最新ファイバーレーザプロセッシング
【特集3】 FLW-ENSIS
ノンスキルドオペレーションにより溶接工程の負荷を分散
有限会社 溝口工業
特殊照明機器向け精密板金部品が90%超
㈲溝口工業は、船舶・海洋照明、車両・陸上照明、鉄道照明などの特殊照明機器向け精密板金部品を手がけ、主要得意先である特殊照明機器メーカーとの取引が売上全体の90%超を占める。四半世紀にわたる継続取引を通じて求められる仕様に精通し、特に耐候性などに配慮したステンレス・アルミ・真鍮などの高難度溶接に対応できることから、得意先と強固な信頼関係を築いている。
特殊照明機器は防衛・消防・警察などの官公需が中心で、需要の変動は少なく安定している。近年は、キセノン灯式などの従来型から、高い耐久性を持ち、イニシャルコスト・メンテナンスコストとも低い高輝度LED照明に更新する計画も本格化している。
今年度(2021年4月~)の受注は、コロナ対策費などに公費が振り向けられていることもあって減少している。同社の今期(2021年8月期)の売上高も、後半の失速が響いて10%程度の減少となりそうだが、来年度(2022年4月~)以降は反動により回復へ向かうと見込まれる。
子息2人の入社が転機となり合理化を推進
溝口工業は、溝口久男社長が1987年に創業した。当初は鉄道車両向けにフラットバーの切断・穴あけ・曲げ加工を行っていたが、創業の半年後には現在の主力得意先である特殊照明機器メーカーから声がかかった。溝口社長の溶接技能 ― 特に真鍮のろう付け溶接に対応できる技量を見込まれ、取引が始まった。
転機は2001年。溝口社長の2人の子息 ― 長男の溝口俊久取締役と次男の溝口裕介取締役がほぼ同時に入社。それを機に、同社初のレーザマシンLC-1212αNTを導入した。
長男の俊久取締役はITやPC操作に優れ、プログラムとLC-αのオペレーションを担当。溝口社長は「LC-αを導入して2~3日で使いこなせるようになってしまい、驚いた」と振り返る。一方、次男の裕介取締役は創意工夫を凝らしたものづくりに対するこだわりが強く、溶接・仕上げを担当。「私から見てもうまい。センスがある」(溝口社長)という。
それまでは溝口社長がほぼひとりで、シャーリングやコーナーシャーで材料を切断し、ベンディングマシンやセットプレスで曲げ、溶接・仕上げを行っていたが、2人の子息の入社をきっかけに生産体制は大きく変わった。CAD/CAMによるプログラムを行うようになり、生産管理システムやYAGレーザ溶接、ファイバーレーザマシンなどの最新技術も順次採り入れ、合理化を進めていった。
会社情報
- 会社名
- 有限会社 溝口工業
- 代表取締役
- 溝口 久男
- 所在地
- 茨城県行方市山田3282-33
- 電話
- 0291-35-0770
- 設立
- 1991年
- 従業員数
- 6名
- 主要事業
- 照明器具の構造部品の精密板金加工
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