特集

自動金型交換による曲げ工程の合理化

ボトルネックの曲げ工程を最適化

金型段取りレスで経験の浅い作業者にも曲げ加工ができる

田中産業 株式会社

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画像:ボトルネックの曲げ工程を最適化省熟化、稼働率改善に貢献する自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-1003ATC

変種変量生産への対応

画像:ボトルネックの曲げ工程を最適化田中公典社長

業務用空調・冷暖房機器や鋼製家具、工作機械、医療機器などの板金製品を手がけている田中産業㈱は、最新の設備で信頼性の高い製品を短納期・納期遵守で顧客満足度向上に努めている。工場は24時間稼働で設計から塗装・組立までの安定した品質管理と、柔軟な納期管理を実現。また、従業員の半数以上がベトナム人の高度外国人材と技能実習生となっている。

これまで、同社のボトルネックだったのが曲げ工程。ブランク工程が24時間稼働し、生産能力が高まると、曲げ工程の前に抜き上がった仕掛り品が滞留するようになった。通常、曲げ作業者を育てるためには3〜5年の教育が必要になる。単純にベンディングマシンを増やしても“即戦力”にならない。そこで、ベトナム人スタッフへの教育も考え、金型段取りや曲げ順序の検討など、経験や技能・技術が求められる作業を自動化した曲げ入門機として、自動金型交換装置(ATC)を備えたHG-1003ATCを導入した。HG-ATCが変種変量生産、多品種少量生産に効果があることも導入を決めたポイントのひとつだった。

  • 画像:ボトルネックの曲げ工程を最適化自動で金型交換が行われている間に次の作業の確認などができる
  • 画像:ボトルネックの曲げ工程を最適化HG-ATCの曲げ作業はベトナム人の高度外国人材が担当。角度センサーBi-Sが加工品質を一定に保つ

HG-ATC導入で工程平準化

同社は以前からプッシュ型生産を踏襲してきた。しかし、短納期化が進み、得意先の調達方針もJIT生産へとシフト、必要な時に必要な数だけ発注する流れに変わっていった。同社では同じ月に同じ型番、同じ品番の製品を分割して受注するようになり、変種変量生産に対応する生産体制構築が求められるようになっていった。

とはいえ、先頭工程であるブランク工程の能力を向上しなければ生産能力の増強にはつながらない。2017〜2018年は受注環境が改善し、生産も拡大していったため、2018年4月にパンチ・レーザ複合マシンEMLを、最新のファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJ+AS-2512NTK+ULS-2512NTKに入れ替えた。ACIES-AJは想像以上に加工スピードが速く、EMLに比べ3倍程度の生産性を実現、ブランク工程の生産能力も向上した。
従来であればブランク工程の能力が増大すると、曲げ工程がボトルネックになってしまうが、HG-ATCを1年前に導入していたことでこの問題をクリア。ブランク工程〜曲げ工程のトータルな生産性改善が可能になった。

田中公典社長は「お客さまはJIT生産に対応し、発注を分散化・短サイクル化することで不要な仕掛り品を最小化しようとしています。そのためには当社もプッシュ型生産方式を改め、確定受注が決まった製品をオーダー単位でキット化して流すアセンブリー生産への対応が必要になってくると考えました。注文情報が分散化、変種変量生産への対応が求められることから、多品種少量生産に対応できるHG-ATC導入の効果は大きかった」と導入効果を語っている。

1日あたり約500品目の製品が流れており、パーツ単位では1,500点を生産する。月間では機種単位での納品もあり、納品書ベースで約1万2,000アイテムの製品に対応、リピート率は70〜80%となっている。

  • 画像:ボトルネックの曲げ工程を最適化ファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJ導入でブランク工程の生産能力が向上した
  • 画像:ボトルネックの曲げ工程を最適化粉体焼付塗装ラインを設備している

会社情報

会社名
田中産業 株式会社
代表取締役
田中 公典
住所
静岡県三島市長伏155-33
電話
055-977-1836
設立
1956年
従業員数
64名
事業内容
業務用空調・冷暖房機器、ロッカー・スチール家具、工作機械の板金製品、パイプ加工、粉体焼付塗装、アセンブリー、海外生産・調達
URL
http://www.tanaka-sng.co.jp/

つづきは本誌2019年11月号でご購読下さい。

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