ベンディング自動化の最新動向
進化を続ける「自社内一貫生産」 ― 顧客の課題解決が使命
ベンディングロボット5台で5個未満~1,000個超の「変種変量生産」に対応
岡田鈑金 株式会社
設計から組立までの「自社内一貫生産」を実現
岡田鈑金㈱の茨城工場は、広大な敷地に最新鋭の加工設備群と熟練の技術・技能を集約。精密板金加工をコア技術としながら、設計・開発・プレス・洗浄・シルク印刷・塗装・2次加工・組立・検査にワンストップで対応する「自社内一貫生産」を実現している。
同社は1949年から1988年まで東京都大田区蒲田で操業していたが、周囲の急速な宅地化にともなって1988年に茨城工場を開設。大田区で操業していた時代に交流があった技術者や職人を茨城工場に招き入れ、精密板金加工だけでなく機械加工や塗装などの多彩な技術・技能が集結した「ミニ大田区」を再現した。いわゆる「仲間まわし」を同一敷地内で完結させられる環境を生み出し、これが同社の最大の特徴である「自社内一貫生産」の原型となった。
現在の主力取引業種は医療機器、理化学機器、家庭用蓄電池、半導体製造装置関連など。同じ業種の得意先とは同時に取引しない「1業種1社」をモットーとしており、得意先からの信頼は厚い。それがひいては品質基準や要求仕様が異なる多種多様な仕事に対応できる技術力と、特定業種の好不況の影響を受けにくい安定した収益構造にもつながっていった。
東京ドーム1.3個分の敷地に最新鋭の設備群 ― 「困りごと」を解決するため進化し続ける
事業の成長とともに工場を順次拡張し、竣工当時に敷地面積1,600坪だった茨城工場は、今では1万8,000坪(約6万㎡)と10倍以上になった。
東京ドーム1.3個分に相当する広大な敷地の中には13棟の建屋がある。機能別の建屋面積は、精密板金加工6,900㎡、プレス加工630㎡、塗装1,060㎡、組立3,000㎡、流通倉庫2,200㎡となっている。
コア技術である精密板金工程には最新の加工設備をいち早く導入し、デジタル技術と産業用ロボットをフル活用することで圧倒的なパフォーマンスを発揮している。ファイバーレーザ複合マシン3台、パンチ・レーザ複合マシン2台、ファイバーレーザ溶接システム2台のほか、曲げ工程にはベンディングロボット5台や自動金型交換装置付きベンディングマシンなどを設備。材料供給・製品回収・段取り替えなども自動化・ロボット化することで、夜間を含む長時間連続運転を実現している。
増田武夫社長は「お客さまが困っている課題をひとつでも多く解決することが私たちの使命です。当社のあらゆる取り組みは、お客さまの『困りごと』から始まっています。自社内 一 貫生産、生産キャパシティー、そして自動化――今の当社の姿は、お客さまに喜んでいただくことを常に考え、実行してきた結果です。このスタンスはこれからも変わることはありません」と語っている。
工場移転を機に自社内一貫生産を実現し、地域経済のけん引役として成長し続けてきた実績が評価され、2020年には茨城県の「地域未来牽引企業」(経済産業省)に認定された。2021年には「はばたく中小企業・小規模事業者300社」(同)と「第19回 勇気ある経営大賞」(東京商工会議所)奨励賞を受賞した。
会社情報
- 会社名
- 岡田鈑金 株式会社
- 代表取締役社長
- 増田 武夫
- 所在地
- 茨城県小美玉市三箇207-1(茨城工場)
- 電話
- 0299-48-2901
- 設立
- 1952年(1923年創業)
- 従業員数
- 186名
- 主要事業
- 各種産業機器の精密板金製品の自社内一貫生産
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