ベンディング自動化の最新動向
「ロット1個でもロボットで曲げる」 ― 自動化率70%を実現
5台の自動化セルをフル活用 ― 残業時間は1/2に減少、売上は40%増
株式会社 行田製作所
6年間で自動化セルを5台導入 ― 残業時間1/2、売上40%増
㈱行田製作所は2016年以降、6年間で集中的な自動化投資を実施し、大きな成果を挙げている。
2016年にはパンチ・レーザ複合マシンACIES-2512T、2017年には同社初のベンディングロボットシステムHG-1003ARs、2019年にはファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJ、2020年には小物用ベンディングロボットシステムEG-6013AR、2021年には2台目のHG-ARsを導入した。
これらの自動化セル5台を活用し、従業員数30名の規模を維持しながら残業時間を1/2程度に減少した。生産性が大きく改善しただけでなく、受注獲得に結びつけることで業績も伸びた。米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの影響も軽微で、売上高は2016年比で40%程度増加した。
行田正巳社長は「2016~2017年の頃は“自動化”を目指す考えはありませんでした。とにかくボトルネックを解消するために最適な加工設備は何かという発想で、ブランク工程と曲げ工程を交互に増強し、結果として“自動化”が進んでいったかたちです」。
「今では“自動化”こそが最も重要なテーマだと考えています。休みを増やして残業を減らして賃金を上げる ― 働き方改革によって経営環境はあまりにも急激に変わっています。これからの時代、人手で作業する領域を減らして自動化を進めていかなければ、事業は成り立ちません」と語っている。
主力はエレベーター向け電気系コンポーネント ― 半導体製造装置部品も増加
同社はエレベーター部品をはじめ、店舗什器、4WD自動車向け外装部品、工作機械カバー、半導体製造装置部品など幅広い分野の仕事を手がけている。「プレス部門」「板金部門」「組立部門」の3部門で構成され、試作から量産まで、パーツ単位からアセンブリーまでワンストップで対応できるのが強みだ。
中でも主力のエレベーター関係は、独立系エレベーターメーカー向けに制御盤・操作盤・スイッチパネル・筒内ケーブルといった電気系コンポーネントの組立配線まで行っている。10階床以下の建築物向けが主で、近年はメンテナンスにともなうリニューアル案件が好調に推移している。
2021年頃からは半導体製造装置部品の受注が急増し、一時期は ブランク・曲げ工程の自動化設備を24時間フル稼働させて対応した。
得意先は約30社で、主力は5~6社。売上構成で見ると、エレベーター関係が約70%を占めている。組立配線まで手がけているため、電装系部品の仕入れ金額が大きくなり、売上高でも突出している。
「板金部門」の仕事量に限定すると、エレベーター関係は40%程度。そのほか、4WD自動車向けのメーカー純正パーツ・カスタムパーツが15%、半導体製造装置部品を含む弱電関係が15%、店舗什器が10%弱で、残り20%強は工作機械・医療機器・鉄道関係などとなっている。
加工材料は、SPCC・SECC・溶融亜鉛めっき鋼板などの鉄系材料が70%、SUS304・SUS430などのステンレス系材料が30%で、アルミはわずか。板厚は0.6~6.0㎜まで対応し、3.2㎜以下の薄板が大半を占める。
リピート率は70~80%と高いが、ロットサイズは1個から数百個と幅広い。
たとえば、主力のエレベーター部品は物件によって組み合わせが変わる。制御盤の筐体などは共通だが、操作盤やスイッチパネルなどは階床の数によってサイズが変わるため、ロット10個以下になる。それとは対照的に、半導体製造装置部品の仕事は数十種類の部品を数百個ずつのロットで生産する。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 行田製作所
- 代表取締役
- 行田 正巳
- 所在地
- 群馬県高崎市吉井町矢田693-1
- 電話
- 027-329-5445
- 設立
- 1990年(1965年創業)
- 従業員数
- 30名
- 主要製品
- エレベーター部品、メンテナンス用部品、コンビニエンスストア・スーパーマーケットなどの店舗什器、半導体製造装置部品、自動改札、ホームドア、医療機器、太陽光発電等のノイズフィルターケース、建材部品、小型エンジン部品、4WD部品、4WD自動車、ロールバー部品、ATM部品、ATMキャビネットなど
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