検体検査装置の板金加工
世界の病院で使用され、人の命を救うことに役立つものづくり
顧客価値創造に役立つ設備投資を継続
有限会社 盛金製作所
創業から50年以上が経過 ― 進化を続ける
㈲盛金製作所は1971年に、現在も売上全体の80%以上を占める得意先である、医用・検査分析装置メーカーに勤務していた小野瀬裕也社長の祖父・小野瀬四朗氏、父・小野瀬勝美氏の二人が退職して創業。1973年に㈲盛金製作所を設立し、精密板金加工業を開始した。1975年には組立部門を立ち上げ、加工した部品をサブアッシーする仕事も始めた。
1984年からは本格的に医用・検査分析装置の筐体や機構部品などの精密板金部品を手がけるようになった。1993年に製缶工場、1996年に組立工場を設立して電子部品の組立も行うようになった。業務の拡大にともなって従業員数も60名ほどに増えた。
主力の血液分析装置などは国内外で需要が拡大
同社が主に受注していたのは血液分析装置などの医用検体・検査分析装置や、さまざまな分析装置。国内の医用検体・検査分析装置の需要は平均寿命の延びとともに拡大。加えて欧米などの先進国や中国をはじめとした新興諸国でも需要が拡大し、同社の仕事量も増大していった。2007年1月には、新たに溶接工場と組立工場を建設して工場棟を増やし、本社・盛金工場を拡充した。
医用検体・検査分析装置の製造は、薬機法などに基づき、きびしい品質チェックが行われる。そのため、メーカーは海外基準に準拠するため、ISO13485の認証や医療機器製造業許可などの認証を取得する必要がある。
医用検体・検査分析装置は、医療機器製造販売に関する医療機器クラス分けで、「不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが比較的低い」として「管理医療機器(クラスⅡ)」に分類され、その中で認証基準のある装置などの製造販売にあたっては、第三者認証機関による認証が必要とされている。
一方、サプライヤーに対しては毎年、厳格な審査を行うとともに、指導が行われている。同社はその指導に基づきISO9001や、環境マネジメントシステム「KES・環境マネジメントシステムスタンダード」の「ステップ2」の認証を取得、品質や環境に対して万全の管理体制を整えている。
エンジニアリング企業として成長
常陸大宮市盛金地区の「本社・盛金工場」に材料倉庫や溶接工場などを増設していったが、次第に工場の敷地自体が手狭となってきたことから、2014年6月に常陸大宮市の宮の郷工業団地に、本社・盛金工場の3倍の広さがある用地を取得、2015年12月に「宮の郷工場」を竣工した。
2023年には「宮の郷工場」に隣接して「宮の郷第2工場」を建設。経済産業省が事業再構築を目指す中小企業などの挑戦を支援する「事業再構築補助金」の採択を受け、新規事業として半導体検査用の電子顕微鏡向け精密板金製品向けの塗装工場を竣工した。
同社は創業から50年という歴史を持ち、積極的な設備投資や技術開発、事業領域の拡大に取り組み、医用・検査分析装置のための精密板金加工や電子部品組立を手がけるエンジニアリング企業として成長を続けている。
「当社の強みは、1枚の鋼板から部材を切り出し、抜き・曲げ・溶接・表面処理などを行い、電装組立までの幅広い工程を一貫して手がけられることです。2023年にはこれまで外注していた塗装工程を内製化するため、新たに工場棟を増設するなど、創業から50年を経た現在も技術領域の拡大を続けています。市場に供給される製品に私たちの社名はないものの、当社が手がけているのは医療や研究開発などに欠かすことのできない医用検体・検査分析装置や各種電子機器など。ものづくりによって社会を支え続けている自負と誇りを持っています」(小野瀬裕也社長)。
会社情報
- 会社名
- 有限会社 盛金製作所
- 代表取締役
- 小野瀬 裕也
- 本社・盛金工場
- 茨城県常陸大宮市盛金1454
- 宮の郷工場
- 茨城県常陸大宮市宮の郷2153-20
- 電話
- 0295-57-9533(本社・盛金工場)
0294-33-7300(宮の郷工場)
- 設立
- 1973年(1971年創業)
- 従業員数
- 190名(派遣社員30名含む)
- 主要事業
- 医用・分析装置の板金製品加工・組立
つづきは本誌2024年10月号でご購読下さい。