで送る
Pocket

画像:AI・IoT・5Gなどの新興産業が牽引する台湾経済顔認証システムを活用したコンビニエンスストアの無人店舗の自動ゲート

2019年通年の成長率は2.27%と予測

台湾の2018年の景気動向をみると、輸出額は過去最高を記録するも実質GDP成長率は2017年の3.08%から2.63%に落ち込んだ。台湾行政院は、2019年は世界経済の不確定性が高まり台湾域内もその影響を受ける可能性があるとして、2019年通年の成長率を2.27%と、昨年11月発表の2.41%から0.14ポイント下方修正した(グラフ1)

2018年の四半期ごとの経済成長率は、第1四半期が3.15%、第2四半期3.29%、第3四半期2.38%、第4四半期1.78%と、後半に失速したことがわかる。これは9月に発生した米中貿易摩擦の影響と見られる。

2018年通年の貿易額は、輸出が前年比5.9%増の3,360億5,026万ドルで過去最高、輸入が10.6%増の2,866億5,543万ドルで過去2番目の水準となった。

台湾財政部は今後の輸出見通しについて、AI・IoT・車載用電子機器・高性能コンピュータ・5Gなどの新興産業のビジネスチャンスは持続的に拡大している。だが、米中貿易摩擦の影響が顕在化し、依然としてその先行きが不透明で、主要な経済部門の冷え込み、原油価格や原材料価格の変動に加え、世界のハイエンドスマートフォンの成長停滞などから、2019年第1四半期の輸出の大幅な拡大は容易ではない、と指摘している。

台湾の中央銀行は3月21日に定例理事会を開き、政策金利を現在の1.375%に据え置くと決めた。米中貿易摩擦の影響で、IT貿易を主体とする台湾では景気の先行き不透明感が強まっており、緩和策を継続して下支えする。物価上昇のペースが緩やかなことも背景にある。

画像:AI・IoT・5Gなどの新興産業が牽引する台湾経済グラフ1 台湾の実質GDP成長率の推移(年別、四半期別)

中国離れを進める台湾企業

こうした中で中国離れを進める台湾企業は、海外生産の約90%を占めるとも言われる中国で、人件費の上昇や環境規制の強化などにより事業環境が難しくなったこと、米中貿易摩擦の激化などによりチャイナリスクが増していることなどから、中国離れを一段と加速させ、中国に製造移転していた生産を台湾国内に回帰させる傾向を加速させている。

しかし、このまま台湾国内への生産シフトが進む可能性は少ない。台湾では、人件費が高いため輸出競争力の面で不利なうえ、生産年齢人口の減少で人材確保が困難になっている。実際、台湾製造業の国内設備投資は減少しており、国内生産力の本格的な増強には動いておらず、過去2年間の国内生産回帰は、中国離れの一時的な受け皿と考えられる。

  • 画像:AI・IoT・5Gなどの新興産業が牽引する台湾経済台北市内のUbikeステーションとKiosk端末(手前)
  • 画像:AI・IoT・5Gなどの新興産業が牽引する台湾経済台湾バイク市場のトップシェアを持つKYMCOが台中駅構内に展示している電動バイク

つづきは本誌2019年5月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

特集記事一覧はこちらから