Sheet now

サーボプレス化・大型化に対応し、電動車向け車載機器部品を受注

設計開発からの一貫生産に対応する「開発・提案型企業」

小林精工 株式会社

LINEで送る
Pocket

画像:サーボプレス化・大型化に対応し、電動車向け車載機器部品を受注2014年に導入した2ポイントサーボプレスSDEW-3025(300トン)。高精度加工が求められる電動車向け車載機器のバスバーなどを加工する

技術営業を強みに、時流の変化に対応

画像:サーボプレス化・大型化に対応し、電動車向け車載機器部品を受注「技術力を研ぎ澄まし、挑戦を続けていく」と語る小林洋介社長

大阪府大東市の小林精工㈱は、製品設計から試作・金型設計製作・量産までトータルにサポートする「開発・提案型」の金属プレス加工企業だ。「誠・和・信」をモットーに、顧客の開発テーマに応えるため、精密金型・精密金属プレス加工の技術開発に挑戦し続けてきた。技術提案により顧客の製品価値向上に貢献する同社の企業姿勢には定評があり、金型・プレス加工の専門家集団として揺るぎない信頼を勝ち取っている。

同社は1955年に金型製作企業として創業し、1960年から金属プレス加工を手がけるようになった。それ以降は「開発・提案型企業」として、技術営業を強みに、時流の変化に対応しながらその時々の成長産業を取り込んできた。

当初は、リレー部品、カメラ部品、時計歯車、ブレーカー部品などの精密プレス加工を展開していた。1965年頃に大手家電メーカーとの取引が本格化してからは、シェーバー、バリカン、髭トリマー、ドライヤー、電動工具、電動カートなどの家電向け部品生産が主力になっていった。

1995年からは、前年の制度改正により爆発的な普及が始まった携帯電話のバックライト部品、液晶部品、内部筐体などを手がけ始めた。一時は携帯電話向け精密部品が売上全体の80%を占めたが、2010年代にはスマートフォンの普及とともに仕事量が激減。それと入れ替わるような格好で、2015年頃からは車載機器の部品加工を本格的に手がけ始めた。

現在、業種別の売上構成は、車載機器が50%、家電が30%、建築金物その他が20%となっており、主要得意先5社で売上全体の70~80%を占める。

コロナ禍の影響で停滞した時期はあるものの、その後は車載機器の新機種が次々と立ち上がり、直近1~2年は同社への発注量も急増中。今期(2024年3月期)は前年比で20%程度、コロナ前と比べると40%ちかくの増収になる見込みだ。

  • 画像:サーボプレス化・大型化に対応し、電動車向け車載機器部品を受注2次元CAD・3次元CADを設備し、設計から対応する
  • 画像:サーボプレス化・大型化に対応し、電動車向け車載機器部品を受注金型加工エリアにはワイヤ放電加工機5台(写真)、マシニングセンタ2台を設備。プレス機の大型化にともない金型加工設備も増強した

設計開発からの一貫生産体制を構築

同社の最大の特徴である「設計開発からの一貫生産」は、「人材」と「設備」の両輪で成り立っている。

営業担当者は顧客の製品開発の段階から入り込み、設計者から技術的なテーマをヒアリングする。ラフスケッチのレベルで持ち帰り、社内で協議のうえ製造部門が開発に着手し、試作型の設計製作とプレス試作を行う。そうしてできた試作品を得意先に提出しながらVA/VE提案を行い、得意先の決裁をあおいで量産試作・量産へと展開していく ― これが同社の基本的な営業スタイルだ。

こうした開発案件は年に10件弱、舞い込んでくる。現在、同社で生産している製品の70%程度は、このようなかたちで開発から取り組んできた案件だ。

案件によっては、顧客の要望に応えるために必要な生産体制や加工設備を全社で検討し、設備投資計画に反映させる。設計開発段階から関わることで技術的なニーズの傾向をいち早くキャッチできるため、将来を見据えた“先行投資”の効果も踏まえつつ、最新鋭の設備(プレス機・金型加工設備・測定設備など)を積極的に導入している。

現在保有する計24台のプレス機のうち、半数の12台はサーボプレス。2005年以降はSDE-6016(60トン)、SDE-8018(80トン)、SDEW-3025(300トン)、SDE-8018iⅢ(80トン)と順次導入し、能力を増強してきた。

2016年には、旧工場から車で5分ほどの距離にある現在地に新工場を建設・移転し、事業拡大の基盤を整えた。工場面積を拡張し、クレーンなどの付帯設備の能力も高めて、200トン以上のプレス機が無理なく稼働できる環境を整備した。ワイヤ放電加工機やマシニングセンタが並ぶ金型加工エリアは温度・湿度管理を行い、より精密な加工が行えるようになった。プレス機とともに金型も大きくなるため、ワイヤ放電加工機はひと回り大きい機種を増設し、マシニングセンタも1台から2台に増やした。

画像:サーボプレス化・大型化に対応し、電動車向け車載機器部品を受注左:2005年以降に導入した60~80トンのサーボプレス。中央が2021年に増設したSDE-8018iⅢ/右:SDE-8018iⅢに増設した自社開発のパレタイジングロボットシステム。異形状のバスバーを金属カゴの仕切りの中に振り分ける

全文掲載PDFはこちら全文掲載PDFはこちら

会社情報

会社名
小林精工 株式会社
代表取締役
小林 洋介
所在地
大阪府大東市新田境町8-7
電話
072-871-4551
設立
1955年
従業員数
49名
主要事業
精密金型設計製作、精密金属プレス加工、商品設計製作、試作・開発、その他(2次加工など)
URL
https://www.kobayashiseikou.jp/

つづきは本誌2024年3月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

Sheet now記事一覧はこちらから