普及が進む工程統合複合加工
企画・開発・設計からサポートする照明器具の中核サプライヤー
徹底した自動化で多品種少量生産・短納期要求に対応
株式会社 朝陽
大手電機メーカー向け照明器具の中核サプライヤー
㈱朝陽は、住宅照明や施設照明の設計・製造を行う大手電機メーカーの協力会社として、OEM/ODMメーカーにちかい事業形態で、企画・開発から設計・加工・組立・梱包までワンストップで手がけ、最終製品として得意先の配送センターに納品している。
同社は1962年に「朝陽製作所」として創業。当初はスイッチなどの機構部品を生産していた。1963年に甲種電気用品の製造認可を受け、現在の主力得意先である大手電機メーカー向け照明器具の生産をスタート。50年以上の継続取引のなかで、同社が手がける照明器具も時代の変化とともに、シャンデリアなどの大型照明から小型照明、LED照明へと移り変わっていった。
得意先とは濃密なパートナー関係を構築しており、商品企画の段階から参画、1年に10シリーズ程度、約200品番以上の開発・設計を行っている。開発・試作段階では、技術革新が著しいLED光源を使用した新商品の試験・評価まで行う。また、生産技術のチームが金型・治具・生産設備の開発・製作まで行っており、開発・設計のチームにフィードバックすることで加工性や組立性を考慮した生産設計に落とし込む。生産現場の加工設備は積極的な自動化投資を続け、設計・製造・生産技術の三位一体でモノづくりの最適化をはかっている。
象徴的なのが、同社が独自に開発した嵌合技術だ。通常は穴にボルトを通して部品同士を連結するが、同社では特殊金型を使って成形加工を行うことで差し込むように嵌合できるようにするなど、商品設計の標準化を行い、組立工数の削減に貢献した。
また、照明器具以外の新分野としては、宅配ボックスの生産をスタート。2016年から大手電機メーカー向けに供給している。
品番数増・オーダー数減 ― 典型的な多品種少量生産
現在の売上構成は、照明器具が90%弱、宅配ボックスが10%強。いずれも多品種少量生産の傾向がますます強まっている。
照明器具は、ここ数年のうちに取り扱い品番数が2倍以上増え、現在は1,500品番にもおよぶ。その一方で、1回のオーダー数は減少しており、たとえ1カ月間の合計生産数量では1品番あたり数百個になったとしても、1回のオーダー数は10~20個にとどまる。宅配ボックスも同様で、シンプルな形状ながら、サイズ・色・扉の開き方向などの仕様ちがいで250品番を数え、それが1回5~10台という単位でオーダーが入る。
基本的にはオーダーが入るたびに手配・段取りし、リピート生産する。共通部品やロットサイズが大きい製品は専用金型によるプレス加工を行うが、大多数を占める多品種少量生産の製品は、専用金型のイニシャルコストと金型段取りの工数などとの兼ね合いから板金加工で対応している。
オーダーが入ってから生産手配、加工、塗装、組立、検品・梱包、出荷・納品までのリードタイムは約10日。最初の1日は受注から生産手配までの事務処理、2日目以降はブランク・曲げ・スポット溶接・塗装・組立・検査などの工程で1日ずつ、最後の1日は出荷・納品に費やされる。
「お客さまからは、このリードタイムを5日に短縮するよう要請されています」と硲(はざま)弘樹社長は語っている。
同社が手がける照明器具は、あらかじめ設定された安全在庫を割り込むと自動的に発注がかかる定量発注点方式が採用されている。そのため、どの品番のオーダーがどれだけの個数入ってくるか予測がつかない。製品によっては同社が独自に販売予測を立てて先行手配をかけ、在庫から払い出すことで納期を短縮しているものもある。
「完成品まで手がけているので、当社が加工する部品だけでなく、購入品もあります。納期短縮は簡単ではありませんが、お客さまのご要望に最大限添えるようにしたい」と硲社長は力を込める。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 朝陽
- 代表取締役
- 硲 弘樹
- 本社
- 大阪府守口市藤田町3-44-1
- 守口工場
- 大阪府守口市藤田町2-25-7
- 田辺工場
- 京都府京田辺市三山木川口33
- 電話
- 06-6904-1476(守口工場)
- 設立
- 1962年
- 従業員数
- 160名
- 事業内容
- 板金加工を軸とした照明器具および関連金具、住宅設備の製造
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