Interview

絆づくり・ヒトづくり・“見える化”により好循環体質に

再生可能エネルギー関連の新事業も推進

株式会社 佐藤電機製作所 代表取締役社長 佐藤 喜行 氏

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画像:絆づくり・ヒトづくり・“見える化”により好循環体質に佐藤喜行氏

㈱佐藤電機製作所は、本社が東京都三鷹市にある精密板金加工企業。生産拠点は山梨工場(山梨県山梨市)で、医療機器、半導体製造装置・検査装置、通信機器などの筺体・フレーム・カバーなどを主に手がけている。

最新鋭の設備を積極的に導入し、「超多品種少量生産」「ワンストップ一貫生産」に対応できることを強みに、新たな事業分野の開拓を進め、発展を続けてきた。

同業他社に先駆けたさまざまな取り組みを意欲的に推進しているのも大きな特徴。2011年にはBCP(事業継続計画)を策定し、「働き方改革」が叫ばれる何年も前からヒトづくりの充実を目指して人事労務改革にも取り組んでいる。2016年にはモバイル端末を採用した進捗・実績管理の仕組みを構築。2018年末には板金製造支援システムvLot Managerを導入し、生産プロセスの“見える化”を進化させている。

2016年には売電用の太陽光発電システム(90kW)のほか、太陽光発電システム(55kW)とリチウムイオン蓄電池(28.6kWh)、鉛蓄電池(233.4kWh)を組み合わせたハイブリッド蓄電池システムを導入。また、米国のバッテリーメーカーEnerSys(エナーシス)などの正規代理店として再生可能エネルギー関連の事業を展開するようになった。

ヒトづくりへの対応を中心に、佐藤喜行社長、佐藤薫宏常務(営業部長)、藤原善満事業戦略部長に話を聞いた。

医療機器が好調、半導体は下期以降に期待

― 2年ぶりの取材です。最近の業況はいかがですか。

佐藤喜行社長(以下、佐藤社長) 今期は、半導体関連は落ちますが、かわりに医療機器が伸びそうで、落ち込みを補填できると考えています。「卵は一つのカゴに盛るな」とはよく言ったもので、ひとつの業界に固まらず、複数の業界の仕事をやっていたおかげでリスク分散できたわけです。

佐藤薫宏常務(以下、佐藤常務) お客さまの数は細かいところを入れて60~70社。そのうち、毎月定期的に受注しているお客さまは40社くらい。メインの10社で売上全体の80%以上を占めています。中心ロットサイズは10~30個。リピート率は90%となっています。

業種としては、医療機器、半導体製造装置・検査装置、情報通信機器が3本柱で、そこに防災無線や自動改札などの社会インフラ関係が加わるかたちです。

好調なのは医療機器―超音波診断装置や検体前処理装置などの筐体です。先期は売上の30%くらいでしたが、今期は40%超まで増えそうです。防災無線関係の仕事もかなり伸びそうな感触です。

半導体製造装置・検査装置は、検査装置が3月から落ち込んでいます。今期は、上期後半から前工程の製造装置の生産が動き始め、検査装置は下期後半から受注が回復すると見込んでいます

画像:絆づくり・ヒトづくり・“見える化”により好循環体質に左:板金製造支援システムvLot Managerの画面/右:現場のタブレット端末から図面データも閲覧できる

「絆づくりプロジェクト」からスタート

― 御社のヒトづくりの取り組みを教えてください。

佐藤社長 ヒトづくりについては「働き方改革」という言葉が世の中に出てくる前から試行錯誤を繰り返してきました。3年ほど前からは、今お付き合いしているコンサルタント会社に協力してもらいながら、さまざまな取り組みを行っています。

3年ほど前、最初の取り組みとして「絆づくりプロジェクト」をスタートしました。改善改革を進めようとしても、従業員間のコミュニケーションが成立しないとうまくいきません。それからは、新入社員歓迎会や花見、ボーリング大会のような全社イベントを定期的に開催し、交流をはかってきました。

― 成果はいかがでしたか。

佐藤社長 3年間で、ずいぶん風通しが良くなりました。横のつながりが密になって、いろいろな情報を共有し、従業員が自発的に考えて話し合うようになりました。

相乗効果として、不良率が減り、仕事の効率も上がってきました。ミスをすれば手戻りする、“自分たち”が大変な目にあう、だからミスをしないように気をつける。サブアッシーの製品は部品が1個足りなければ完成しない、“自分たち”の仕事がムダになる、だから遅れている工程をサポートする―前後工程や会社全体のことを“自分ごと”として意識するようになってきました。

仕事の効率が上がり、不良率が下がり、ムダな残業が減れば、会社の業績が上がり、従業員の給与にも反映させられる。それもモチベーションの改善につながり、好循環が生まれています。

画像:絆づくり・ヒトづくり・“見える化”により好循環体質に社内に太陽光発電システム(左)とリチウムイオン電池と鉛電池のハイブリッド蓄電池システム(右)を導入し、電力ピークカットを実現。同システムの販売も行っている

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会社情報

会社名
株式会社 佐藤電機製作所
代表取締役社長
佐藤 喜行
東京工場
東京都三鷹市中原3-1-53
山梨工場
山梨県山梨市中村772-1
電話
0553-23-0037
設立
1961年
従業員数
47名
事業内容
医療機器、半導体製造装置・検査装置、情報通信機器などの精密板金筐体・部品の製造・組立/電源装置(整流器)・バッテリーの販売
URL
https://s-d-s.co.jp/

つづきは本誌2019年6月号でご購読下さい。

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